山形の躍進に74年のオランダを見た
敵地で大宮を3-0と圧倒した山形の戦いは、ファンタスティックである。
見事としか言いようがない。
もうひとつの「東北の雄」、新潟と共に、今年のJリーグの注目の的である。
この山形のサッカーをよく観察していると、30年以上も前に世界を驚かせたオランダの、「トータルフットボール」を思い出さずにいられない。
74年のワールドカップ西ドイツ大会。
決勝でホストカントリーの西ドイツと対戦したオランダは、ものすごいチームだった。
あの伝説のプレイヤー、Y・クライフを中心に、全員守備、全員攻撃。
今のサッカーの原点になったと言われるなチームだ。
ちなみに、今では当たり前になっている「オフサイド・トラップ」を世界中に知らしめたのも、このオランダチームが最初だった。
見た目は超攻撃的なチームだったが、それ以上に注目されたのはその守備だった。
中盤で相手選手がボールを持つと、あっという間に数人のオランダ選手が取り囲んだ。
素早くボールを奪うと、パスを何本かつなぎ、最後は必ずクライフに渡った。
そこから何種類ものイマジネーション豊かな、決定的なラストパスが前線の選手に送られた。
クライフはともかく、中盤でのボールの奪い方は、山形はあのオランダに似ている。
山形はそれを前線でもやっている。すごいことだ。
トータルフットボールに必要不可欠なのは、他のチーム以上の運動量だ。
圧倒的な運動量が、全員守備・全員攻撃を可能にする。
今の山形は、それが出来ている。だから強いのもうなずける。
チーム失点数が、8節終了時点で、鹿島、浦和と並んで最小の6。
チーム全員でよく守っている証しだ。
個々の選手も、実に魅力的だ。
守備の要のレオナルド。山形一筋6年目の実に頼れるDFで、セットプレーでの得点力は相手チームの脅威だ。
トップの長谷川。この今年大ブレイクのFWは、小林監督が覚醒させた。
トップ下(というか、ほとんどトップ)の古橋。
セレッソにいた時から筆者が好きだった選手で、豊富な運動量と高い決定率を誇る、相手チームにとっては危険極まりない選手である。
今月最初のブログで、山形の心配な点は、その選手層の薄さである、と書いた。
運動量豊富なチームであるから、その心配はなおさらである。
GWの過密日程と、その後にくる梅雨時から夏にかけての選手のバテが心配だ。
そのあたりは、監督の采配が見ものである。
素晴らしいサッカーを展開し、世界を驚かせたオランダは、74年大会の決勝では地元の西ドイツに1-2で敗れた。開始たった1分でPKを得、リードした結果欲が出て、本来のトータルフットボールが消滅。選手が優勝することばかりに気をとられ、浮き足立ってしまったのだ。
これは決勝戦後、各選手が話した実話である。
このときの、オランダナショナルチームに欠けていた唯一のものが経験だった。
それが決勝でモロに出てしまったのだ。
クライフでさえ冷静さを失い、ハーフタイムに主審(確かイングランドのテーラー氏)に文句を言って警告を受けていた。
山形の見える弱点は、選手層の薄さで、見えない弱点は経験のなさだろう。
このまま、ひたむきなサッカーを最後まで貫き通して欲しいものである。
今の成績の良さは、決してまぐれではないのだから。
全日本・重量級決勝に感動したか?
あくまで筆者個人の感想である。
それを事前に断っておかないと、色々文句を言われるかもしれない。
まあ文句を言われても構わないのだが...。
全日本柔道選手権の中継をテレビで見た。
重量級の決勝。
棟田ー穴井の対戦である。
穴井は準々決勝で、北京五輪代表の横田に1本勝ち。
準決勝では生田を内股でこれも鮮やかに下していた。
一方の棟田は苦戦の連続での勝ち上がり。
しかも準々決勝と準決勝の2戦で、左足を痛め、引きずった状態だった。
普通に考えた場合、決勝は穴井が1本勝ちするだろうと予想された。
それほど、棟田の足の状態は良くない。スタミナも目に見えて棟田の方が消耗していた。
決勝戦。
足の状態が良くない棟田は、案の定、何度も倒れ、長い時間起き上がってこない。
それは準決勝でも見られた光景だった。
それぞれ、人の見方はあるだろうが、あれほど起き上がってこれないほど、足を痛めているのであれば、なぜ棄権しないのか?棄権しないのが美学なのか?
