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介護タクシーは高いのか?事業者の言い分

 


こんにちは!生チョコぽん酢です。
 
今日はたまに噂として耳に入る介護タクシーが高い疑惑についてのお話です。
 
私の事業所は民間救急と名乗ってますが、この記事では介護タクシーとひとくくりにさせてもらいますね(明確な定義はないので)。

先日とある搬送をしました。

A病院からB病院までの転院搬送で、その距離は700m。

700kmではなくメートルです、目と鼻の先。

代金は17,000円でした。

結構いい値段しますでしょ。

搬送の概要はこんな感じ。

ストレッチャー、点滴と酸素有りの1名搬送。

これを見ても中々いい値段ですよね、私もそう思います。

2名搬送だったら3万円は超えていました。

この仕事はA病院の病棟看護師さんからの依頼だったのですが、その時に聞かれて答えた概算は1万円。

開きすぎですよね。。

普通にクレームものだし、安く言って仕事受けて高く請求するなんてモラルに反します。

詐欺と同じ。

こんなことされたら私でも「介護タクシー高いわよねぇ」って周りに愚痴りますよ。

介護タクシーが高いと噂される所以(典型的な出来事)だなと自分でも思いました。


■なぜ高くなったのか?

しかし実態(私の言い分)を聞いてみると、もしかしたら印象が少し変わるかもしれません。

まずA病院からの依頼は「酸素無し」でした。

だから酸素無しの概算を提出していたのです(事前情報との乖離はこの仕事でよくある話)。

そしてA病院に定刻でお迎えにあがるのですが、なぜか30分待たされます。

やっと病室に入れたと思ったらその場で病棟看護師さんから「この方は家族がいませんので」と言われます。

続けて「荷物が大量にありまして、これどうすればいいですか?」と言われるわけですが、

30分もボケーっと待っていたわけで、その間に言って頂ければ先に車まで荷物運べたのにね。

というわけで荷物を運び終わってからの搬送になります。

本当に面白いです。


やっと出発してB病院に到着します。

家族がいないので私が代わりに入院の手続きをしてあげます。

最低限の手続きだけして受付には「お金がかかっているから先に病棟まで案内させて欲しい」とお願いするのですが、

ここのB病院は入院受入が極めて遅い病院としてこの界隈では有名な病院です。
 
(だからうちの事業所ではトラブル防止のために、B病院絡みの搬送はいつも概算を高めに言う決まりで、700mで1万円の概算もその為です)

あり得ないくらい遅いし何を言っても何年経っても一向に改善されません。

到着時点でB病院が指定している受け入れ時刻を過ぎているにもかかわらず、

そこから更に40分ボケーっと待たされます。

遅刻したら怒るくせに本当に面白いです。

酸素の残量がグングン減ります。

酸素もタダではないから笑えません。

ちなみに無駄に待たされた時間だけ切り抜いても、A病院で30分、B病院で40分、足して70分。

タクシーメーターで換算すると4千円以上は余分に回っています。

(その他無駄に発生した荷運びやら入院手続きやらの所要時間は抜きですからね)


やっと病棟まで案内してもらえることになり、無事仕事を終えます。

午前9時半出発10時着で終了予定の仕事が蓋を開けてみれば、10時過ぎ出発11時過ぎ終了です。

実際の所要時間で考えると(事務所からのドアツードア)、8時半から12時過ぎ、4時間弱をこの1件で費やしました。

要するにこの1件だけで半日終わりです。

しかもここで書いたのは業務内容の概要だけで、看護師等からの悪態やその他のトラブルなど、様々なストレス要因があります。

不思議なものですが、基本的にどこに行っても嫌な扱いをうける仕事なのです(←ちなみにその理由について昨日発見があったのでいつか記事にするかも)。


■まわりの不手際も最後は自分のせいになる(評価になる)

ちなみに業務終了後、B病院の病室までお会計に上がったのですね。

私「すみません概算よりだいぶオーバーしてしまい、17000円になりました

と、高くなった経緯などを謝罪しながら説明します。

お金貰えなかったらどうしよう、揉めたらどうしよう、A病院にクレーム言われたらどうしよう、

緊張がピークに達する瞬間です。

でもこの患者さんは快く

じゃ、2万円からでいいかしら。本当に助かりました

と言ってくださったので張りつめた緊張が解けて胸をなでおろすわけですが、何やら嫌な視線を感じます。

この会話を聞いていた病棟看護師が「たっか」みたいな、「ありえねぇ」みたいな顔で私を見ているのです。

あの目。

あの表情。

マジで脳裏に焼き付きます。

本当につらいのです。

確かにB病院の病棟看護師さんから見れば、何も知らないから(というか知ろうとしない、興味がないだけなのですが)

