『北海道の地質的景観』 第22回 阿寒湖 | 奈良の鹿たち

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『北海道の地質的景観』

第22回

<阿寒湖>

 

 

 

 

古阿寒湖は約17.5万年前の噴火、及び約15.8万年前の噴火によるカルデラ湖として誕生しました。いったんは外輪山である雌阿寒岳の噴火などによって埋め立てられたが、今から1万年程前に雄阿寒岳(中央火口丘にあたる)の噴火活動によって堰止湖(せきとめこ)がつくられました。

しかし雄阿寒岳は成長を続け湖面を埋めてしまい、古阿寒湖は分断され現在の阿寒湖、そして東にあるペンケトー、パンケトーが誕生しました。

なお雌阿寒岳は現在も活動中の活火山です。

 

 

●雄阿寒岳

阿寒町の北部、阿寒湖の東岸に位置する円錐(えんすい)形の火山。

阿寒国立公園の中にあり、標高は1370m。約1万年前から火山活動が始まり、阿寒カルデラの底に中央火口丘として火山体が形成されました。山体のほとんどが安山岩質の溶岩からなっており、西麓には溶岩流の堰止めによって阿寒湖が、北東の山麓にはパンケトーペンケトーとよばれる湖がそれぞれ形成されました。 

最近では2006年3月21日には小規模な噴火を起こしました。

 

●雌阿寒岳

標高は1499m。阿寒カルデラの南西縁で、異なる火道から噴出した八つの火山体からなっています。その中で主なものは、中マチネシリポンマチネシリ、阿寒富士の三つで、この順に北東から南西に向かって並んでいます。中マチネシリ、ポンマチネシリには現在も活発に噴気をあげる火口があります。雌阿寒岳の火山活動は第四紀の更新世末期から始まったが、約12000年前に大規模な火砕噴火を起こし、中マチネシリ山頂に大きな火口が形成されました。その後7000~3000年前の活動により、安山岩質あるいは石英安山岩質の溶岩および溶結火砕岩・降下火砕物からなるポンマチネシリが形成されました。

阿寒富士は、約2000年前に雌阿寒岳の六,七合目辺りが噴火して円錐状の山容をつくりました。

その噴火の際、溶岩の一部により螺湾川が堰き止められ、西麓のオンネトーという堰止湖が形成されました。湖水は酸性のため魚は生息できず、エゾサンショウウオとザリガニのみが生息しています。湖面は美しいエメラルドグリーンですが、北湖岸から湧出する水は茶褐色を呈する水酸化鉄の沈殿が著しい。

 

 

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次回は 第23回「日高山脈カール」

 

 

(担当 G)

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