人生のピーク。
2週間ほど前の2月のよく晴れた日曜日。
その日の僕は、とってもツイていた。
朝からその予感はあった。
テレビの干支占い、週刊誌の星座占いは、ともに◎。
左の手のひらには突如として見慣れない線が浮かび上がっていた。
さらに恒例の朝トイレ。
普段なら着席後ものの3分で身軽になれるのだが、
この日はその存在を確かに感じながらも、一向に事が進展しない。
キバッテモフンバッテモ、微動だにしないのだ。
「う~ん、こりゃ、でねぇな…」
仕方なく諦める。いや、考えを改める。
「今日の俺はウンを持ってる。ウンがあるんだよ、きっと!」
高揚感を胸に、僕はふらりと街へ繰り出した。
そこでふと目にした宝くじ売り場。
僕は箱の中のおばちゃんに恐る恐る声をかける。
「えっと…、スクラッチを…、3枚、くださいな」
10年ぶりぐらいにスクラッチくじを買ってみた。
すると、
「キ、キ、キターーー!」 「ウンあるってぇ!」
手に知れた1100円をささっと懐に入れる。
そして颯爽と車に飛び乗り、力いっぱいアクセルを踏む。
目的地はすでに決まっていた。そう。遊園地、よみうりランドだ。
「あ、あれだ!」
入場券を購入。園内をぶらついていた僕は、はたと立ち止まった。
目の前にはキックターゲット(みたいなの)。
『パーフェクトの方には3000円分の金券プレゼント』の文字が躍る。
小学生の歓声を浴びながら、僕は一心不乱にボールを蹴った。
「キ、キ、キ、キ、キターーーーーー!!」 「ウン、ウンあるってぇ!!」
削れば当たり、蹴っても当たりで負け知らず。
1100円+3000円で4100円。
「これから良いことばっかり起こるような気がするぜ!」
と、思ったけれども、それ以降は特に何も起きず。
「はて?」と思いながらも、どうやら認めざるを得ない。
そう。
2012年の2月の19日―。
この日が、どうやら僕の人生のピークだったらしい。