『北海道の地質的景観』
第5回
<襟裳岬>
襟裳岬は,大地形的には日高山脈が太平洋に没する場所です。
襟裳岬周辺に分布するのは,砂岩・泥岩・礫岩の互層からなる襟裳層です。
襟裳岬遊歩道から岬の海岸に降りると,見事な礫岩・砂岩互層が露出しています。この礫岩の起源は日高山脈であり、その南端が徐々に高度を下げてそのまま太平洋に沈んでいく大パノラマを見ることができます。海に沈んだ日高山脈は、さらに海底を6kmは続いていると考えられています。
厳密に言うと実は、襟裳岬は,地理的には日高山脈が太平洋に没する場所であるが、日高山脈を本質的に構成する岩石(日高変成火成岩類)は襟裳岬では分布せず、地質学的には日高山脈の一部とは言えないのです。
えりも町襟裳岬~百人浜~庶野にかけての地域には,何段かの明瞭な海岸段丘が発達しています。顕著な段丘地形面で,牧場・牧草地として利用されています。
なお,襟裳岬から北方に分布するえりも岬層からマンモスの歯化石が発見されています。年代は約2万2千年前で最終氷期の堆積物とされています。
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次回は 第6回「根室 車石」
(担当 G)
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