ちゅうたのぼくのおと -10ページ目

◆平林都/平林都の接遇道 -10・09-◆

平林都の接遇道/平林 都
¥1,365
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著者はTVを見ていた時に初めて知ったが、その時感じた個性的な言動や立ち振る舞いに比べこの著書はそのインパクトに欠けた普通の本だと感じた。

特別な話法や技術は無くあくまで基本に忠実という点を強調していたが、それはいかに多くの人が接遇の基本ができていないかの裏返しで自分でもキチンとできていたかどうかを振り返った。

商品の差別化が難しい、値段もこれ以上下げられない今の小売・サービス業で接遇というもので差をつけるのは極めて費用対効果が大きいと思う。


◆小宮一慶/日本経済 このままでは預金封鎖になってしまう -11・01-◆

日本経済 このままでは預金封鎖になってしまう/小宮 一慶
¥1,680
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小宮氏の書籍は何冊か読んだことがあったが、本作については納得のいかないところが多々あった。

全体を通じてリフレ反対、消費税増税という基調で進められていたが、著者の主張を通すためかインフレターゲットの危険性については必要以上に誇張が見られたように思う。確かにインフレターゲットは著述の通りリスクを伴うが、それならば消費税アップによる消費の冷え込みやデフレの悪化といったデメリット部分についても同様に取り上げるべきだが全くといっていいほど触れられていなかった。

また消費税アップをするならば同時に議員・公務員削減や特殊法人改革といった行政のコストカットについても切り込まないといけないと思うが、ひと通り一般論を述べただけで消費税増税ついてのそれと比べて内容も分量も少なかった。もしこの説の通り消費税が増税されても10年前の消費税5%アップの時と同様に消費の落ち込みに景気悪化による所得税・法人税の収入減が加わって返って税収が悪化すると思う。

ただ、得意の日経新聞を使った日本経済の分析については客観的で判り易く一読の価値はあったと思う。

◆寺田昌嗣/フォーカス・リーディング -11・01-◆

フォーカス・リーディング 「1冊10分」のスピードで、10倍の効果を出す いいとこどり読書術/寺田 昌嗣
¥1,155
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今まで速読に関する本は何冊か読んだが、この『フォーカス・リーディング』にはそれまで私が思っていた読書の効果や常識を覆すところが多々あった。

まず「読書は体育会系」であるという点。今まで読書は静かに集中して読むというイメージだったのだが、呼吸法や目の動かし方など速読には精神面だけでなく身体面についても重要だと考えさせられた。

また、「本は多読しても質に転化しない」・「本を読めば成長するというのは思い込み」・「読書メモをとる事を目的化しては意味が無い」など漫然と本を読むのではなく目的を持って考えなければ読書の真の目的を達成できないと分かった。

ただ、速読のトレーニングについては若干実践しにくく分かりにくい部分があったのでその点が改善されれば良いと思った。


◆斉藤有美/もっと写真がうまくなる カメラの撮り方手帖 -10・07-◆

もっと写真がうまくなる カメラの撮り方手帖/斉藤 有美
¥1,974
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カメラの撮り方を基礎的なところから一から説明した「カメラの参考書」。

光の向きや構図、レンズの絞りやピント合わせなどの撮影手法・技術について細部にわたり詳しく説明され、所々難解な箇所もあったが撮影に取り入れたい内容が多くとても参考になった。

またフィルムカメラについても紹介されており、フィルムの選び方や現像の手順など若干マニアックなところも紹介されていた。今までデジタルカメラしか使っていなかったがフィルムカメラにも興味が持てた。

◎斉藤英治/世界一わかりやすい「速読」の教科書 -11・01-◎

世界一わかりやすい「速読」の教科書/斉藤 英治
¥1,470
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当書籍はその名のとおり速読のメカニズムや上達の方法について説明。

速読に関する本は以前に何冊か読んだことがあるので内容はそれらとカブっている部分が多く、以前の復習としては使えたが正直目新しい情報や手法は見当たらなかった。

しかし付属のCDは3倍速・4倍速・10倍速と読む速度が客観的に聞き取ることができるので速読の際のペースメーカーとして大変有効で書籍本体よりも価値があったと思う。

ただ3・4倍速は聞き取れたが10倍速はついていけなかったので、もう一つその中間(7倍速)があればもっと良かったと思う。

●堤未果・松枝尚嗣/コミック 貧困大国アメリカ -10・09-●

コミック貧困大国アメリカ/堤 未果
¥1,260
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当コミックは新書『貧困大国アメリカ』のコミック版。サブプライムローンや医療問題、肥満格差などの問題が現在のアメリカを蝕んでいるかがとても判りやすかった。

