お若いの。「日本を愛しているか」なんて無造作に聞くんじゃないよ。日本という国は長い歴史を背負っているんだ。私が経験した年月だけだって、その間には本当にいろいろなことがあったんだ。幸い戦争らしい戦争はしていないが、海外派兵だってあった。日本は私の国だ。愛すべき点もたくさんあるけれど、反省すべき点もたくさんある。いろいろな国の人たちが日本をいろいろな感慨をもって見つめているのも知っている。そんな簡単に「私は日本を愛しています」なんて軽々しく答えられるものではないのだよ。
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自由民主党の憲法草案の問題点の主なものを3点だけ挙げます。
現行憲法の「主権在民」に対し、改定草案では
■ 天皇元首明記(草案第1条)
「天皇は、日本国の元首であり…」としています。一方、現行憲法では天皇は「日本国及び日本国民統合の象徴」(第1条)であり、「元首」という語は使われていません。
「基本的人権」に関しては
■ 97条(基本的人権の不可侵性)を削除しています。
現行憲法97条:「基本的人権は…侵すことのできない永久の権利」
草案ではこの条文が削除されています。
さらに草案12条:
「自由及び権利は責任及び義務を伴う」
となっていて、基本的人権が天与のものであることを否定しています。国民の責任と義務は別個に規定すべきものです。
「平和主義」について、
■ 9条改正(国防軍の創設)
草案第9条の2:
「国防軍を保持する」
現行9条は:
「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」
と明記しています。
これは「戦力不保持」から「軍保持」への明確な転換です。
他にもたくさんあるけれど、この3点だけでも、自民党の憲法草案 には賛成しかねます。
今回の衆院選でも見られたのですが、どうも、最近の若い人のものの捉え方が、われわれ旧世代と大きく変わっているように思います。
1. バブル崩壊後の「失われた20年」
理想を語ることへの疲弊感を感じる
「現実的であること」が重視されるようになった
「どうせ変わらない」という諦念が出てきた
2. 2000年代以降の新自由主義的(小泉=竹中)価値観の浸透
「自己責任」論の台頭(菅義偉元首相)
競争社会での「勝ち組・負け組」という発想
権力批判より「いかに自分が得するか」への関心のシフト
3. SNS時代の到来(2010年代)
多少でも知的なことを言うと、「意識高い系」「正義マン」などと揶揄する風潮
社会批判や理想を語ることへの冷笑的な態度
「炎上」を恐れて当たり障りのないことしか言わない風潮
4. 経済格差の拡大と余裕のなさ
生活防衛で精一杯の人が増えた
権力批判する「余裕」がない。また内的な必然性もない。それどころではない。
目の前の利益を確保することが最優先になってきた
5. 「リア充」「勝ち組」文化
権力や強者に近い方が「賢い」という価値観
批判する人を「ルサンチマン」(負の感情)「負け犬の遠吠え」と見る視線
でも、本当にそれが「クール」(かっこいいこと)なのか?
