『生物の変遷と進化』第10回
<4億8540万年~4億4380万年前>
(オルドビス紀)
「生物大放散」
(三葉虫)
<オルドビス紀>
オルドビス紀中期、陸地のほとんどは南半球にあったゴンドワナ大陸(下図)でした。
古生代はカンブリア紀-オルドビス紀-シルル紀と続きます。
オルドビス紀初期は、極地に氷はなく、カンブリア紀から引き続いて気温が高かった。大気中の酸素濃度は約13%で現在より低く、二酸化炭素濃度は現在の8〜14倍で温暖な気候が維持されていました。
陸の周辺には浅く平坦な大陸棚が広く続き、浅く温かい海にはサンゴ礁やたくさんの海洋生物がいました。海洋温度は40℃を超えていたと考えられています。
生物多様性はカンブリア紀からさらに拡大し、特に海洋生物の進化が目覚ましく進みました。
海岸線では苔類に似た植物や多数の脚を持つ節足動物がゆっくりと陸地へ進出し始めており、海の中では多様で奇妙な生命であふれていました。この時代、陸上には生物は存在していませんでした。
この生物大繁栄は「オルドビス紀の生物大放散事変(GOBE)」とよばれています。
近年、「カンブリア爆発」と「オルドビス紀の生物大放散事変」は連続的であったと考えられています。
オルドビス紀中頃から後期にかけて、海の生態系はさらに複雑になり、捕食者と被食者の関係が進化しました。
カンブリア紀の軟体性生物は激減し、硬い骨格をもつ動物が広がりました。海を支配していたのは節足動物で多様化大型化していきました。
全長2mを超える巨大なウミサソリ(節足動物)(下図)がこの時期に登場しました。この強力な捕食者は、当時の海を支配し、小さな生物たちは彼らから逃れるためにさまざまな進化を遂げたと考えられます。
オルドビス紀中頃に、植物に続いて陸上したのはウミサソリやヤツデの節足類でした(節足動物の方が先に上陸したという説もあります)。(下図)
このころ、無顎類(むがくるい)(下図)と呼ばれる原始的な魚類が出現しました。文字通り顎(あご)がなく、皮骨で覆われ、あまり遊泳力がありませんでした。オルドビス紀に多様化が進み、シルル紀、デボン紀になると、体側は丈夫な骨質のよろいのような皮骨で覆われ、鰭状の器官や奇妙な突起を発達させました。
世界中の海に生息し、長期の間進化しましたが、ほとんどの種はデボン紀末期に絶滅しました。
生き残った無顎類は、顎が発達し軟骨魚類(サメやエイ)や硬骨魚類(一般的な魚類)に進化していきました。無顎類は脊椎動物の進化にとって重要なステップとなりました。
大きな目をしたコノドント(下図)は、無顎類で体長5~50cm。特異な円すい状の歯を持ち、現代のヤツメウナギやメクラウナギの祖先と推定されています。
サカバンバスピス(下図)は、4億6,000万年前のオルドビス紀に生息していた無顎類の一種です。体長は約25cmで、平たい頭部と細長い胴体を持っていたと考えられています。頭部は硬い骨板で覆われ、防御の役割を果たしていたと推測されます。
現在のところ最古といわれる魚アランダスピス(下図)は、ヒレがなく泳ぎはヘタクソ。アゴの骨が無いので、水底を這って小動物や有機物を口に入れていました。
軟体動物のオウムガイ(下図)はカンブリア紀にあらわれ、オルドビス紀に全盛期を迎え多様化しました。殻長が数メートルにも及ぶ軟体動物のオウムガイは、貝殻を持っていますが実は頭足類の仲間でイカ・タコに近い生き物です。
オウムガイの繁殖は、獲物となった三葉虫を絶滅寸前まで追い詰めました。このオウムガイが進化して、シルル紀にアンモナイトが生まれてきます。白亜紀の大量絶滅でアンモナイトが絶滅したにも関わらず、オウムガイは現在でも生き残っています。大きな環境変化の影響が少なかった深海に住んでいたのが幸いしたのではないかと推測されています。
オルドビス紀は「三葉虫の大繁栄時代」で、形態も立体的になりトゲをもつようにもなりました。胴体部分が、三つに分かれているため三葉虫(下図)という名前がつけられました。
カンブリア紀(5億4200万年前)から繁栄し、3億年の間繁栄することができました。1万種以上が知られる多様なグループで、化石も多産し「示準化石」としても重視されています。三葉虫の化石は、古生代の当時海だった地層に大変豊富に含まれています。また、驚くほど複雑な形態、精巧な装飾、奇妙な眼、多くの風変わりな構造をもつなど、時代の変遷とともにさまざまな特徴のある三葉虫が出現します。
三葉虫は、最初に視力を持った動物のひとつと考えられています。多くの種では、トンボの目のような複眼がみられるので、ものの形が認識できるほど視力が発達していたと思われます。そして硬い殻。この時期、大部分の動物は硬い殻などをもたず、やわらかい軟体動物でした。
なぜ、三葉虫は、視力や硬い殻が発達したのでしょうか。それは、この時代に三葉虫を餌とする捕食者(オウムガイ)が現れたことと深い関係がありそうです。視力をもって敵をすばやく察知して逃げ、硬い殻で身を守ることができました。
衰退、絶滅の正確な理由はわかっていませんが、シルル紀およびデボン紀にサメを含む魚類が登場していることと何らかの関係があるという説があります。そして最終的にペルム紀末期(2億5100万年前)の大量絶滅イベントで絶滅しました。しかし、その系統の一部は生き残り、比較的近縁な生物としてカブトガニがいます。現在のカブトガニには、2億年前(ジュラ紀)の化石が発見されており、形態的な特徴はほとんど変わっていません。
この時代はまた「筆石時代」と呼ばれるほど筆石(フデイシ)(下図)が大繁栄しており、ヒトデやウミユリなどの棘皮動物も増殖しました。
ウミユリ(下図)は、見た目は植物に似ていますが棘皮動物(ウニやヒトデ)です。花のように見える部分は触手で、プランクトンなどを捕まえて食べていました。
ウミユリの多くは古生代のうちにほとんど絶滅しましたが、現在も深海にウミユリの仲間が生存しています。
●植物の上陸
20億~15億年前にシアノバクテリアによる光合成から生成されたオゾン層が厚くなり、紫外線から生物を守ることが可能になりました(DNAの破壊がなくなる)。その結果、4億7000万年前の中期オルドビス紀に植物が陸上に進出(下図)しました。陸上植物の祖先は緑藻類(クチクラモ)(下図)でした。植物が陸上に進出するためには、植物体を維持する維管束、水分を吸収保存する根、水分の消失を防ぐクチクラ層の形成が必要でした。上陸した当時の植物は、根や茎が発達しておらず、地面を這うように成長していました。色素体をもつ緑色の藻類のゼニゴケの化石がアラビア半島のオマーンで発見されています。
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次回は 第11回「オゾン層の形成」
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(担当B)


















