『生物の変遷と進化』第9回
<5億3880万年~4億8540万年前>
(カンブリア紀)
「カンブリア大爆発」
(アノマロカリス)
5億4千万年前から始まったカンブリア紀には、柔体性から硬組織の生物に進化、種類・個体数ともに爆発的に増えました。このことを「カンブリア大爆発」と呼んでいます。
「生物は少しずつ進化する」という当時の概念が否定され、わずか1000万年も満たない時間で、突然、大進化・多種多様化して、まさに「大爆発」でした。カンブリア紀以前は、たった3つの動物部門しか存在しなかったのが、この期間で現在と同じ38部門の動物が発生しました。形は奇妙に見えますが、構造的には現生の生物と共通するものが多いのです。とりわけ「眼」の取得は、生存競争では有利な立場をとることが出来、進化の大きな要因となりました。三葉虫の眼は、現代の動物の複眼と変わらない高度な構造でした。
節足生物(マルレラ 、三葉虫)、最初の脊椎動物(魚の祖先:ミロクンミンギア・ピカイア )、藻類など現在生きている生物の原型がこの時期に生まれました。
2mを超える体長のアノマロカリス(最強の捕食者)やオパビニア(捕食者) などの大型捕食動物や、堅い外骨格をまとった節足動物が出現しました。ほぼ同じ時期に、同じような生態系がほとんど世界中に発生しました。現在では、世界20か所以上で生息跡が発掘されています。
カンブリア紀の海は、水深20m以下の遠浅海域が沖合1000kmまで続いていて、生物が増殖する環境にあり、シアノバクテリアは大いに繁茂して遊離酸素を発生させ続けました。
化石の発掘地にちなんで、カナダのバージェス頁岩(けつがん)動物群(5億年前),中国の澄江(チェンジャン)頁岩動物群(5億3000万年前)と呼ばれています。
実は、カンブリア紀の末(約4億8800万年前)に大量絶滅が発生しており、さらに約5億1700万年前と約5億200万年前にもあり、3回もの大量絶滅がたて続けに起きていたとされています。
全球凍結や大量絶滅など過酷な環境変化の後には「大適応放散」というものが起きて、生物が生き残るための適応性を増大させるといわれています。
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(担当B)
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