最近の変化の兆し
ただ、2020年代に入って、また少し空気が変わってきた気もします:
• ジェンダー問題、環境問題などで声を上げる若い世代が出てきた
• ブラック企業、ハラスメントへの批判の高まりが感じられる
• MeTooなどの社会運動
「権力批判はダサい」という空気は、一時期確かに強かったけれど、それは本質的な価値観の変化というより、社会的な閉塞感や疲弊感の反映だったのかもしれません。
そして今、「やっぱりおかしいことはおかしいと言おう」という流れが、少しずつでも戻ってきているのだといいのですが。
2025年の読書メーター
読んだ本の数:55
読んだページ数:15222
ナイス数:321
魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章 (新潮文庫)の感想
再読、再々読に値する、珠玉のエッセイ集である。(第二次大戦終結前後のソ連の日ソ中立条約違反に関しては私の立場とは違うが)解説を書いている「師匠」の徳永氏とのエピソードが一番面白いが。
読了日:01月07日 著者:米原 万里
藤富保男詩集 (1973年) (現代詩文庫〈57〉)の感想
前から気になっている詩人であるので、この際じっくり読んでみようと思って取り組んでみたが、やっぱりわからないし、面白いとも思えない。漢字に関する考察なんかは面白いし、共感できるところもあるのだけれど。確かに「為」という字は形が悪い。
読了日:01月08日 著者:
こちらあみ子 (ちくま文庫)の感想
映画「花束みたいな恋をした」で、主人公たちが推してくるので、読んでみた。映画の中では「今村夏子の『ピクニック』を読んでもなんとも思わないような人なんだよ」という形で引き合いに出されるが、正直なところわたしも「なんとも思わないような人」かもしれないと思う。というか、この世界には近づかないようにしたいと思う側の人間かもしれない。ピーナッツを投げて食べさせるという表現が出てくるが、食べ物を粗末にしてはいけないと言われて育っているのでね。
読了日:01月21日 著者:今村 夏子
かかとを失くして 三人関係 文字移植 (講談社文芸文庫 たAC 3)の感想
久しぶりに途中脱落。わからないといえばわからないし、読んでいると自分の立脚しているものがぐらぐらしてくる…という効果を狙っているのだろうし、それには成功しているのかもしれないが、私の求める読書体験とはあきらかにことなる。このグラグラ感は今村夏子さんの「こちらあみ子」にも感じた。円城塔や伊藤計劃あたりから現代文学からは落ちかけていると思っていたが、わたくしすっかり落ちてしまいました。おとなしく福家警部補でもよんでおこう。
読了日:01月24日 著者:多和田 葉子
人さまの迷惑 (講談社文庫)の感想
出久根さんの淡々としたエッセイ集である。直木賞受賞の顛末がいくつか書かれていて興味深い。百閒先生あたりとはまた違った飄々とした風情が心地よい。
読了日:01月27日 著者:出久根達郎
あひる (角川文庫)の感想
ふしぎな小説群である。「こちらあみ子」ほど、ひりひりと心をやすりで削られるような感覚はないけれど、しかし、不安な小説である。不安としか表現がしにくい読後感で、これは芥川賞はとるだろうけれど、毎日読みたい小説ではない。
読了日:01月27日 著者:今村 夏子
父と私の桜尾通り商店街 (角川文庫)の感想
相変わらず「嫌な話」を書いているのだが、スタートの「こちらあみ子」のヒリヒリ加減に比べれば、かなりマイルドになったように思う。表題作なんかは、世の「前向きになれる物語」と見まごうばかりである。いいのかな、こんなことで。とか思っているうちに他も読まされてしまうのだろう。
読了日:02月02日 著者:今村 夏子
ドキュメント 異次元緩和 10年間の全記録 (岩波新書)の感想
金融政策だけで経済がなんとかなるというのが思い上がりだと思いますね。財政出動、それも電通やパソナに多額の中抜きをさせてしまうような大雑把な仕事ではなく、ハンズオンでひとつひとつの案件が実需を生んで、受益者が確保でき、経済にプラスのインパクトを与えるものを汗をかいてやらなければだめだ。「異次元緩和」というのはそれを立証する壮大な無駄であり、人体実験だ。株価が上がったとかいうが、日本の経済がシュリンクしているのは明らかである。
