『中国経済 2023』
第5回
「エネルギー」
中国は、発電量、電力消費量とも世界最大ですが、二酸化炭素排出量も世界一です。
<太陽光発電>
(太陽光発電の累積参入量の推移)(国際エネルギー機関IEA)
中国の太陽光発電関連の業界団体、中国光伏行業協会(CPIA)は、国内の太陽光発電容量が2023年に95~120GW拡大するとの見通しを示した。120GWなら前年比30%増に相当し、過去最大の伸びになるという。
公式統計によると、2022年は太陽光発電容量が87.41GW拡大し392.61GWとなった。
CPIAのデータによると、中国の2022年の太陽電池用ウエハー輸出は前年比61%増の約36.3GW、太陽電池は131%増の23.8GWだった。
中国の太陽光パネル関連製品の輸出額が、2022年は過去最高の512億5000万ドル(約6兆8456億円)に達し、前年比8割増の大幅な伸びを記録したことがわかった。
上述の関連製品には太陽光発電用のシリコンウェハー、電池セル、(多数の電池セルを組み合わせた)電池モジュールが含まれている。総輸出に占める比率が最も大きいのは電池モジュールで、金額ベースの輸出額は前年比7割増の423億6000万ドル(約5兆6582億円)、定格出力ベースの輸出量は同56%増の153.6GW(ギガワット)に上った。
世界の太陽光発電市場を俯瞰すると、中国は太陽光パネルの原材料から完成品に至る(他国が真似できない)一貫したサプライチェーンを築き、圧倒的なコスト競争力を持つ。国際エネルギー機関(IEA)が2022年8月に発表したレポートによれば、シリコン原料、シリコンウェハー、太陽電池セル、太陽電池モジュールのすべてにおいて、中国企業の世界シェアは8割を超えている。中国メーカーは世界最高のコスト競争力と、世界最大の国内市場を背景に市場を席巻してきた。2019年には世界シェアのトップ5を独占、トップ10のうち8社を中国メーカーが占めるという圧倒的な地位を築いている。2021年に世界全体で販売された太陽光発電モジュールの75%が中国製だった、という驚きのデータもある。
青海省、甘粛省などの広大な原野に数万から数十万kwのメガソーラーが次々と建設され、中国国内の太陽光発電市場は巨大化した。
<エネルギー総消費量>
(中国国家統計局 中国統計年鑑2022年度版)
中国政府が推進するエネルギー消費の「双控(ダブルコントロール)」政策が、中国各地のアルミ精錬会社や鉄鋼メーカーの生産に大きな影響を及ぼしている。双控とは、電力や石炭などのエネルギーの消費総量を抑制すると同時に、エネルギーの消費効率の改善を図るという意味だ。
ここに来て双控政策の推進が強化されている背景には、2021年の前半に少なからぬ地方でエネルギーの消費効率が悪化したことがある。国は双控政策の解釈を次のように明確化した。まず、双控政策の目的は二酸化炭素排出量が多い化石燃料の消費を抑制することにあり、あらゆるエネルギーの消費を抑制することではない。そのうえで、政策の執行にあたってはエネルギー消費総量の抑制よりも、エネルギー消費効率の改善を優先するとした。
<一次エネルギー供給構成>石油換算(2021年)
(IEA)
中国のエネルギー消費構造は、化石エネルギーが大きな割合を占めている。一次エネルギー消費に占める石炭の割合は、2010年頃までは約7割を占 めていたが、その後は減少傾向に転じている。 2018年の石炭消費量は、全体に占める割合が初めて6割を下回った。 一方、石油と天然ガスの消費量は年々増加しており、2018年の消費量は 2008年比でそれぞれ 90%増、478%増となった。全体に占める割合は石油が約20%、天然ガスが約7%である
<原油生産量>
(中国国家統計局 中国統計年鑑2022年度版)
中国の原油は低油価に伴う投資縮小とコストの高い成熟油田の生産を抑制したことで、2015年から2018年にかけて生産が減少していた。しかし、米中貿易摩擦や産油国の供給不安定化を受けて同国のエネルギーセキュリティ意識が高まり、政府が国有石油企業に国内供給強化を働きかけ、企業が投資を増加させたことで2019年以降増加に転じている。新型コロナウイルス感染拡大に伴う石油生産操業への影響は限定的であった。ただし損益分岐点がバレルあたり60ドルを超える成熟油田を抱える同国の原油生産が今後大幅に上向くことは考えにくい。
<発電量>
(中国国家統計局 中国統計年鑑2022年度版)
中国では現在、電力不足が深刻化しているが、これは石炭を主燃料とする火力発電所の発電抑制が主因とみられます。中国政府は、2030年までに二酸化炭素の排出量をピークアウトさせ、2060年までに実質ゼロとすることを目標とし、地方政府にエネルギー消費量抑制などを課しています。
また、石炭価格の上昇で、電力会社が十分な燃料を確保できないことも、電力の需給ひっ迫につながっている。さらに、中国政府は新型コロナウイルスの発生源を巡りオーストラリアと対立しており、オーストラリア産の石炭や農産物などの輸入を制限する事実上の制裁を続けている。オーストラリア産の石炭は、中国の輸入石炭の25%強を占めていたが、昨年から輸入は止まっており、石炭は品薄状態にあります。
(IEA)
<中国・米国・日本 二酸化炭素排出量>
(IEA)
化石エネルギーの大量消費によって、中国は世界最大のCO2排出国になり、2019年には エネルギー由来のCO2排出量が約10GT となった(IEA 2019年)。これは日本の排出量の約9倍 であり、世界第2位の排出国である米国の約2倍に相当する。またSO2やPM2.5 など、様々な環境負荷物質の排出量も多く、大気汚染や酸性雨などの深刻な環境問題を引き起こしている。また、一人当たりのエネルギー消費水準を見ると、中国は欧米や日本などの先進諸国と比べてまだ低く、アメリカの3分の1に過ぎない。現在のエネルギー消費構造のまま、経済成長と共に中国のエネルギー消費水準が先進国と同じレベルに至れば、CO2を含めさらに大量の環境負荷物質が排出され、世界全体にとっても、中国自身にとっても、深刻な 環境悪化を招くことになる。
「日本経済指標と米国経済指標」 http://www1.odn.ne.jp/keizai/
「中国経済指標」 http://www1.odn.ne.jp/china/
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次回は 第6回 「消費」
(担当E)
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