言葉にならないようなことも、ひとつひとつ、つたない木彫りの言葉にしていく、そういう旅。 | 奏鳴する向こうに。

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18の頃から集めたクラシックのCDを、それに合わせた絵や本とともに聴いていく、記録。と、イッカピ絵本。

5月6日

1964年4月、アーノンクール指揮によるバッハ、ブランデンブルク協奏曲全集より第1,2番。

 


1990年、バドゥラ=スコダによるモーツァルトのソナタ全集より第4,5番。

 


ティーレマン指揮ウィーンフィルによるベートーヴェン全集より交響曲第3番。

 


R.ゼルキンによるシューベルト、即興曲集D.935。

 


マリナー指揮アカデミー オブ セント マーティン イン ザ フィールズによるアダンのバレエ音楽「ジゼル」。

 


ナタリー シュトゥッツマンとカトリーヌ コラールによるシューマンの歌曲集作品27と51。

 


アラウ独奏オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団によるハンガリア幻想曲とピアノ協奏曲第1番。

 


 ザラフィアンツによるスクリャービン、前奏曲集作品15〜17。

 


 イダ ヘンデルとアシュケナージによるシマノフスキ「神話」。

 


 フランツ シューベルト四重奏団によるプフィッツナーのハ短調作品50。

 


ストラヴィンスキーの自作自演を中心とした箱のうちDISC41。エボニーコンチェルトと、モートン グールド、バーンスタイン、コープランドによるクラリネットをフューチャーしたジャズ風の作品集。

 


5月7日

アマンディーヌ ベイエとその仲間たち、リ インコーニティ。

その名はかつてヴェネチアにあったと伝わる施設の名にちなんだという。「何者でもない者たち」(解説には「名のない人々」とあるが、名前はそれぞれあったはずで、この慣例的な訳が個人的に好きではないので、ここではこうする)。

病気やケガなどの理由で当時の「普通の幸せ」なるものに縁遠かった女性たちはそこに入所し、主に楽才を磨いたらしい。ヴィヴァルディの数多の協奏曲はまさにその当時のリ インコーニティのために書かれたもの。

調べた限りによると、そのコンサートは、楽員たちの多くが傷病によって「二目と見られぬ容貌」をしていたために仮面もしくは障壁越しのものであったというが、その演奏の絶美さは多くのヴェネチア訪問者たちを圧倒したという。

ヴィヴァルディの曲はこうして世に出たことを思って聴くと、私には到底それを呑気なおめでたいだけのものとして聞き流すことができない。


さて現代に蘇った、フランス人たちによる新しいリ インコーニティのヴィヴァルディも素晴らしいのだが、今日は彼女らのアルバム「偽物のバッハ?」から聴いた。

かつて「バッハの名曲」とされながら、「様式が合わない」などという、ただ享受する身には全くどうでもいい理由で、大バッハの作品番号から追放された「堕天使」たち。

その最後に、紛れもない大バッハ真作として、ある音楽好きな王の主題による長大な「変奏」として有名な「音楽の捧げ物」から、トリオ ソナタ。

その旋律の折り重なりの官能的なまでの緻密な自然さは、やはり最高の意味で常軌を逸している。

しかしかつて大バッハ作と言われたり、いまだ作曲者の結論の出ていないものも、そんな研究は横において、音楽として美しい。

 


 ランパルと工藤重典によるモーツァルト、コンチェルトーネハ長調。

 


シュナイダーハン四重奏団によるベートーヴェンの第11番。



ベートーヴェンの交響曲第9番が200年前の今日、ウィーンで初演されたことをひとり祝って、カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団による1955年の録音で聴く。

2007年製コペンのルーフを開け放ち、阿蘇を走らせ、太陽をたまに仰ぎ見ながら。

I was born to run.

というようなエンジンの唸り、音楽の呻きに、耳を澄ませながら。

1950年代、フィルハーモニア時代のカラヤンのベートーヴェンは素晴らしい。とりわけミサ ソレムニスとこの第9番。なんと素直に凄い音楽なんだろう。

シュヴァルツコップやヘフリガーの声も、全く個性を全体に融け合わせた「ただのソプラノ、テノール」感が大人で素晴らしい。

 


シューマン18歳頃の、ピアノ連弾のための8つのポロネーズを、ロベルト プラーノとパオラ デル ネグロによる2018年の録音で。

作品2のパピヨンの前身ともいえる曲だが、その溢れるようなエナジーと影のうつろいは独特で美しい。

今日が命日となる画家のフリードリヒのジャケット(上のプフィッツナーの室内楽集も)。

その静かに永遠を迎え入れるような画風は、ドイツ ロマン派音楽のある面との相性がやはり抜群である。

 


ブラームスの生誕日にちなんでアシュケナージ、パールマン、ハレルによるトリオ全集より「偽作?」の素晴らしいイ長調。個人的には最初期の真作と信じている。

 

マイラ ヘス独奏クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団による1949年LIVE録音の第1番。



現行グレゴリオ暦でチャイコフスキーの生誕日でもある今日、ヴァレンティーナ リシッツァが2018年ウィーンにて、ベーゼンドルファーで録音したチャイコフスキー全集より作品1,2。

 チャイコフスキーのピアノ曲も歌曲も本当に素晴らしく、このような共感に満ちた演奏で聴くとなおさらそう思える。


チャイコフスキーの合唱曲「徹夜祷」。