読了日:02月23日 著者:西野 智彦
「常識」の落とし穴 (文春文庫)の感想
1989年出版の本で、いまさら読み返してもと思ったのだが、これが2025年時点で振り返って読んでみると面白い。日本の凋落を的確に予言しているし、当時考えたこととその後の展開を知っているだけに興味はつきない。アメリカの二本半可通をやっつける話などは痛快だが、これもブーメランで、我々の西洋理解への批判にもなり得るだろうし、日本の新聞がいかにあてにならないかということにもなる。といって、SNSには虚偽があふれているのだが。
読了日:02月26日 著者:山本 七平
不時着する流星たち (角川文庫)の感想
読み始めるとつい最後まで読んでしまうのだが、なにか感想を書きたいと思っても非常にあいまいで不確かな感触しか残っておらず途方に暮れる…というのが小川洋子作品である。
読了日:02月27日 著者:小川 洋子
クジラアタマの王様 (新潮文庫)の感想
冒頭、お菓子への異物混入のくだりは大変面白かったのだが、中盤以降いまひとつ。ファンタジーが絡んでくるのはいいのだが、それならそれなりになんらかのスジが通っていないと物語として面白くないと思う。
読了日:03月18日 著者:伊坂 幸太郎
クジラアタマの王様の感想
最初の部分の「異物混入かもしれない」事件のくだりは大変面白かったのだが、中盤から降盤にかけて今一つ。ファンタジーになるのはいいんだけど、ファンタジーとしても何かスジが通ってないと面白くないんだよね。そういう意味では私としてはあまり納得のいくものがない。
読了日:03月20日 著者:伊坂 幸太郎
まぐさ桶の犬 (文春文庫 わ 10-7)の感想
葉村晶シリーズはファンなんだけど、この小説は私の頭には登場人物多すぎ、関係複雑すぎ、でした。
読了日:03月25日 著者:若竹 七海
新方丈記 (福武文庫 う 115)の感想
太平洋戦争下、東京大空襲を体験された百閒先生の日記からの抜粋編集された「新方丈記」である。昭和20年の8月8日の記述ののち、次の記述は8月17日にとんでいる。おそらく意図的に15日の敗戦日を避けたものとしか思えない。大空襲の恐ろしさとともにそれを見届けてやろうという百閒先生の覚悟が伝わってくる。
読了日:03月29日 著者:内田 百けん
アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)の感想
伊坂幸太郎さんが書く恋愛ものは今一つという人もいるけれど、私は結構面白く読みました。(Audibleだから聞きましただけど)
読了日:04月08日 著者:伊坂幸太郎
死神の精度 (文春文庫)の感想
ロックでもクラシックでも聞くのが好きだという点では私は死神によく似ている。
読了日:04月16日 著者:伊坂 幸太郎
あたりまえの研究 (文春文庫 や 9-4)の感想
1980年の本だが今読んでも、というより今読むと大変面白い。日本の当たり前と中東の当たり前はどう違うのか。就中、曽野綾子さんの中東における「うめぼし」の逸話が秀逸である。その後、商の話まで「当たり前」の研究は進んでいく。山本七平さんは原子力推進派であったと思われるが、彼が311を経験されたらどのようなことを言ったか、残念ながら聞くことはできなかった。
読了日:04月17日 著者:山本 七平
まぐさ桶の犬 葉村晶シリーズ (文春文庫)の感想
二回読んでやっと全体の構成がやや把握できた。長編だからとはいえ、あまりに複雑すぎないか。というか、絡み合うサイドストーリーが複雑なのだ。特に最後の方になって新しい何でも知っている登場人物を出して伏線回収を簡単にするというのはいかがなものか。ストーリーとしてはよくできているものの、読み手としては生煮え感がぬぐえない。それと、このシリーズの売りである軽快なテンポが複雑なストーリーに邪魔されている感じがある。三回出てくる「は?」はよかったけどねぇ。ちょっと重苦しい感じが残った。
読了日:04月27日 著者:若竹 七海
死神の浮力 (文春文庫 い 70-4)の感想
音楽を聴いてさえいれば機嫌のよい死神に非常に共感する。
