『北海道の地質的景観』 第11回 夕張炭鉱 | 奈良の鹿たち

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『北海道の地質的景観』 

第11回

<夕張炭鉱>

 

 

 

夕張市の「石炭の歴史村」「石炭博物館」のすぐ南側にあるのが、北海道指定の天然記念物「24尺大露頭炭」です。この露頭はこの地域を初めて調査した際、1888年に発見され、石狩炭田・夕張炭鉱の開発のきっかけとなりました。

これは、挟炭層である古第三系始新統夕張層中の石炭層で、下位から10尺層・8尺層・6尺層の3層からなり、あわせて24尺層 (7.2m) となる。各層の間には薄い凝灰岩層や泥岩層を挟み、地層は南東へゆるく傾斜しています。夕張を含む石狩炭田が開発される端緒になり、歴史的にも記念すべき露頭です。

約4000万年前、今の北海道北部から三陸沖にかけて、平野、湖、湿地や入江が広がっていました。枯れた植物が湿地で泥炭層となり、2000mを超える地中深くまで埋まり、地圧や地熱を受けて硬く緻密な3層(あわせて24尺層:7.2m)に分かれて石炭層ができました。

その後、日高山脈が高くなるにつれて上昇してきて、上に載っていた地層が削られ、地表に出て今の姿になりました。

石炭は、過去の陸上植物が地層中に埋没して炭化したものです。厚さ1mの炭層ができるためには、植物遺体が十数mもの厚さで堆積する必要があるとも言われています。この計算からすると、24尺層の原料になった植物遺体の厚さは、優に100mを超えることになります。始新世当時の温暖な気候がもたらした可能性が考えられます。

     

 

 

 

 

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 次回は 第12回「積丹半島」

 

 

(担当 G)

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