介護タクシーは大した仕事もせず、たった7百メートル患者を移送しただけで2万近く請求する、

しかも平気で毎回遅刻してくる(本当は受付で待たされているだけなのですが)。

まったくいい仕事よね

そのように見えているのでしょう。
 
多分裏でもそういわれてます。

でもね・・・

こちらの言い分も理解して欲しいのです。

半日潰れてますからね。

しかも、これが丸々懐に入るわけではありません。

頂く売上は、経費や固定費を抜けば手元に残るのは6割とか、どんなに良くても7割程度です。

半日で1万円。

決して安くはありませんが、高くもありませんよね・・・。

というか私としては、予定通り10時に終わらせて頂き、午前中にもう1件仕事をさせてもらえる方が利益になるのですよ。

確かに表面上だけで見れば高いですけど、全体的に見れば高いわけではない。

というか元凶は病院の対応にあり、実は私も損をしている。

でもそれを伝える術はありません。

お宅の病院が待たせすぎるせいですよ」などの嫌味は言えないし、

言ったところで要因はもう片側の病院にもあるし、毎回ケースバイケースで要因が変わるわけで。

本当に難しい仕事なのです。


■介護タクシーの難しさ

誰でもボロ儲けできる仕事なら、とっくに大手のタクシー会社が目の色変えて飛びつきますよ。

でも実際はカシコイ会社は手を出しませんし、手を出した会社もすぐ撤退します。

残るのは我々のようなシブトイ個人事業主やその延長の会社だけなのです。

この仕事はタクシー業務だけだと勘違いしている人が大半なのですが、

自宅で倒れて身動きとれない人を、時には1人で病院に連れ出すこともあります。

救急隊員なら4人5人でやる事ですがそれは税金だからなせる業。

人手が減れば減るほどお金が安くなる為、実状は救急隊員より生産性を求められるハードな仕事なのです。
 
でも力があれば良いのか?という話でもなく、医学的観点での安全も確保しなければいけないので、
 
医師・看護師・救命士等の医療従事者ほどではないにしても、
 
患者さんを観察してその判断が出来る程度の知識と経験と実績が必要だし、
 
運転が始まればタクシードライバーより慎重で安全な運転技術が求められる。
 
介護の相談にはプロとして適切なアドバイスをしなければいけないし、

 

時には様々な機関とかけあって包括的なプランニングもしなければいけないし、
 
時には楽しませなければいけない。
 
買い物の手伝いをする日もあれば、
 
飛行機の横に車をつけて患者を運び出す日もあり、多様な仕事なのです。

だからこそ各方面の様々な専門知識が必要になり、知識だけではなく現場も数をこなし経験を積まなければいけません。

しかしどの現場でも出しゃばり過ぎてはいけない、所詮タクシードライバーなのだから。

この匙加減を見誤り、地雷認定された介護タクシー事業所はいくつも知っています。

勘違い介護タクシーになってはお終いなのです。

一方で、全体像が見えているのは我々だけで、ある意味我々にしか見えない世界がありまして、

患者さんに負担がいかないように、また安全を確保する為に、登場人物にアドバイスをしたり(相手からしたら小言に聞こえるのですが)、上手に立ち回る使命を感じるわけですが、

所詮タクシードライバーという立ち位置を崩さないようにしなければいけないので、

この立ち振る舞いが非常に難しいので、地雷認定された介護タクシー事業所のやりきれない気持ち、怒りも痛い程分かります。

でも地雷認定する側の気持ちも当然理解できます、一言で「お前何様?」になりますから(本職の専門家を相手に張り合うのは違います)。
 
しかし私達の努力は、確実に病院の為にもなるし患者さんの為にもなるし、最終的に自分の為にもなる。

こうしたムズカシさの片鱗でも、いつか現場の人達に伝わればいいのになって、いつも思います。


だからと言って、あまり甘やかさないでくださいね。

本当にぼったくり介護タクシーもあるから。

雰囲気を理解してくれる程度でいいし、そのうえで不満があればどんどん言って欲しいです。

私の仕事だけではなく、どんな仕事も大変ですからね。

 

なんてことを、つらつら書かせてもらいました。
 
誰向けだよって感じですが、お読み頂きありがとうございます。

 

 

おわり

 

 

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