ついでに言うと、勝ち組と負け組の格差も広がります。
これって、確率論をきちんと理解している理系の人間には
ため息が出るほど当たり前の話です。
実例を示すのが手っ取り早いので、まずは冒頭のグラフを見てください。
青の折れ線グラフが、ランダムウォークによる値の変化を示したものです。
普通にトレンドを形成しているように見えるでしょ?
確率2分の1の確率で-1と+1の操作を繰り返したのがこのグラフです。
今回は1000回ほど繰り返しましたが、回数を増やせば増やすほど、
元の値(この場合はゼロ)から離れていく可能性が高くなります。
「いや、でも大数の法則で繰り返す回数が増えるほど
平均値に近づくんじゃないの?」
えー、細かい言葉の定義には目をつぶるとして、
この大数の法則で言っているのは繰り返した【結果の平均値】です。
上の折れ線グラフではその値を赤で示しています。
-1と+1の平均である0に見事に収束していますね。
一方、トレンドを形成している青い線は、【結果の累積】です。
そして、それぞれの関係は以下の通りです。
【結果の平均】=【結果の累積】÷【回数】
【結果の累積】は回数を増やせば増やすほど
平均値から乖離する可能性が高くなりますが、
【結果の平均】は【結果の累積】をその増えた回数で割ったものなので、
収束してしまうのです。
株価の動きをランダムウォークとしてとらえた場合、
実際の株価の動きは【結果の累積】であって、【結果の平均】ではない。
ゆえに、株価の動きには大数の法則はあてはまりません。
確率論をほかの事象に適用した場合も同様です。
ですから、大数の法則で確率が平均的に出現すると仮定した戦略では負けます。
前提が間違っているのですから、当たり前ですね。
投資は自己責任。
リスク管理を徹底して投資を楽しみましょう。