『生物の変遷と進化』第28回 5回目の大量絶滅 | 奈良の鹿たち

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『生物の変遷と進化』第28回

<6600万年前>

(白亜紀)

「5回目の大量絶滅」

 

隕石衝突

(隕石衝突)

 

 

5回目の大量絶滅は、規模としてはペルム紀末期の3回目の大絶滅に次ぐ大量絶滅でした。

陸上生物の50%、海洋生物の75%、生物全体で70%が絶滅しました。哺乳類・爬虫類・鳥類の多くが絶滅し、特に2億年近く長い間隆盛を誇った恐竜は(現生種につながる真鳥類を除いて)全てが絶滅しました。また海洋においても、カメ、カンプソサウルス類以外の全ての海棲爬虫類、全てのアンモナイト類が絶滅しました。

 

原因はメキシコのユカタン半島チクシュルーブChicxulubに巨大隕石(直径180km:四国ほどの大きさ)が落下したことが確認されています。衝突の衝撃で一帯が焼き尽くされ、高さ300mの津波が発生し、巻き起こった粉塵は、その後100年間地球全体を覆い太陽光を遮断しました。その結果、気温も低下し、大半の動植物、特に恐竜が絶滅したと考えられています。植物は光合成が出来ず食物連鎖が崩れました。

天体衝突や火山の大噴火が起こると、一時的に寒冷化が進み、その後、大量に放出された温室効果ガスにより温暖化が進行します。

 

隕石が落ちる前と後の地層の境目 K-Pg(K-T又はK-P)境界線には、宇宙から来たイリジウムが記録されています。

また、この時代の地層に炭化水素の「コロネン」(カルパチア石)という物質が多く含まれていることが分かりました。コロネンは炭化水素で、有機物の燃焼でできる際、森林火災を上回る1,200度以上の高温を必要とします。具体的には高温のマグマか、天体の衝突によるものです。まとまった量のコロネンは大量絶滅が起きた年代の地層でしか見つかっていません。

 

5回目(白亜期末)の恐竜絶滅が有名ですが、、小惑星だけが恐竜絶滅の原因とは限りません。そのしばらく前の時代から、発見される恐竜の化石は減り続けていたので、「絶滅に向かっていた恐竜にとどめを刺したのが小惑星の衝突だった」ともいえます。

 

しかし、隕石衝突だけでは大量絶滅を説明しきれない事象もあります。

なぜ恐竜が絶滅し哺乳類が生き残ったのか。

同じ爬虫類でもワニ・カメ・トカゲ・鳥類は生き残りました。

隕石衝突から数万年後の地層からいくつかの恐竜の化石が発見され、恐竜はしばらくの間は生き残ったことになります。

隕石衝突説の他に地磁気消滅逆転説。地殻変動による火山噴火説。二酸化炭素減少説。恐竜衰退説。などがあります。

 

ちなみに隕石による大量絶滅は、恐竜絶滅の時だけではありません。ビッグファイブには含まれない、規模の小さな大量絶滅には隕石によるものと考えられるものがいくつも見つかっています。例えば、日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)は隕石衝突に由来する深海堆積物を、日本の南鳥島沖で発見しました。これは1,160万年前の大量絶滅につながるものと考えられます。

 

 

 

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次回は 第29回「霊長類の出現」

 

 

(担当B)

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