それとも周りが見るほど痛めていないのか?
もう一度断っておこう。
あくまで個人の感想である。
もしも、である。
決勝戦。フラフラ(に見えた)棟田は、明らかに油断した穴井の、一瞬のスキをついて「有効」を奪った。
残り時間が2分ほどの時だった。
もし、あのまま棟田に一度しか「指導」がいかず、試合が終了していれば、ポイントで棟田の優勝だった。
幸いだったのは、こんな試合の内容で、棟田に優勝させては大問題になるのを恐れた副審2人が、残り時間に慌てて2回目の「指導」を要請したことだった。(そう思わざるを得ない)
残り時間は30秒ほどだった。
ポイントが並んだ時、TV解説者の篠原全日本監督は、「ここで穴井には守りに入って欲しくない。責めて欲しいですね」と言っていた。
つまり内容的には完全に穴井の圧勝だったということだ。
この決勝戦には多くの疑問点があった。
①棟田の足は、本当にヒドいほど痛んでいたのか?
②本当に相当ヒドいのであればなぜ棄権しなかったのか?棄権しても大怪我なら非難はされない筈である。
③穴井は、なぜあのような「遠慮がち」な攻めしかしなかったのか?
結局、穴井は、「足を痛めている」(であろう)相手から、決勝では指導以外のポイントは奪えていない。
それほど棟田は強かったのか?
棟田は、倒れて、相当長い時間起き上がれないほど足を痛めていても、物凄く強かったのか?
日本の柔道は、明らかに低迷していると言われている。
中でも男子は、先の北京五輪でも、予想を遥かに下回る成績だった。
その原因のヒントが、今日の決勝戦の中にあったような気がした。
「まあ、練習不足だったので仕方がないですね」
今日の大会終了後の、決勝で敗れた棟田と、準々決勝で敗れた横田のコメントである。
日本選手権である。
なぜ練習不足なのか?それが不思議で仕方がない。
練習不足の選手が、それでも上位を占める日本選手権。
低迷するのは当然なのかも知れない。
そう思った。
文句なく最強助っ人。タフィー・ローズ
オリックスのT・ローズが、26日の対日本ハム戦で、通算ホームランの450号を記録した。
13年での通算450号は、あの王貞治に次ぐスピード記録で、これは凄い記録である。
彼は間違いなく、最強助っ人といえるだろう。
彼の記録の下には、田淵、野村、落合、山本(浩)、そして清原と錚々たるスラッガーの名が並ぶ。
現在40歳でのあのパワーは、凄いとしか言いようがない。
今年も両リーグを通じ、10号ホームランに一番乗りでだ。
歴代の助っ人外人で、「最強候補」は何人もいる。
元阪神のバース。同じくヤクルトのペタジーニ。巨人のクロマティ。
新しいところでは、昨年まで中日にいたウッズ。他にもいっぱいいた。
しかしローズの記録には遠く及ばない。
ホームランや打率、打点などの記録面で、ローズに匹敵する助っ人を敢えて挙げるなら、元ロッテのR・リーだろう。彼は、ローズがいなかったら間違いなく最強だ。
ローズのフルスィングを、球場で何度も見たことがある。
何度かネット裏で見たのだが、とにかく凄い。
空振りが凄いのだ。
あのバットをクルクルと細かく回す独特の構えから、とにかく物凄いスィングで空振りする。
フルスィングとは、このことを言うのだろうと思われる空振り。
こっちまで風の音が聞えてきそうなほどの豪快さだった。
あのスィングに、投手はビビる。
絶対ビビるはずだ。
空振りしても相手がビビるのは、4番打者の特権だろうが、彼の空振りは格別だ。
ローズがいつまで日本の野球界にいるかは分からないが、この先どこまで記録を残すのか楽しみだ。
今年も一度はあの豪快な空振りを球場で見てみたい。
いや、たぶん見に行ってしまうだろう。