『北海道の地質的景観』 第13回 新冠 泥火山 | 奈良の鹿たち

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『北海道の地質的景観』 

第13回

<新冠 泥火山>

 

 

日高地方の新冠町節婦から新ひだか町にかけて、点々と泥火山が分布しています。その代表格が高江地区の「新冠泥火山」で、ここでは4つの丘が確認できます。

泥火山とは、地下から水と一緒に噴出した泥が積み重なって出来た丘のことで、世界の油田地帯や海底の現世付加体などに分布しています。国内では、新潟県などでも見つかっています。

「新冠泥火山」の特徴は、大地震に伴って噴泥や亀裂の発生などの変動が発生することです。

2003年(平成15年)9月26日に十勝沖で地震があり、255cmの津波が起こりました。この時に新冠の泥火山が、規模は小さかったが再び活動しました。「新冠泥火山」は、地震の液状化によって起こります。泥火山の活動は1952年のマグネチュード8以上の十勝沖地震、1982年3月の浦河沖地震、 1994年北海道東方沖地震でも起きました。

最近では2008年9月11日の十勝沖地震(マグニチュード7.1)でも変動が見られました。

噴泥は、地震の時にだけ変動を起しているのは、すでに地下の異常高圧の状態が弱まっているためではないか、と推定されています。

直径約100m~250m、周りの地面からの高さは数m~20mです。

「新冠泥火山」は、1968年(昭和43年)1月18日に北海道の天然記念物に指定されました。

泥火山と呼ばれているものの多くは、マグマや温泉の活動によってできるものです。地熱地帯で、泥沼の底に水蒸気が噴出して液状化現象を起こしているものを泥火山と呼んでいます。地下に異常な高水圧の地層(異常高圧層)があり、地上への通路が開くなど圧力の開放が生じた時に発生するとみられています。みかけは火山に似ているが、本当の火山ではありません。


この液状化現象とは、水分を多く含んでいる固まっていない地層に地震の振動が加わることによって起こります。地震の振動によって、地層内の水圧が上がり、粒子間の圧力がなくなり、液体のような振る舞いをします。もし、地表に向かって割れ目ができると、液体として地層の成分が水ともに噴出します。新冠の地下には、新第三紀中新世(1000万年前ころ)の地層があり、この地層からは、少しですがガスが噴出したり、石油が出ていることが知られていました。

つまり、水分やガスの成分を多く含むまだ固まっていない堆積物が地下にあったことを意味しています。そして、海岸線と平行して「節婦(せっぷ)断層」とよばれる断層があります。新冠の地下には、このような条件があったので、大きな地震が来たとき液状化現象が起こったと考えられています。  

  

 

 

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 次回は 第14回 「支笏湖」

 

 

(担当 G)

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