『中国経済 2023』第4回 IT・AI | 奈良の鹿たち

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『中国経済 2023』

第4回 

 「IT・AI」

 

 

ITは工業・商業・金融・輸送交通・宇宙・軍事など、すべての分野で最重要なテクノロジーです。

中国のIT技術の成果については、枚挙のいとまがありません。

 

<新エネルギー車 NEV>

約5000億ドルと世界最大の規模を誇る中国の自動車市場。ここでは今、EVの販売が急増している。

中国自動車工業協会が発表したところでは、2022年の新車販売台数は前年比2.1%増の2686万4千台だった。増加は2年連続。中国政府の厳しいゼロコロナ政策による移動制限やロックダウン(都市封鎖)の影響があったものの、電気自動車(EV)などの売れ行きが好調だったためだ。

中国汽車工業協会(CAAM)が2023年1月12日に発表した統計。

NEVにはEVとプラグインハイブリッド車(PHV)が含まれる。

中国汽車工業協会(CAAM)が2023年1月12日に発表した統計によると2022年に中国で販売されたEV(電気自動車)など「新エネルギー車NEV」は約689万台と前年よりも95.5%も増えて世界最大の市場になった。2020年以降は、急激に販売台数が伸びていることがうかがえる。

EVやPHV(プラグインハイブリッド車)を指す「新エネルギー車(NEV)」の販売台数が前年の2倍弱の688万7千台まで増え、全体の4分の1を占めた。そのうち500万台以上がEVだ。

新エネルギー車NEVは、3割増の900万と新車全体の3割に達する見込みだ。ガソリン車需要の急減で中国の自動車販売全体が減る中で、乗用車市場全体に占めるNEVの割合は拡大した。

「35年に少なくとも2500万台と、新車の8割を占める」(清華大学の欧陽明高教授)との見方もある。

2023年第1四半期は乗用車市場全体では前年比▲4.3%減・526万台と減少したが、EVなど新エネルギー車は26%増・159万台と、新車販売のシェアが30%(うちバッテリー式電気自動車〈BEV〉が73%)を越えた。

中国のEV市場は米国(22年で81万台、EVの比率は6%)や欧州主要18カ国(153万台、15%)、日本(22年度で7万7238台、2.1%)を大幅に上回り、成長スピードが際立つ。

中国でEVが売れる背景には、原油高によるガソリン価格の上昇だけでなく、中国政府による補助金の効果や、大都市でナンバープレートが入手しやすいことなどがある。ただ、政府は今年からNEVへの補助金を取りやめたため、今後の販売台数に影響を与える可能性がある。

それでも中国は2023年に新車の4台に1台がEVとなる見通しだ。

EVメーカーも中国企業が圧倒的力を持っている。2022年のNEV販売台数で、上位10社に入っている外資系メーカーは3位の米テスラのみだ。残りはすべてBYD、上汽通用五菱汽車(ウーリン)、奇瑞汽車(チェリー)、小鵬汽車など中国ブランドが占めている。首位のBYDは年初からのEV販売台数が約39万台と、テスラの中国販売の3倍だ。

 

<量子暗号実験衛星「墨子」を利用して量子状態遠隔転送に成功>

量子暗号実験衛星「墨子」は、量子通信を可能にする基礎技術の試験と開発のために2016年に打ち上げられたもので、米国ですら到達していない領域である。量子暗号は、現状のコンピューターでは解読ができず、従来の物理的盗聴は、どんな形であれ不可能とされている。2017年7月に地上・宇宙間の量子テレポーテーション、8月には量子鍵配送が成功し、9月に世界で初めて大陸間の量子暗号通信に成功した。

2021年1月 「墨子号」と地上に設置された長さ2000kmの量子通信ケーブル(北京・済南・合肥・上海の4都市をつなぐ量子通信ネットワーク)の接続により、距離4600kmの衛星・地上間量子鍵配送実験に成功した。

量子衛星「墨子」は、この2年間で、衛星・地球間暗号の生成量を40倍に拡大した。現在は1秒で約40万個の暗号を送ることができ、一部の応用機関の安全通信の需要を大まかに満たしている。衛星「墨子」には、主に2つの目標がある。一つは、超長距離衛星・地球間量子機密通信の実現。もう一つは、宇宙スケールでアインシュタインが指摘した「量子力学の不確実性」を検証することだ。墨子号の性能・指標は予想を大幅に上回り、2年で完遂を予定していた科学試験任務を2~3ヶ月で終えた。

