妊娠した。なんと。
子どもが欲しいな~と思いはじめて3ヶ月、
現在36歳という年齢のこともあり、また子宮頸癌という病歴もあり、
早めに自分のからだの状態を確かめたいということと、
その結果、治療が必要なら治療をしたい
高度生殖医療が必要ならそれも行いたい、という思いから
生殖医療科に通いはじめておよそ1ヶ月。
案の定、子宮頸癌がボトルネックとなり、
また年齢を考慮すると一刻も早く人工授精をしたほうがいい、という診断に、
そういうものか、と納得したのが数週間前なのだが、
そのときにはこのおなかの中には、既に新しいいのちのかけらが芽生えていたということになる。
どうもこれは・・・まさかと思いますがまさか・・・と思ったのが
先々週の終わりのころのこと。
それでもあまり期待して、期待はずれももう嫌だし、と数日待ってみたものの
やはりこれは・・・本格的にまさかかも・・・と確信に近いものを感じ、
自宅に常備してある妊娠検査薬で調べてみると、
もののみごとに妊娠判定。
その日は朝6時前に、しかもいつも早起きの夫よりも早く私の方がめざめたときで、
見て見て!すごいよ?
と、まだ寝ぼけまなこの夫に見せると
夫も驚くやら喜ぶやら。
ほんま?すごいやん、ほんますごいやん、
いまからすぐに病院いかんでいいの?とせっかちな夫は心配そうにいうので、
いますぐに行く必要はないけど、といいながらも、
通っていた病院の予約を入れた。
次にその病院に予約を入れるのは、生理中の血液検査のためと、あとは私がどうしてもやりたかった卵管造影検査のため(センセイは人工授精をすすめたけれども、私はこの検査をやってみたかったのだ)、と決まっていたのに、
妊娠判定を受けるために予約するとはなんとも不思議な感じである。
予約が取れた日は先週の祝日で、信じられないくらいに病院が混みあっていた。
平日だから空いていたんだ・・・と思いながら待つこと3時間。
現金なもので「うれしいことが待っている」と思うと、3時間も苦にはならない。
医師の診察の前に看護師さんに「Kさん、今日は生理何日目ですか?」と聞かれ、いえあの、生理が来ないので・・・というと、目をまあるくして、あらそうですか?とカルテになにやら記入。
やっとKセンセイに診察室に呼ばれ、基礎体温表を見せると「これは間違いないですね」とひとこと。
検査の結果、胎嚢がしっかりとできていた。
診察室に戻るとセンセイ、「良かったですね、すごいですね」と
ものすごーくあたたかい笑顔でにこにことしながらおっしゃる。
ちょっといかついセンセイだけれども、そうかこのひとはこんなふうにこころから、患者さんが懐妊することを喜んでくれるひとなんだな、と私もあたたかい気持ちがどんどん広がってくる。
本当ですねー、私もびっくりしちゃいました。と話をする。
来週、心拍の確認をして、その次の週にもう一度診たら、産科に行っていいですよ、とセンセイはおっしゃった。
そうしていよいよ、その「来週」。
診察台で、はじめて赤ちゃんが・・・正確にはまだ「胎児」ではなく「胎芽」だけど・・・動いているのを見て、
なんだかとても、感動してしまった。
赤ちゃんは、ぴくぴくぴくぴくとそれはそれは元気に動いているのだ。
ああ私のおなかのなかに、もうひとつ、生命があるんだな。
それはもう、圧倒的な映像なのだ。
順調ですね、とにこにこ顔のセンセイにいわれ、
ではまた来週、ということで病院をあとにする。
夫に電話。
赤ちゃんが動いていた!というと、すげえー写真みたい!帰ったら見せて!!と喜んでいた。
夫は赤ちゃんのことをとても喜び、とても興味を持って迎えている。
たとえば超音波の写真など、そんなに興味を持ってみないだろうなと思っていたのだが、
意外なことに私が持ち帰る写真も、参考に買ってきたマタニティ雑誌の写真も、すげえすげえといいながら、
早く大きくならないかな、来週はこれくらいになるんやろ?すげえすげえ、といって何度も見ている。
あさっては病院やな、明日は病院やな、もう大きくなってるんやろ、写真もらえるんやろ、と何度もいう。
マタニティ雑誌によると、妊娠2ヶ月4週~7週はちょうど「さくらんぼ」くらいの大きさになるらしい。
だから私はこのおなかの生命を「さくらんぼちゃん」と先週から呼んでいる。
この愛しのさくらんぼちゃん。
さくらんぼちゃんがキウイちゃんになり、メロンちゃんになり、すいかちゃんになったら産まれるんだよ、と夫に言っている。
夫は妊娠する前から私のお腹を「出ている」といってはふざけて触ったりしていて(実際は出てないと思うんだけど!)、その癖でいまでもお腹をよく触る。
最初は癖で、途中から、そうだここにはさくらんぼちゃんがいるんだ、というような、