読了日:04月30日 著者:伊坂 幸太郎
禁忌の子の感想
冒頭ショッキングな開始から、最後まで読まされてしまった印象。大変よく書けていると思う。医療倫理の問題に踏み込んでおり、賛否両論あるだろうが、ここまで描き込んだ力量はすごいと思う。途中のカラフルな名前の多くの登場人物のアリバイを検証していくくだりは申し訳ないが面倒なので読み飛ばしました。鮎川賞の選考委員がきちんと検証してくれていることを信じる。っつーかあの部分必要だろうか。
読了日:05月02日 著者:山口 未桜
生きる言葉 (新潮新書 1083)の感想
はじめの方は息子さんの自慢話に終始するのではないかと心配したがその後は興味深い「言葉」と「短歌」の軽快なエッセイ集であった。俳句だと十七文字に如何に無駄なく詰め込むかとなるが、三十一文字だと言葉の濃度がちょうどよくないといけないとのこと。大変勉強になりました。といって、短歌を作ろうという気力はない。短歌は消費させていただき、いつの日か担架にのせられて啖呵をきる力もなく炭化するのみ。
読了日:05月07日 著者:俵 万智
80年代音楽解体新書 (フィギュール彩 Ⅱ 1)の感想
スージーさんは私より10歳ほど年下なので、微妙に音楽の守備範囲は異なるのだが、私は後年になってから80年代ベストヒットとかのCDを聞いたりしているので、驚くべきことに(というかほとんど当たり前なのだが)ここで取り上げられている曲のほとんどを我がiTunesコレクションに持っているのであった。時に、この本では触れられていないが、ポップスの黄金の進行IV度へのII-V(vm7-I7-IV)についてスージーさんはどこかで触れておられるだろうか。
読了日:05月14日 著者:スージー鈴木
透明カメレオン (角川文庫)の感想
どうもストーリーに無理が感じられて、あまり共感できない。がんばって書いておられるのはわかるのですが。
読了日:05月23日 著者:道尾 秀介
大阪ことばの謎 (SB新書 691)の感想
大変わかりやすい、「大阪ことば」解剖の書である。万葉集からインターネットスラングまでを網羅して、「大阪ことば」の来歴・性格・影響を全国規模で縦覧するという大技。感服するしかない。時に「なお中野氏は一九〇三年生まれの愛媛県松山市出身で、旧制第三高等学校(京都)卒業後、東京帝国大学で学んでいる。松山氏の方言は」の部分は「松山氏」でいいのか。
読了日:05月24日 著者:金水敏
弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる~OSAKA MOTHER’S SON 1980 ~の感想
面白かった。見も知らぬ1970年代の東大阪を走り抜けたような気がする。描写が実体験に基づいているからであろう、非常に鮮烈でかつ地に足がついている感覚がある。しかし、よく中学時代のことを覚えておられますね。私なんぞ中学校のころのことなんか、なにも覚えていない。
読了日:06月17日 著者:スージー鈴木
カフネの感想
世の中どんどん変わっていきますな。憲法も民法も民事訴訟法も時代遅れだねぇ。
読了日:06月23日 著者:阿部 暁子
存亡の条件の感想
3,4回読んでる。面白いこともあるが、難しいところもある。むかし「べ平連」ってあったよね、あれが山本さんのいう「知識人党」によく似たもので、北ベトナムの人たちという被害者に「寄りそって」自分たちも同じスタンスを強調するが、全く被害は受けていないという。まあ、一部兵役拒否の米兵を匿うとかほそぼそしたことはあったようだけれどね、似たような事象を平成でも令和でもみるように思う。悪だとはいっていないが欺瞞なのだ。
読了日:06月25日 著者:山本 七平
ミス・パーフェクトが行く! (幻冬舎文庫 よ 27-3)の感想
私のような素人を騙せる程度には地に着いた(と思わせる)議論で問題解決が図られるので、内容は地味だがそこそこ面白い。
読了日:07月01日 著者:横関 大
村上ラヂオ (新潮文庫)の感想
何度か読み返しているが、そのたび内容は頭の中を過ぎてゆき、また読むことになるが、そのたびどことなくここちよい。連載の回によって重い軽いはあるけれど。
読了日:07月05日 著者:村上 春樹
