『生物の変遷と進化』第35回 新人類の出現 | 奈良の鹿たち

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『生物の変遷と進化』第35回

<20万年~1万年前>

(新生代/第四紀)

「新人類の出現」

(クロマニヨン人壁画)

 

ホモ・サピエンス

旧人・新人という言葉の定義は、学術的には明確ではありません。

一応、新人とはホモ・サピエンスであり、クロマニオン人とわれわれ現人類が該当します。

“アフリカ単一起源説”によれば、60万年前にアフリカで、ネアンデルタール人との共通祖先(ハイデルベルク人?)から分離し ホモ・サピエンスが誕生しました。

しかし、ホモ・サピエンスの最古の骨は30万年前のものです。

では、60万年前にネアンデルタール人と分離してから30万年間は、どのようなホモ・サピエンスがいたのか?

7~5万年前にアフリカを出て、レパント(東部地中海沿岸)に移動し、世界に展開していきました(出アフリカ)。しかし、ギリシャでは21万年前の、イスラエルのミスリヤ洞窟では18万年前の、中国でも12万~8万年前のホモ・サピエンスの骨が出ています。

どうも、ホモ・サピエンスの誕生経路がはっきりしません。

   (霊長類ー真猿類ー類人猿ー猿人⇒原人類⇒旧人類⇒新人類)

(一直線上に人類の進化を並べているが、系統的に繋がっていたということではない)

 

クロマニオン人

1868年、フランスのドルドーニュ地方のクロマニオン洞窟で5体の人骨化石が出土しました。クロマニオン人と名付けられました。その後、ヨーロッパ、北アフリカ各地でも数体の人骨が発見されました。クロマニョン人は、約4万5千~1万年前の後期旧石器時代にヨーロッパ、北アフリカに分布したと考えられます。

これらは現生人類の古い型である旧人 (ネアンデルタール人 ) とは明らかに異なったものでした。化石人類として彼らに先行しているネアンデルタール人とは、生物学的な繋がりはありません。クロマニョン人がアフリカからやって来たとき、ユーラシアにはすでにネアンデルタール人が生活しており、両者は併存していました。10万年前のクロマニョン人の化石がイスラエルで発見されており、ネアンデルタール人とクロマニョン人は、数万年間併存していたことになります。両者は交配していたという証拠もありますが、クロマニョン人がネアンデルタール人を滅ぼしたという説もあります。二つの人類の関係が友好関係か敵対関係か、または完全に無視し合っていたのかは判りません。いずれにせよ、ネアンデルタール人が絶滅するのは4~3万年前のことなので、かなり長い間、併存していたことになります。

彼らは、旧石器時代の後期旧石器文化にあたる石刃技法という高度な石器製造技術を持ち、投げ槍・弓矢・骨角器による漁労用具などを発明して狩猟・漁労技術を飛躍的に高めました。骨や牙で笛や矢尻を作ることもできました。

ネアンデルタール人は槍を手で使うだけでしたが、クロマニヨン人は「投げ槍」を使っていました。1万8000年前になると、投槍機(角を加工してフック状にして槍を遠くに飛ばす道具)を発明しています。1万5000年前ごろには弓矢を発明し、狩猟は一段と進歩しました。マンモスやバイソンなどが絶滅したのは人類の狩猟技術の進歩の結果という説もあります。

ラスコー洞窟、アルタミラ洞窟

2万年前の南フランスのラスコー洞窟壁画や、1万8500年前のスペインのアルタミラ洞窟壁画が発見されています。色には赤、黄色、茶がオーカー(ベンガラ)の濃淡で表され、炭や二酸化マンガンで黒、白陶土で白が彩色されて、複雑な技法が用いられています。

コスケール洞窟

南フランスのマルセーユの海底にコスケール洞窟があります。水深37m、奥行150mの奥に空洞があり、そこに2万6000年~1万8500年前の壁画が残されていました。当時は、海面が今よりも135mも低く、海岸線とは遥か10km以上離れていました。手形壁画(ネガティブ・ハンド)や陸上・海洋生物が描かれていました。同じ南フランスのラスコー洞窟と地理的にも近く、壁画内容が似通ったものがあり、時期的にも共に約2万年前であることから、クロマニオン人のものではないかと考えられています。

象牙やトナカイの角などを材料とした様々な彫刻(女性裸像)や装身具が多数出土しており、芸術表現や抽象化の能力を高めたことが知られます。

また、死者を丁重に埋葬し、呪術を行なった証拠もあるなど、進んだ文化を持っていました。

「ことば」を話していたともいわれています。

しかし、狩猟採集生活をし、イヌ以外の家畜を持たず、農耕も知らなかった(資源が豊富だったのでより効率の高い食糧生産方法は必要なかった)ため、ノウマ・ヤギュウ・マンモス等の大動物が減少・絶滅すると共に彼らも滅亡したとされています。

 

 

 

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次回は  第36回(最終回)「ホモ・サピエンスの広がり」

 

 

(担当B)

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