2022年5月に中国科学技術大学のチームは、地球上の1200㎞離れた2つの地点の間における量子状態の遠隔転送を始めて実現したと発表した。1200キロの距離は、地上における量子状態転送の新記録となります。 

 

2022年6月、中国が3隻目の航空母艦(空母)となる「福建」の進水式を盛大に行った。同国海軍での実戦配備は2024年以降になると見られる。

画像からすると、組み立ては既に飛行甲板にまで達していて、電磁式カタパルト搭載の様子も見られる。「福建」はディーゼルエンジン機関を搭載し、満載排水量は約8万トンで、45機から50機を艦載できる。
武漢の試験場に置かれた搭載する戦闘機のモックアップからするとFC-31が搭載されるようである。

また、4隻目から原子力空母となる予定だ。

 

量子コンピューター

中国の検索エンジン大手、百度(バイドゥ)は2022年8月、同社初の量子コンピューターを公開した。外部ユーザーの利用も可能になる。

中国は世界で3番目に量子コンピューターの完成品引き渡し能力を備えた国になった。

また、量子コンピューターメーカーの合肥本源量子は複数の国産量子コンピューターの開発に成功し、1台をユーザーに引き渡しています。これにより、中国は量子コンピューター完成品の引き渡し能力を備えた世界で3番目の国となりました。 

 

<電波望遠鏡「天眼」>

4,450枚の三角形の反射パネルを組み合わせ、固定球面鏡を形成している。

望遠鏡直径は500mである。

2020年1月11日に調整を終え正式に稼働を始めた

2022年12月これまでに宇宙で観測された中で最大の原子ガス構造を発見した。

2023年2月現在これまでに740個余りのパルサーを発見した。

 

<中国宇宙ステーション>

中国が建設を進めてきた独自の宇宙ステーションが2022年中にすでに完成し、ことしから本格的な運用が始まる見通しであることが明らかになった。

「ことしは有人宇宙ステーションのプロジェクトが応用と発展の段階に入り、宇宙ステーションは通常の運用に移行する」との目標も示されたということで、ことしから本格的な運用が始まる見通しであることが明らかになった。
中国の宇宙ステーションは全長30メートル余りで、「天和」という基幹施設と2つの実験施設からなるT字型の構造になっている。

 

<火星探査機「天問1号」>

2021年5月、火星に探査機「天問1号」を着陸させることに成功した。さらに、探査車「祝融」で火星地表の画像を撮影させることも達成した。着陸成功は旧ソ連と米国に続く3カ国目、探査車の活動は米国に続く2カ国目という難関を一気にクリアした。

専門家によると、祝融号の巡視エリアは現在すでに冬に入っており、日中の最高気温がマイナス20℃以下、夜間の最低気温がマイナス100℃に下がる。また所在エリアは現在、強い砂嵐に見舞われている。 設計プランと飛行制御プランに基づき、祝融号は2022年5月18日にスリープモードに入った。今年12月前後に環境条件が好転した後、正常な活動を再開する予定だった。

しかし、予想以上の砂塵が堆積したことにより太陽光発電が妨げられ、再起動に十分な電力を生成できない状態とみられる。砂塵の堆積が想定を大きく上回る場合、いくら太陽光を浴びても探査車は復活できず、「永遠に」活動を停止することになるという。

 

<第5世代移動通信システム(5G)>

2021年5月 中国に設置された5G基地局は、世界の約7割を占める81万9千ヶ所に達すると発表。同年7月で中国の5G利用者数は1億6000万人を超え、全世界の5G利用者数の9割を占めている。

2022年に新たに60万カ所以上整備する目標を明らかにした。同年末の累計設置数は200万カ所に達すると見込む。

次世代高速通信「6G」の規格を巡り、中国と米国・日本が特許で覇権争いをしている。中核技術の特許出願数では、中国が全体の40%とリードするが、35%の米国と10%弱の日本を合わせると拮抗する。

6Gは自動運転や仮想現実(VR)など活用分野が広がる。

 

<ドローン>

 

2021年現在、世界の民生用ドローン市場で7割以上のシェアを獲得しているのは中国企業のDJIだ。 

中国のドローン市場は、急ピッチな成長が持続する見通しだ。これから2023年にかけた市場規模は、年率平均60%超のピッチで拡大すると分析されている。

      

 

         「日本経済指標と米国経済指標」  http://www1.odn.ne.jp/keizai/

   「中国経済指標」                           http://www1.odn.ne.jp/china/ 

 

 

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次回は 第5回  「エネルギー」

 

 

(担当E)

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