お赤飯たかなきゃ。
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はんぺん事件。

にんじん、ピーマン、グリーンピース…。


今でこそ、「雑食」「残飯処理」などの称号を欲しいままにしている僕であるが、

子供の頃は嫌いな食べ物がそれなりにあった。

それが不断の努力と向上心で徐々に食べることができるようになり、

いつしか、「アレ?コレッテ、ウマイ??」と味わえるようになったのだ。

「どんな食べ物でも美味しいはずだ」という性善説の下、

自らの力で“食わず嫌い”や“食ってもっと嫌い”を克服してきたのだ。


そんな僕の唯一の鬼門は、ピータンであった。

圧倒的なまでの「カブトムシ感」に太刀打ちできず、長きに渡って忌み嫌っていた。

だが、2010年の4月に“ピータン革命 ”が勃発。

見事に鬼門を突破し、僕の嫌いな食べ物はこの世からなくなった。


そのはずだった。


事件は2度の大雪に見舞われた今冬に起こった。

「鍋、鍋、お好み焼き、鍋、鍋、お好み焼き」のサイクルに少し飽きてきた頃。

僕は体を震わせながら、何かに導かれるようにまくし立てた。


「ねぇねぇ!おでん!おでん食おうよ!おでんが食いたい!!」


冬の食卓のエンターテイナー、おでん。

大根、ちくわ、じゃがいも、卵、コンニャク、もち巾着…。

味の染みこんだホッカホカのおでんは、人の心までも温めるという。

自然とテンションも高くなる。


「やったぜ!今日はおでんだぜい!」


だが、この“おでん”とやら、地域によって鍋に入れる具材が微妙に違うのだ。

そう。東京のスーパーで手に入れた“おでんセット”に、奴はいた。

存在は知っていた。もちろん名前も知っていた。だが、食べたことがなかった。


そう。奴の名は、“はんぺん”――。


「ど、どうも!はんぺん君!はじめまして!」


謎のふわふわ感に意味不明の三角形。得体が知れない。挨拶にも返答がない。


「でも、まずいはずがない!もう僕に嫌いな食べ物なんてないんだ!」


自らに言い聞かせながら箸を伸ばし、一気にかぶりついた。


ガブッ!モグモグ!



ヴウェップゥ!ゲボゾボゥボェッボ!!



「く、く、くつ、くつした!くつした食ってるみてーだ!!バッキャロー!!」



お赤飯たかなきゃ。

人生のピーク。

2週間ほど前の2月のよく晴れた日曜日。

その日の僕は、とってもツイていた。


朝からその予感はあった。

テレビの干支占い、週刊誌の星座占いは、ともに◎。

左の手のひらには突如として見慣れない線が浮かび上がっていた。

さらに恒例の朝トイレ。

普段なら着席後ものの3分で身軽になれるのだが、

この日はその存在を確かに感じながらも、一向に事が進展しない。

キバッテモフンバッテモ、微動だにしないのだ。


「う~ん、こりゃ、でねぇな…」


仕方なく諦める。いや、考えを改める。


「今日の俺はウンを持ってる。ウンがあるんだよ、きっと!」


高揚感を胸に、僕はふらりと街へ繰り出した。

そこでふと目にした宝くじ売り場。

僕は箱の中のおばちゃんに恐る恐る声をかける。

「えっと…、スクラッチを…、3枚、くださいな」

10年ぶりぐらいにスクラッチくじを買ってみた。


すると、


お赤飯たかなきゃ。


「キ、キ、キターーー!」 「ウンあるってぇ!」


手に知れた1100円をささっと懐に入れる。

そして颯爽と車に飛び乗り、力いっぱいアクセルを踏む。

目的地はすでに決まっていた。そう。遊園地、よみうりランドだ。


「あ、あれだ!」


入場券を購入。園内をぶらついていた僕は、はたと立ち止まった。

目の前にはキックターゲット(みたいなの)。

『パーフェクトの方には3000円分の金券プレゼント』の文字が躍る。

小学生の歓声を浴びながら、僕は一心不乱にボールを蹴った。


お赤飯たかなきゃ。


「キ、キ、キ、キ、キターーーーーー!!」 「ウン、ウンあるってぇ!!」


削れば当たり、蹴っても当たりで負け知らず。

1100円+3000円で4100円。


「これから良いことばっかり起こるような気がするぜ!」



と、思ったけれども、それ以降は特に何も起きず。


「はて?」と思いながらも、どうやら認めざるを得ない。


そう。

2012年の2月の19日―。


この日が、どうやら僕の人生のピークだったらしい。


プラス思考で行こう。

今年の僕はツイている。

と、思う。


なんせ、初詣で引いたおみくじが、大吉だったのだ。

正確には、2回初詣に行き、1回目が大吉で2回目が吉…。

でもまぁ2回に1回、50パーセントの確率で大吉ならば、

それはもうおおむね大吉であるのだろうとの総合的判断である。


そんな大吉ボーイの僕であるが、

なにがどうして、先週の半ば当たりから右足首が痛い。


特別、何かをしたという訳ではない。

いつ痛めたのか、はたまた、どうやって痛めたのか、

まったくもって見当がつかない。

だが、痛い。右足首のじん帯的な部分が、確実に痛い。

右足首を一定以上そり返らせると、激しい痛みが走る。

そこに強い打撃を加えるなんて、もってのほかである。


こんな状態では、とてもじゃないが戦えない。

そう。今の僕は“右ロー”を放つことができないのだ。

攻撃の基本であり、最大の得意技でもある右足ローキックを、

残念ながら封印せざるを得ない状況なのである。

これでは、宝の持ち腐れ、翼をもがれたなんちゃらである。


だが、僕はラッキーだった。

偶然にも僕はキックボクサーでもK1戦士でもなかった。

街中で黒スーツ&黒サングラスの男たちに囲まれることも、

薄暗い一本道で辻斬りに遭うなんてこともなく、

右ローが必要となる場面に今のところ遭遇していない。

実に平穏な日々が続いている。


確かに右足首は痛い。

だが、今年の僕はツイている。


間違いない。



お赤飯たかなきゃ。

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