『北海道の地質的景観』 第21回 大雪山 | 奈良の鹿たち

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『北海道の地質的景観』

第21回

<大雪山>

 

 

 

 

大雪山は長い成長の歴史を有する火山群で100万~70万年前に活動を開始しました。

 

●活動開始からおよそ5万年前までの時期。

この時期の火山岩類は比布岳、愛別岳、赤岳などの外輪山火山群でのみ見られます。

沼ノ平溶岩の年代はおよそ30万年前です。 流動性の高い厚い溶岩流が噴出し、沼ノ平溶岩の地表面には凹凸が大きく、多くの沼が出来ています。

 

●3万年前

大規模な爆発的噴火によりお鉢平カルデラが生じました。 お鉢平の形成時には火砕流が石狩川上流や忠別川上流一帯に噴出し、直径約2kmのカルデラが生じました。 カルデラ中に見られる湖底堆積物は、お鉢平がかつては湖であったことを物語っています。

同時に大量の火砕流が東側に流出して台地を形成しました。この台地を石狩川が浸食してできたのが層雲峡で、両岸の柱状節理はこのときに堆積した溶結凝灰岩です。火砕流の厚さは最大で250mにもおよび、分布範囲も広くて30kmも離れた上川町にまで達しています。

 

●2万年前以降現在まで

1万年前から西部で繰り返し噴火が起こり成層火山の旭岳ができました。 旭岳大雪山の峰々の中で最も若い火山体で、形成時期は数千年前とされています。約5600年前に山体の一部が崩壊する噴火が起こって、3000~2000年前には、大規模な山体崩壊によって山頂西側に馬蹄形の地獄谷火口が生じました。この時の岩なだれ堆積物は旭岳温泉にまで達しました。1000年前から水蒸気爆発が頻発し、姿見池など小火口群を生じました。 現在も続いている地獄谷の噴気活動は大雪山がまだ活動的であることを物語っています。最近3000年間では顕著なマグマ噴火は起こっていません。

 

 

 

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次回は 第22回「阿寒湖」

 

 

(担当 G)

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