韓国シネマ留学2年目突入しました。
って、もう新学期始まって3週間ですが
超デジタル社会の韓国についていけず、悪戦苦闘続けてますが、慣れてきたと言えば慣れてきた。
今学期は授業三つ。それぞれ3時間ずつ。そして引き続き日本学研究所の方も出てます。
授業名を言うと、
●映画ジャンル研究
●アジア古典映画分析
●韓国映画史
映画ジャンル研究は、そのまんまですが、ジャンルとはなんぞやとか、各ジャンルについての国内外の論文を読みまくる&それについての発表、最後は映画ジャンルに関する期末レポート提出という授業。わりとスタンダードなスタイル。
アジア古典映画分析は、これはとっても偏っていて、というのも博士課程の授業なので。今村昌平の全作品を見てそれについて発表する授業。5人という少人数なので、発表がんがん当たります。とりあえず再来週「にあんちゃん」当たってます。
韓国映画史は、これもちょっと偏っていて、ほぼ2000年代の韓国映画。毎回2作品をそれぞれ発表して比較する。授業で扱うぐらいの作品なので、1回は見たことある作品ばっかりですが、改めて見ると、そして発表及び教授の解説を聞くと、新たな発見がいっぱい。
例えば1回目は『鬼郷(귀향)』『雪道(눈길)』。慰安婦ものですね。男性監督と女性監督の違いが如実に出てる。
そして今日が2回目。『インサイダーズ 内部者たち(내부자들)』『生き残るための3つの取引(부당거래)』
ちょろっと授業の内容を紹介。『インサイダーズ』を中心に。
この2本は、2010年代の韓国映画の主流となってるジャンル。범죄드라마(犯罪ドラマ)とも느와르(ノワール)とも。ジャンル名は韓国と日本でちょっと違うので、()内はほぼ直訳。そもそもジャンルなんて明確に定義できるものでもなく、分析には便利なので使うという面も。
この手の映画では、『インサイダーズ』が一番好きなぐらい好きだったんですけどね。改めて見たら、問題もいっぱい見えてきました。
なんでこのジャンルが流行るのか。「韓国人は刺激的なのが好きだから」という学生の分析。そうなんですよね。食べ物のせい?
暴力も性的な描写も、行き過ぎと思うけど、これでもかとエスカレートしてます。
『インサイダーズ』に限らずですが、特に『インサイダーズ』は主要登場人物に女性が出てこない。出てくるのは性接待の女性たち。かろうじてアン・サング(イ・ビョンホン)の彼女的な存在が出てきますが、これも復讐劇の駒として使われる。
と、まあ、この辺りまでは常々思ってることですが、さすが、教授の分析は鋭かった。
誰が一番욕(スラング)をしゃべってるか。
答え。検事のウ・ジャンフン(チョ・スンウ)。
わたしがこの映画が好きだったのは、ウ・ジャンフンが正義の味方とかでなく、出世欲の塊というところだったんですね。
韓国は世界的に見ても、スラングの発達した国。
なぜスラングが発達するのか。
ストレス解消のため。
それだけ抑圧されている。
抑圧されているというのは、不当な待遇を受けているということで、それは言い換えると欲があるから。
というのが教授の分析。
ウ・ジャンフンというキャラクターは、警察出身の検事で、実力ではなかなか出世できない。
出世欲は誰よりも強いのに。だから不当に感じる=ストレスがたまる=口を開けばスラング。
ある意味韓国社会を圧縮したようなキャラクター。
韓国の人がみんなそうと言ってるわけでは決してないです!
でもこの映画が全然架空の話に思えないのは、説得力のある部分がかなりあるから。
3時間の授業なので、この10倍ぐらいメモがありますが、この辺にしときます~
特にウ・ジャンフンが一番スラングが多いという話が印象に残ったのは、気づかなかったというのと、
わたし自身が最近ストレスを抱えているのは、そうか、欲深いからかと思ったから。
あれもこれも、色々あきらめられずに、自分があと3人ぐらいいたら全部できるのになとか思ってる。
せっかく仕事辞めたのにな。
1年前の初心に戻って、色々手放そうかと思います