郊外を車で走り回っていた時・・・ポケットの携帯に
馴染みのお客様からの着信。
時候の挨拶をしながら
用件を聞くと・・・
「AT(オートマミッション)の修理を済ませ、念のためリプログラミング(リプロ)を
実行した際原因不明のエラーに遭遇した・・・リプロは中断となり
それ以降、ATが変速できなくなった・・・」
やっちまったな・・・
現代の車は
数十ものコンピューターユニットを搭載し
それぞれが連携をとりながら最適な制御を行うという
なかなか高度な動きをしています。
それぞれのユニットには
PCでいう「ソフトウエア」が存在し
細かな制御を行なっているのですが
排気ガス低減の為に新ソフトウエアが発表されたり
バグの修正があったり・・・
Windowsアップデートのように
かなりの頻度で新ソフトウエアが追加されます。
この新ソフトウエアを車輌にプログラミングすることを
通称「リプロ」と呼び、現代の自動車整備の要素として
非常に重要なものとなっています。
行きつけの車屋さんに
「リプロって知ってます?」と聞いて
「は?何それ? 美味しいの?」という反応をする
車屋さんは勉強不足ですので
大切な愛車を任せない方良いでしょう

今回も、オートマ修理の後
「良かれ」と思って行なったリプロが裏目にでてしまったワケです。
出先で受けた相談ですので
手元に充分な資料があるわけでもなく
とりあえず、大雑把にトラブルに至った経緯を聞き
基本点検に見落としが無いかをアドバイスします・・・
車輌は
2007年式キャデラックエスカレード
オートマ心臓部「バルブボディ」の修理をした後
リプロをかけて不調
メーター上に
(スパナ) マークが出ているこれは「はよ修理せい!」との警告ですね。
あ、皆さん
メカニックの通常作業で
「スパナ」って殆ど使いませんので・・・
あと、「おーい◯◯さん!」と呼ぶと
車の下から「なんだ~??」と
ほっぺたを油で真っ黒にしたメカニックが
寝板でゴロゴロと出てくるシーン・・・
今どき、寝板で作業できる車なんて有りませんので・・・
カーリフトで2mほど車を持ち上げて
メカニックは直立した状態で作業をしています。
なので、ほっぺたを真っ黒に油で汚すこともありません。
修理屋仲間といつもその話で
「あればナイわー」と笑ってしまうシーンです。
お医者さんの頭に、中心に穴の空いた鏡を
付けたイメージがありますが
←コレコレこれは耳鼻科の医師だけの装備だそうです。
勘違いのイメージが定着してしまっている事が
沢山ありますね。。。
また脱線・・・
やっと修理も完了し
納車の段取りも描いた直後でのトラブルだったのでしょう・・・
かなりテンパッていらしゃる様子。
そりゃそうだ、未知のトラブルに襲われた時の焦燥感は
ハンパないもので・・・まさに「窮地に立たされる」
そして何故か、その窮地には夕方に追い込まれる必殺パターン・・・
まあ、落ち着きゃーせ

何とかするからさ・・・1200Kmほど離れてるけど(笑)
おおよその帰着時間を伝え
オフィスに戻ってから本腰を入れて対策にあたることにします。
移動中・・・
はい、帰ってきました・・・今日は疲れるな。。。
一息入れる間もなく、作業開始
早速連絡をとり、事の経緯をもう一度確認します。
浮かび上がってきたのは
「素性の判らない車輌」であること・・・
輸入車には大別して
ディーラー車
並行輸入車(並行車)
の2通りの分布があり
ディーラー車は、日本国内の契約輸入元(ヤ◯セ等)が
輸入を行い、日本国内で販売される車
並行輸入車は
日本国内での契約業者を通さず
個人もしくは小規模法人によって輸入されたもの
ディーラー車・並行輸入車についての
詳しい解説は割愛しますが
今回、困ったエスカレードは「並行輸入車」です。
並行輸入車にも2通りの分布があり
新車並行(通称:新並)
中古並行(通称 : 中並)
新並は、生産本国(今回はUSA)で製造され
未走行もしくはそれに近いものを
日本へ輸入したもの。
中並は、本国で販売
オーナーの手にわたったものが売却され
日本へ輸入されたものに分類されます。
無論、新車で輸入された車輌は
「新車です」 ←そのまま
中並は、中古車ですから
ここで「走行距離改ざん」のダウトがつきまといます。
現在、日本国内では
車検ごとに、検査日の走行距離を
記載するルールがあり
走行距離計の改ざんは非常に少なくなりました。
が
改ざんを行なっても「バレにくい」タイミング
それは、海をわたってはるばる日本くる・・・その時です。
この際は、監視するシステムが(現状は)無い
USAにも走行距離監視システムは有ります
日本にも有ります
ですが、この輸入時にはそれらが
リンクしていないので、メーター改ざんの
チャンスになっています。
ぶっちゃけ、大国USAでは
車の走行距離など、日本に比べて桁違いに多いので
輸出が決まった時点で「20万km」とかはザラです。
日本で「20万km」って
「もう終わった車」
としかみなされないのでまあこんなものだろ・・・くらいの走行距離に偽装します。
いずれは、この問題にもメスが入ってゆくとは思いますが
現状は上記の有り様です。
あ、もちろん
全ての中並車が改ざんされている訳ではないですよ!
「中には・・・ね」という感じですよ。
そこんとこ「夜露死苦」
相変わらず話が長引きます・・・
今回の案件で
私は先ず知りたいと思ったのは
「現在の走行距離が正しいものか?」という点
不審な点がなければOK
もし「???」だと、電子回路系に
無茶な改造をされている懸念があり、その点についても
念頭において対策にあたらなければならないからです。
「少しお金はかかるが
本国での記録を取寄せても良いか?」
と相談を持ちかけます。
快諾を頂きましたので、早速取り掛かります。
USAで最もメジャーな走行距離監視システムは
「CAR FAX」(カーファックス)というもので
多数の修理工場が加盟しており
修理や点検の為に入庫した際の走行距離を
記録しCAR FAXのデータベースとして
活用されています。
CARFAX.com
ポータルサイトから
目的の車輌の車台番号を打ち込むと
「あんたの車、◯件の記録があるよー」と
先ずはチラ見せをしてくれるので
お金を払ってから
「記録ありましぇーん」とは
なりません。
今回は20件の記録があるとの案内でした。
さて、前置きで・・・
今回の車輌
日本国内登録時 約70000Km
現在 96000Km
との事です・・・
クレジットカードでお支払い
1台あたり40ドル
5台だと50ドル・・・めっちゃ割高じゃないかと
思いますが、5台も必要が無いので
1台の検索・・・
名称は「CAR FAX」ですが
決してFAXで送信してくるわけではありません。
・・・昔はFAXだったのかな?とも思えますね
レコードなんて売ってない「タワーレコード」みたい・・・ま、いいか
ネバダ州で2オーナーを経て
オークションにて売却・・・フムフム
走行距離の最終記録 54530km ・・・じゃなくて
54530マイル!
あれ?
1マイル=1.6km
54530x1.6 = 87248km
日本での最初の記録 70000Km弱
USAでの最後の記録 87200km
アハハハハハハハハ・・・
結果 黒! みたい・・・
さて、この結果を踏まえて
対策に当たることにしましょう!
To Be continued...