ババヤガの夜 (河出文庫)の感想
とにかく暴力、という小説だが、喧嘩に長けた女のキャラクターといえば、誉田哲也さんの「ジウ」シリーズの「みさき(伊崎基子)」を思わせる。これがゴールデン・ダガー賞なのか。好みの問題かなぁ。
読了日:07月06日 著者:王谷晶
福家警部補の考察 (創元推理文庫)の感想
福家警部補シリーズはどれも面白いが、この考察が一番まとまっていてかつ洒落ている気がする。やっぱりこのシリーズは短編がいいな。
読了日:07月15日 著者:大倉 崇裕
福家警部補の追及 (創元推理文庫)の感想
中編二本で、どちらも力作であるが、読者としては短編の方が楽しく読めるような気がする。
読了日:07月19日 著者:大倉 崇裕
三人目の幽霊 落語シリーズ (創元推理文庫)の感想
噺家自身が探偵役という北村薫さんのシリーズを思い出す。「三鶯荘奇談」は手に汗握るという感じでサスペンスとしては上々の出来だと思う。
読了日:08月01日 著者:大倉 崇裕
白戸修の逃亡 (双葉文庫)の感想
つぎつぎピンチに過去の関係者が助けに現れて危地を脱していくのはそれなりに面白いが、プロット的にはごたごたしていてすっきりしない。カタルシスがない。こちらの理解力がないのかもしれないが。
読了日:08月09日 著者:大倉崇裕
国宝下花道篇 (朝日文庫)の感想
歌舞伎にはなじみがないし、好きでもないけれど、小説でここまでやられたら、恐れ入りましたというしかない。読みやすく、ストーリーを軽々と運んでいく文体が見事だと思う。全体の構成も豊かで、ゆるみなく、歌舞伎の文句を積み重ねて飽きさせない。楽しく読ませていただきました。
読了日:08月22日 著者:吉田 修一
言葉の虫めがね (角川文庫)の感想
確かに智の字を言うのに「天智天皇」の智です、というのはややハードルが高い気はする。
読了日:08月28日 著者:俵 万智
幻視の庭の感想
この詩集でまず感じるのは、ひんやりした空気と果てしない広さである。どちらかというと静かで、どちらかというと乾燥しているその空間は、たとえ少量の焦燥感があったとしても、基本的には落ち着いた居心地のよい場所である。
読了日:09月01日 著者:田畑浩秋
おとうと (新潮文庫)の感想
国会図書館のデジタルコレクションで読んだ。見事な文章だと思う。無駄なく情景と感情を描いて過不足がない。二度映画化されていると承知しているが、最近の吉永小百合=笑福亭鶴瓶版はかなり設定は変えられているが、姉弟がリボンで手を結ぶというエピソード、最後に鍋焼きうどんを所望されるというくだりは原作からずっと引き継がれているのを知った。
読了日:09月12日 著者:幸田 文
愛する源氏物語 (文春文庫 た 31-7)の感想
俵さんの、和歌を現代語の和歌に翻訳する、という力業あってこそ可能だった画期的な源氏物語ガイドだと思う。それにしても俵さん含め、源氏物語の研究者、現代語訳の訳者、そろいもそろって、ほとんど源氏物語を現実のことのように感じて評論しているのに驚かされる。もちろん時々我に返って「これは紫式部がそのように書いているのであるが」という注釈が入るのだがそれにしても皆さん物語に没入しすぎ。それだけ源氏物語が偉大な創作だということだろうが。
読了日:09月17日 著者:俵 万智
存亡の条件の感想
何度か読み返して、著者のいう「臨在感的把握」というのはどういうことなのかがわかった。確かにわれわれ日本人は何か、これという絶対的なものを見つけて「臨在感的」に把握してしまうことが多いと思う。「臨在感的把握」をしないようにするのは難しいが、そうしないと対象の把握そのものが危うくなる。
読了日:09月17日 著者:山本 七平
顔の見えない世界に降りそそぐ君の光 (角川文庫)の感想
プロットはごたごたしていてあまり感心しない。推理小説としては謎の解決のプロセスも結果もすっきりしない。恋愛小説としては…今の高校生ってこんななの。こんなに手間かけないと恋愛できないの?昭和ジジイにはわからないわー。
読了日:09月21日 著者:天野 コハク
流れる (新潮文庫)の感想