手の動きでそれがありありとわかるからおもしろい。
そう、ここには、愛しのさくらんぼちゃんがいるのだよ。
あなたと私の、さくらんぼちゃん。
既につわりもはじまっていて、
そう、妊娠4週目、つまり先週は頻尿だとか(生まれてこのかた体験したことがない「眠ってからトイレに起きる」という体験すら毎日している。妊娠に気づいたのもまずはこの現象からだった)、眠気だとかいうつわり症状はあるのだけれども、なかなか気持ちが悪くならず、
つわりがつらいのはつらいのに、それはそれで少々の不安となっていたのだが、
5週目のいま、一昨日くらいから朝起きてから夜眠るまで、断続的に吐き気がする。
夫は心配してすぐに「気持ち悪い?」「寝ぇ?」と言う。
そうして実際に、寝室で本を読んでいてもすぐに明かりを消してしまうし
リビングでごろごろしていてもカーテンをしめて部屋を暗くしてしまう。もちろんありがたいことだけど。
それにしてもいまからこんなんでつわりのピークといわれる時期にいったい私はどうなってしまうのだろう?という感じだ。
それでも順調に育っている証拠、でもあるのだ、このつわりってやつは。
桂のオモニと姉、そして長野の父と母に電話。
心拍確認ができるまではと我慢していたので、病院が終わってすぐに電話する。
みんなとてもとてもとても!喜んでくれて、そのことがうれしい。
父などは「これでやっと俺も携帯の待ち受けを犬(ペット)以外にできる」と言っていた。
みんなが待っていたさくらんぼちゃん。
思いもかけずに「子ども欲しいね」と思ってから比較的早く懐妊することができた私だけれども
それでも夫も私も、ここ数ヶ月は、私たちなりにすごく悩み、いろいろと考えた期間でもあった。
この悩んでいた期間があるからこそ、うれしい気持ちもしみてくる。
最近ではお腹が空いたりお腹が鳴ったり具合が悪かったりすると
「さくらんぼちゃんがお腹すいたって言ってる」「さくらんぼちゃんがお腹いっぱいって言ってる」「さくらんぼちゃんが暴れてる」と夫にいっていて、
夫は最後のひとつを除いて「さくらんぼちゃんのせいにしてる」と笑っている。
ただひとつだけきちんと思うのは、
私は無神経になりたくないということ。
残念なことに、しかし実際に多くありがちな、「順調に」結婚して、子どもを授かったひとたちの
こころないことばに、私もときに悲しい思いを味わってきた。
早く結婚しなよ、働いてばかりいないで子ども作りなよ・・・そんなことを何回も言われて、その都度笑ってきたけれど、でも子どもがいない人生も結婚しない人生もそれはそれぞれが選ぶ人生だ。
尊重されるべき人生。
それにたとえば私のまわりには子どもがなかなかできないでかなしい思いを味わってきたひとがとてもたくさんいる。
友だちたちや不妊で悩んでいた姉に、いろいろと相談に乗ってもらったことに、とても感謝している。
そうしてまだ悩んでいる友だちがいることも、きちんとこころにとどめておきたい。
そういういくつかのこと。
愛しのさくらんぼちゃんがやってきてくれたことには
素直によろこび、たくさんの感謝をしながら
一方で、いろいろなことへの思いを深く持ちたい。
夜、夫が帰宅。
お風呂に入っているあいだに帰ってきた夫、
私がお風呂から上がるのを待ちきれなかったらしく、
テーブルの上の超音波写真を「見たで!びっくり、めっちゃおおきくなってる!!」とそとからおおきな声で言っている。
夫がそんなふうにとても喜んでくれるのがうれしい。
予定日は来年の5月の終わりころ。
さくらんぼちゃんがすいかちゃんになっていく日々を
まずは楽しもうと思う。
・・・そうして私のことを実際に知っているみなさまへ。
えーっと、またたいせつなことをこんなところで報告して!とお思いかも知れませんが、
これはあくまで、私の「日記」です。
「報告」はちゃんと、直接、然るべきタイミングでしますので!!
(何しろ本来は安定期に入るまでは言わないってひとが多い世の中ですが、
けどこれは私の「日記」なので、妊娠のことを書かないと、日記は中途半端になってしまうのです。
先日も不妊治療の記事で書いたけど)
朝ごはん。
夫はラーメン(昨晩、お酒を飲んだのでラーメンが食べたくなったそうだ)
私はおにぎり、しじみの味噌汁、ヨーグルト。
昼ごはん。
近所の中華料理。
夫は中華飯、私は炒飯とからあげを頼み、それぞれ少しずつわけっこして食べる。
晩ごはん。
野菜たっぷりラーメン。
わが家のラーメンは無かんすい、食品添加物いっさいなしのもの。
おかげで妊娠しても我慢しないで食べられるから、ラーメンマンの私には重宝。
阿川佐和子さんの「スープオペラ」を読了する。