『生物の変遷と進化』第28回
<6600万年前>
(白亜紀)
「5回目の大量絶滅」
<白亜紀 大量絶滅>
5回目の大量絶滅は、規模としてはペルム紀末期の大絶滅に次ぐ大量絶滅でした。
陸上生物の50%、海洋生物の75%、生物全体で70%が絶滅しました。
種のレベルで最大約75%の生物が、また個体の数では99%以上が死滅しました。
哺乳類・爬虫類・鳥類の多くが絶滅し、特に2億年近く長い間隆盛を誇った恐竜は(現生種につながる真鳥類を除いて)全てが絶滅しました。また海洋においても、カメ、カンプソサウルス類以外の全ての海棲爬虫類、全てのアンモナイト類が絶滅しました。
白亜紀(独: Kreide)と新生代古第三紀(英: Paleogene)の境目であることから、K-Pg境界と呼ばれています。
●大量絶滅の原因
原因はメキシコのユカタン半島チクシュルーブ(Chicxulub)に巨大隕石(直径180km:四国ほどの大きさ)が落下したことが確認されています。(下図)
衝突の衝撃で一帯が焼き尽くされ、高さ300mの津波が発生しました。
舞い上がった粉塵・硫酸エアロゾルが成層圏に滞留し日光が遮られ、粉塵はその後100年間地球全体を覆い太陽光を遮断しました。その結果、気温も低下し大半の動植物、特に恐竜が絶滅したと考えられています。植物は光合成が出来ず食物連鎖が崩れました。
天体衝突や火山の大噴火が起こると、一時的に寒冷化が進み、その後大量に放出された温室効果ガスにより温暖化が進行します。
隕石が落ちる前と後の地層の境目 K-Pg境界線(下図)には、宇宙から来たイリジウムが記録されています。
また、この時代の地層に炭化水素の「コロネン(下図)」(カルパチア石)という物質が多く含まれていることが分かりました。コロネンは炭化水素で、有機物の燃焼でできる際、森林火災を上回る1,200度以上の高温を必要とします。具体的には高温のマグマか、天体の衝突によるものです。まとまった量のコロネンは大量絶滅が起きた年代の地層でしか見つかっていません。
隕石衝突が主原因だったのは確定していますが、このころ、インドのデカン高原にある広大なデカン・トラップ(Deccan Trap)(下図)を形成した火山活動が、地球環境に一層の負荷をかけた可能性も指摘されています。その活動は、6800万年前から6000万年前の間に何回かの噴火があり、80万㎦以上の溶岩が流出しました。現在の面積は50 ㎢で2,000m以上の厚さを有する洪水玄武岩の何枚もの層から成り立っています。デカン・トラップの浸食と大陸移動により減少する前の面積は、150万㎢におよんだと推定されています。
それによって、膨大な量の二酸化炭素が放出され地球の気温が上がった可能性が高いということです。
●大量絶滅の後
絶滅後の新生代において、捕食者や大型草食動物の多くがいなくなった陸上環境は、哺乳類や鳥類が多様化する余地を広げました。これにより、哺乳類は大型化や新たな生態的地位(ニッチ)を獲得し、鳥類は現在のように空・陸・水辺で幅広く適応放散を進めています。
しかし隕石衝突だけでは大量絶滅を説明しきれない事象もあります。
なぜ恐竜が絶滅し哺乳類が生き残ったのか。
同じ爬虫類でもワニ・カメ・トカゲ・鳥類は生き残りました。
小型化と柔軟な食性で、環境変化に伴う餌の枯渇時にも生き延びられる生存戦略を持っていた可能性があります。
隕石衝突から数万年後の地層からいくつかの恐竜の化石が発見され、恐竜はしばらくの間は生き残ったことになります。
大量絶滅については、当ブログ『生物 大量絶絶滅』をご覧ください
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次回は 第29回「霊長類の出現」
(担当B)
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