奈良ブログ
奈良は、静かな場所です。山々に囲まれて、長い歴史とともに穏やかに暮らす町。
そんな奈良の良さは、少し見るだけでは分からない奥深いところにあります。
私は奈良生まれ奈良育ち。今は東京に住んでいます。東京に出て分かった奈良の良さを書きます。
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ブログ引っ越します

リニューアルのため、ブログを引っ越します。
投稿数は多くありませんでしたが、試行錯誤しながら得ることは多くありました。
ご愛読いただいた皆様、ありがとうございました。
奈良ブログ「ならブ」は、2008年11月~2011年6月のアーカイブとして、このまま残します。

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奈良と美 http://naratobi.tumblr.com/

AKB48の薬師寺ライブで考えたこと

2010年、私が一番かなしかったのは、朝のテレビ情報番組から聞こえた言葉でした。AKB48が行った薬師寺のライブについて「世界遺産をアイドルたちが縦横無尽に走り回っています」と伝えた興奮気味のアナウンサーの声。それを聞いた時のショックは、今でも忘れられません。

ショックを受けた理由はただ一つ。ニュースは、世界遺産が大事にされていない感じを受けたからです。世界遺産のお寺は、アイドルが縦横無尽に走り回ったりしてはいけないものです。古いものは古いというだけで大事にしなくてはいけない。そんな単純で大事なことが果たされなかった現実に、私はとてもショックを受けていました。

2010年は平城遷都1300年の年でした。東京と奈良を行き来していると、その言葉の温度差、情報量の違いにくらくらしてしまいましたが、それはともかく「周年イベント」が一つのビジネスとして話題になったのは本当です。東京ではめまぐるしく情報が飛び交っていました。

お金が動くことそのこと自体が悪いとは思いません。奈良には本当に大きな産業がなく、観光は真剣なテーマ。(県外からのイメージに比べると、観光産業は成り立っていなくて、2007年には47都道府県の宿泊客数ワースト1を記録しています)

2010年は、これまでずっと観光の仕事をしてきた奈良の人にとっては努力が報われた年でもありました。グッズやお菓子などの新しいお土産物や飲食店ができました。それはそれで一つの結果です。

でも、奈良の良さは、古さと静かさだと私は思います。積み上がった時間は、お金を出しても買うことができない。壊れてしまったら、1000年かけないと元の通りにすることはできないのです。それに奈良という土地のキャパシティを考えると、一度に受け入れられる人数は決まっている気がします。古いものは壊れやすい。

「お寺でアイドルのライブ」というのは意外性とか話題性があるとは思います。東京にいれば、その企画を思いつくワクワク感はよく分かります。いえ、ワクワクなんてないかもしれなくて、情報を消費するためには目の前のものは何でも利用するのが、最先端の都・東京です。面白おかしくキャッチーなものを、猛スピードで追い求めないと生きていくことはできません。

でも、お寺はそれを拒否しなくてはいけないと思うのです。古い床板を何十人もの子が縦横無尽に走り回ったら、壊れるに決まってます。アイドルの情報は奈良にだって入っているのだから、熱狂的なファンが押し寄せたらお寺を守りきれない、単純にトイレやなにかの準備を考えると、奈良の受け入れ許容度を超えているということは分かるはずです。

ファンはアイドルを見たいだけ。お寺を大事にはしてくれません。

それでも実現したのは、やっぱりお金が入るからだと思います。収入は大事です。それを否定するほど子どもみたいなことは、私には言えません。でも、とてもかなしい。

今の流行の文脈の中にしか収入を得る術がないなら、奈良の観光に未来はないと思います。奈良はもっと新しい観光のあり方を示せるはず。それは、日本の観光の未来にもなるはず。

ずっとそう思い続けてはいても何もできない、無力な自分を感じました。少なくとも2010年はアイドルが世界遺産を縦横無尽に走り回った、それがうけた、そういうことだと思います。それに対して自分が何もできなかった悔しさは、私は忘れないでいようと思います。

おんだ祭(=お田植え祭)が面白い

椿の花は農業の始まり時期を告げると言われるそうです。椿が咲き始める立春から初夏にかけて、奈良の各地では五穀豊穣を願う神事「おんだ祭(=お田植え祭)」が行われます。

おんだ祭といえば、飛鳥坐神社の神事の様子がエロティックだとか率直だとかいろいろな言われ方で有名ですが、どの神社でもそれぞれ大らかに踊り、豊かな実りを祈り、見ているだけで楽しくなると思います。私は今年、菅原天満宮のおんだ祭と、お茶の里田原地区のお祭りに行きました。それぞれの様子をフォトレポート。

菅原天満宮にて(2月25日)
牛クンと田主が鋤で田を耕す様子


牛クンが走る!


田主がモミを蒔いてクライマックスへ。


田原にて(3月22日)
錫杖を持って踊る“おかげ踊り”


白毫寺の「五色椿」が満開です

いよいよ春。奈良ではこれから初夏にかけて、いつもどこかで花満開の気分華やぐ季節になります。

椿に桜、藤、シャクナゲ、つつじ、牡丹、紫陽花・・・花の寺として知られる各寺では、厳かな本堂の周りで花が一層美しく、多くの人が楽しみに出かけます。

今は白毫寺の「五色椿」が満開。樹齢400年の大木に紅、白、紅白の絞りなどさまざまな八重の椿が咲きほこります。濃い緑の葉の陰で花が凛としている様子は素晴らしいですし、落ちた花が地面を彩る様子にもハッとします。境内は五色椿の他にもピンクや白の椿がたくさん。

東大寺の「糊こぼし」、伝香寺の「散り椿」とともに三名椿として知られる五色椿。この美しさをカメラに・・・は素人には難しかったので、どうぞモノクロ写真でお楽しみください。

送信者 090322 nara

「お水取り」の楽しみ方

「東大寺のお水取りのお松明を一度ぜひ見てみたい、火の迫力を見たい」と、最近よく聞くようになりました。

けれどもお水取りの良さは、お松明だけではありません。いえ、むしろお松明にはありません。なぜならば、お松明は言ってみればただの明り取りだから。

というと、随分意地悪な書き方ですが、最近東大寺のお水取り(正式には修二会(しゅにえ))で行われている行事の実際を知る機会が増え、お松明よりも行そのものの面白さに目覚めてしまいました。

行の全体を一番コンパクトに知るには、この本「誰も知らない東大寺」(筒井 寛秀著)がおすすめです。お水取りの期間中、練行衆(その年に参加する僧侶)が着る服は紙でできていること。それを作るのは、その年に新しく参加する練行衆であること。食事の作法が厳しく定められていること、などなど、一般的には知ることができない行の内容が数多く紹介されています。「お水取り」が大事な仏教行事なのだということが大変よく分かります。

そうして興味がわいてきたら、今度は奈良国立博物館がおすすめ。3月15日(日)まで「お水取り」の特別陳列が開催されています。「誰も知らない東大寺」を読んでから行くと、本の中に登場するものの実物を見ることができますので、興味は一層深まることと思います。

「お水取り」は知れば知るほど面白い。ニュースなどで話題になるよりずっと早く20日からは前行が始まります。私自身も最近やっと知り始めたことばかりで気持ちが盛り上がっているのですが、一回では魅力を書ききれませんので、続きはまた。