『北海道の地質的景観』
第3回
<有珠山と昭和新山>
洞爺湖畔に隣接する二つの活火山は、生まれた時代も生まれ方も全く違います。
<有珠山>(733m)
有珠山の活動で見られるのは粘り気の強いデイサイト溶岩で、多くの溶岩ドームや潜在溶岩ドームが発達しました。有珠山山頂部の大有珠、オガリ山、有珠新山なども、江戸時代から昭和にかけて次々とつくられた溶岩ドームです。
<昭和新山>(398m)
昭和新山は、有珠山南東山麓の壮瞥村(現壮瞥町)の麦畑で1944(昭和19)年4月に隆起が始まり、6月23日に旧フカバ地域で水蒸気爆発が始まりました。その後、大中小規模の噴火を繰り返して11月末に屋根山を突き破るようにして溶岩ドームが頭を出し、活動が収束したのは1945(昭和20)年9月20日です。1945年の9月まで続き、海抜406.9mの昭和新山が誕生しました。
地元の壮瞥郵便局長 三松正夫氏が、隆起・成長の様子を詳細に記録し、それは「ミマツダイヤグラム」として火山発生時の貴重な資料を残しました。三松は付近一帯を購入し、昭和新山の保護保全に努めました。その甲斐あって、1957年に国の天然記念物に指定されました。
昭和新山の上には、川原があった丸い礫が持ち上げられ、そこがかつて平地だったことを物語っています。
昭和新山の溶岩ドームは斜方輝石デイサイトで、青灰色をしています。表面がレンガ色を呈しているのは、噴火前の地盤を構成していた堆積物が高温酸化により天然レンガとなったものです。
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次回は 第4回「洞爺湖」
(担当 G)
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