「主人」が清元をさらっていて、どうしても上手くいかない部分が、ある朝「するっと」できる。それに気づいた主人公の女中「梨花」がそれを指摘する場面が印象に残っていたが、他は全部忘れていた。内容が置屋の内情ということではごたごたするのはしょうがないが、文章もごたごたとしているように思える。慣れない読者(私)は振り回されてしまい、筋がよくわからない。
読了日:09月28日 著者:幸田 文
10プラス1 87分署シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
評判の高い小説なのだが、どこがいいのかわからない。古めかしくなってしまったということか。50年前には新鮮だったのだろうか。
読了日:10月13日 著者:エド マクベイン
警官嫌い (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-1)の感想
ストーリーはまずまず納得できるが、一人殺せば済むものを、3人も殺すだろうかという点と、如何に新聞記者が書かないといったところでそれを信用してあろうことか個人情報をべらべらしゃべるのもどうかしているように思う。昔の方が新聞記者に信用があったのか。
読了日:10月16日 著者:エド マクベイン
殺意の楔 87分署シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
よくできたサスペンスだが、アイデアを詰め込み過ぎじゃないか。
読了日:10月17日 著者:エド マクベイン
金髪女 (1980年) (世界ミステリシリーズ―ホープ弁護士シリーズ)の感想
原題のGoldilocksとは、3匹のくまの童話に登場する女の子(あるいは原話では老婆)の名前だそうで、転じて「丁度いい」という意味らしい。Goldilockという言葉自身は金の髪であるから題名の「金髪女」が間違っているわけではない。殺人事件は起きるが、むしろ不倫小説とでもいうべきだと思う。殺人事件の当事者のみならず主人公の弁護士まで不倫しれるのだから。ミステリーとしてはあまりいい出来ではないと思う。
読了日:10月24日 著者:エド・マクベイン
新宿ミステリー傑作選 (河出文庫)の感想
昭和62年(1977年)のアンソロジー。木谷恭介作品が強烈だった。トルコ風呂という言葉もなくなって久しい。
読了日:10月27日 著者:半村 良
二丁目の角の物語 (1963年)の感想
伊丹十三ボットが「読まないと損だというくらい面白い」などと煽るからつい読んでしまったが、一に貧乏、二に貧乏、三四がなくて五に借金というような、自伝的小説であった。風俗的な興味はあるが、そんなに面白いとは思わない。
読了日:10月31日 著者:
ヒカルの碁 11 (ジャンプコミックス)の感想
11巻まで読了。昔のマンガに通じるものがあって読みやすいし、絵も好きだ。特に藤原佐為が美しく描かれている。ここで一段落。
読了日:11月06日 著者:小畑 健
下町探偵局―センチメンタル・オプの感想
幸い国会図書館のデジタルコレクションで読めました。最終話がここで一番ホームラン、と思わせておいて、見事に空振りするあたり、身の丈にあったほのぼの感がよろしいかと思います。
読了日:11月09日 著者:半村 良
下町探偵局〈part 2〉 (1982年)の感想
どこかでうまくいかなくなるのではないかとよもやにひかされて最後まで読まされてしまった。まぁ、たまにはこういう結末もありかな。これも国会図書館デジタルコレクションで読みました。
読了日:11月16日 著者:半村 良
ハウスメイド (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
ミステリであるとともにオカルト要素のまったくないホラーともいえる傑作だと思う。
読了日:11月20日 著者:フリーダ・マクファデン
幻視街 (角川文庫)の感想
昭和50年~51年発表のファンタジーよりの短編集だが、さすがに今読むにはちょっときついかなぁ。半村さんでも「おんな帖」あたりの酒場モノは息が長いが、SF・ファンタジーは比較的賞味期限切れかもしれない。
読了日:11月23日 著者:半村 良
戦士の岬 (1976年)の感想
