プロジェクトの初期、基本計画の最初にまず行ったのが、島田市に住む30人ほどのお母さんたちへのヒアリングである。
非日常使いとしての観光側面の構築は、エンターテインメントを主戦場としてきたトコナツとしてはそれほど難しくない。
難しいのはこの地域における日常使いとしての生活側面の構築であった。
そこで出たアイデアで多かったものの一つに、近隣のスーパーや商業施設には子供を遊ばせる場所がない、というものがあった。
KADODE OOIGAWA(以下、KADODE)が基本計画からこどもの遊び場(「キッズパーク・ちゃめっけ」(以下、ちゃめっけ))を擁した理由はそこにある。
KADODEはここから、大人だけでなく子供たちにも楽しいエンターテインメントの場となるべく動き出した。
そしてこの点(緑茶ツアーズやSL、ちゃめっけ、などに見られるエンターテインメント要素)が、KADODEを他の商業施設や道の駅、農産物直売所と一線を画してくれることになっていく。
「ちゃめっけ」のコンセプトは、自主性と芸術性を掲げ、テーマとして緑茶と農業、地域を加えた。
施設であるものの、受動的な遊びよりも主体的な遊びを中心に構成。そこに芸術性を感じられるようにした。
構成要素は大きくは3つ。
ネット遊具を中心とした「太陽と大地のエリア」(富士山のネット、ぽんぽん茶畑)
自由にお絵かきが楽しめるサーカスと森のエリア(サーカスキャンパス、マグネットde農園ほか)
川根地区の里山をイメージ「里山と大自然のエリア」(ツリーハウスの秘密基地ほか)
企画では30案程度の実現可能なアイデアを起こし、遊びと予算、運営などを考慮して、絞り込みを行っていった。
ハードは僕らがメインとなり比較的順調に進んだが、ソフト(おもてなしや受け入れ態勢、安全管理体制)の構築はKADODEのスタッフにより慎重かつ細心の注意が払われて進められている。
ちなみに当初計画ではマルシェの頭上をジップラインが走ったり、巨大な樹が遊び場になっていたり、東側にはSLパーク(それがボツになり現在のSL展示となった)もあったりもしたが、衛生面や予算面などからいずれもボツとなっている。
SLパークはイメージイラストまで出来上がっており、かなり楽しい場所になるはずだった。いつかどこかで実現したいものだ。
エリア内には緑茶ツアーズに登場した茶葉くんの姿もあるのでぜひ探してみてほしい。
(マルシェ上ジップラインのイメージ図)
嬉しいことに、オープン以来、多くのこどもたちで賑わっているが、満員で利用できないという声も聞く。
現在はコロナ禍のため、利用人数や時間など制限を設けているので、平日の午前などがオススメである。
いずれは各回あたりの収容人数を上げ、貸し切りや大人タイムなどもできるようになっている。
制作は僕が大好きなギャラクシティを手掛けた株式会社岡部がネット遊具、北軽井沢のスウィートグラスのアスレチックを手掛ける稲垣さんがツリーハウス、富士急時代からの付き合いである東宝映像美術の面々がガラス面、屋外のランドスケープを古内さん、それぞれの建築的補佐を浅見が、それぞれKADODEテイストにして手がけてくれている。
それぞれの遊びにはKADODEのスタッフたちが素敵な名前を付けてくれた。
最後に「ちゃめっけ」という名前について。
実は施設全体のネーミング、最後まで残った2案が「門出」(後にKADODE OOIGAWA)と「ちゃめっけ」であった。
人や交通の結節点であることや縁起がいい名前であることで「門出」に決まったものの、「お茶見っけ!」と「茶目っ気」のダブルミーニングでもあり可愛らしい名前でもある「ちゃめっけ」の人気も高かった。
そんなKADODEのスタッフの熱い思いで、「キッズパーク・ちゃめっけ」となったことも付け加えておきたい。
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トコナツ歩兵団団長・渡部祐介
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