昭和50-51年の小説で、面白いのだが、結末がなぁ。なんかカタルシスがないよな。成功するにしろ失敗するにしろ、何か急展開、どんでん返しみたいなものが欲しい。
読了日:12月14日 著者:
ハウスメイド2 死を招く秘密 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
読後感がすっきりしているのが、このシリーズの良さだと思う。トリックは周到に仕組まれている。とても面白く読みました。
読了日:12月21日 著者:フリーダ マクファデン
読書メーター
北区王子本町に住んでいたのは、1970年代半ばまでである。
住んでいた家というのは長屋というのは不正確で、二軒並んだ一戸建ての真ん中をつないで、それも最初の内は板を渡していたような気がするのだが二軒を一軒にして住んでいた。
家の前は細い露地で、向かいの家はNさんといって、わが家も貧乏だったが輪をかけて貧乏な一家が住んでいた。そこの長男がRちゃんで、私より5つか6つ上だっただろうか。Rちゃんは近所のガキ大将であった。
夏の日に「日本のロケット技術はまだまだなので、俺がロケットを開発する」といって、近所の子供を集め、何をするかと思えば、露地に糸を渡して、膨らませたゴム風船にストローをつけて糸を通して飛ばすという他愛のない「芸」をやって見せたのをよく覚えている。
Rちゃんはその後中学を出て、派手に遊ん でいたようだが、交通事故であっけなく亡くなってしまった。葬式の日は、ピアノもギターも厳禁といわれておとなしくしていた。
N家には妹が確か二人いて、上の子は私と同世代だったが、中学を出ておそらくは水商売に出たのだと思う。
これも大変暑い夏の日に、彼女が家の2階でマーヴィン・ゲイのYou Are Everythingを繰り返し繰り返し蓄音機で聞いていたのを覚えている。その間に化粧でもしてそのあと仕事にでたのではないかと勝手に想像していた。
東京新聞を除いて、7名の「裏金議員」の副大臣・政務官への登用をごく小さくしか扱っていないという(TBSラジオ)翼賛新聞だ。
そもそも自民党は「民間から金をもらって便宜を図る」ことを党是としているような党で、故・家元談志に「自民党ってのは金で動くから健康的な党なんですよ。そう思わないかい?」といわれていたくらいだ。だから、カネで動くことをなんとも思わないし、それが当然だと思っている。
結果として、エスタブリッシュメント=大企業からの献金を受け取って、大企業に利する政策をとるから、時代遅れの重厚長大産業がいつまでもぐずぐずと退場しないことになり、新しい産業の芽が摘まれて、「失われた30年」ということになる。
高市政権というのは、おそらく旧安倍政権の復活なのだろう。米国追従を第一優先に考えて、経済的繁栄を追求する。円はあくまで安く、輸出産業に有利にことを運ぶ。もっともトランプはドルが高すぎるといって第二プラザ合意を実現するかもしれないが。
金で動く政治もあまり行き過ぎると肝心の経済を停滞させかねないのでよく考える必要がある。ほったらかしにしておいた自動車産業が、自由勝手に日本の屋台骨になったような僥倖はそうそう落ちていないだろう。アニメーションやインバウンドが旧来の産業に代わって屋台骨を支えてくれるようになれば結構な話だが。
平成6年(1994)の小林信彦「日本人は笑わない」を読み返しているのだが、美空ひばりに関する記述があって興味深い。
レコード大賞の「柔」が28歳、「悲しい酒」が29歳の時、そして初期の最後の大ヒット「真っ赤太陽」が30歳の時だそうだ。1937年生まれでいらっしゃるから、それぞれ1965年、66年、67年になる。
私は「真赤な太陽」をテレビでみて、「この人は演歌を和服で歌うのが似合う人なのに、こんなロック調の曲でイメージチェンジしたいのだろうけれど、痛々しいなぁ」と思った記憶がある。
1949年に古川ロッパが、美空ひばりの印象として「笠置シズコの真似をする12歳の少女、まことに鮮やかであり、気味わるし」と書いているそうだ。
小林信彦さんは(これは炯眼であり)「その後世間はひばりについて『鮮やか』派と『気味わるし』派に二分される」という。
先日のAIひばりも「気味わるし」だったが、それ以前に美空ひばりという人は「気味わるし」という一面を持っていたのだ。