特に経済徴兵制と戦争民営化は経済と戦争がいかにリンクしているのかが表現されて、その中で苦しむ経済的に追い詰められた人たちの苦悩や悲惨さがダイレクトに伝わった。

人気作のコミック版は原作と絵がうまくマッチしていないものの多いが、この本はその点でも調和がとれて万人が読める一冊だと思う。


◆浅井建爾/えっ? 本当?! 地図に隠れた日本の謎 -09・00-◆

えっ?本当?!地図に隠れた日本の謎 (じっぴコンパクト)/浅井 建爾
¥800
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本著は『知らなかった! 驚いた! 日本全国「県境」の謎』の第2弾。前作は県境に関する内容に絞って構成されていたが、今作は日本の地理についての様々な知識や薀蓄を取り上げていた為か全体的にやや焦点がぼやけている様だった。

しかしその中で県の行政区域や県庁所在地を巡って中央政府と地元住民との衝突は一番印象に残った。日本全体の行政効率や財政を考える政府の方針と、これまでの伝統や生活を重んじる住民の主張は双方とも一理あるのでこの調整は本当に難しい問題だと思った。

現在道州制が取りざたされているがこの問題もそれの延長線上にあると思われる。道州制導入については賛成だが一筋縄ではいかない問題だと改めて考えさせられた。

◆浅井建爾/知らなかった! 驚いた! 日本全国「県境」の謎 -09・00-◆

知らなかった! 驚いた! 日本全国「県境」の謎 (じっぴコンパクト)/浅井 建爾
¥800
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日本全国の県境の謎を紹介。廃藩置県で江戸時代の藩が県に変わったのは既に知っていたが、300以上あった都道府県が一旦40以下にまで減少し、昭和初期に現在の47都道府県になるまで都道府県の数や県境が何度も目まぐるしく変わっているのはあまり知られていないので驚いた。

その背景には農業・漁業に関する縄張り争いなど生活に密着した問題が発端になっているものも多く、普段あまり意識しない県境というものを意外と身近に感じた。

現在は尖閣諸島や・北方領土などの国境問題が頻発し問題になっているが県境についても大きなニュースになっていないだけで境界線を巡る問題の本質は変わらないように思えた。

◆勝間和代・堀江貴文/嫌われることを恐れない 突破力 -11・01-◆

田原総一朗責任編集 2時間で人生が変わる! 嫌われることを恐れない突破力! 世間という牢獄から.../勝間和代
¥1,000
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田原総一郎の司会の下、経済評論家の勝間和代と元ライブドア社長の堀江貴文による鼎談本。堀江氏の大胆な発想に対し勝間氏の精緻な論理で応え、それを田原氏が上手くまとめるという話の進行は小気味よくどんどん読めた。

両者の考えや生い立ちはやはり普通の人のそれとは若干変わっていると思ったが、それは異質や異端というよりは他の人との違いでありそれが両者の個性だと思えた。また両者はいわゆる普通の人が囲われている『常識』の枠の外側にいてそこから自由な言動を行っているので既得権益の側から嫌われているのだと思った。

作中に『一人ひとりが夢を持って行動すれば何かが変わっていく、変えていけば現状のままではいられなくなる』という一節がありとても印象に残った。このような時代だからこそ自分の目標であり信念であり心の拠り所である夢を持つことが大事だと思った。



◆榊原英資・竹中平蔵/絶対こうなる!日本経済 -10・12-◆

田原総一朗責任編集 2時間でいまがわかる! 絶対こうなる!日本経済/竹中平蔵
¥1,000
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小泉政権で総務相を務めた竹中氏と元大蔵官僚で政権交代に尽力した榊原氏に司会の田原氏を交えての鼎談本。

内容は意外なことに両者の対立点が少なく特に現状認識については思ったより一致するところが多かった。

ただ、日本がこれから目指すモデルの国で竹中氏はアメリカ型社会を主張したのに対し榊原氏が福祉国家のスウェーデン型社会ではなく社会民主のフランス型社会を持ち出したのは興味深かった。

ただ、フランス型の社会も官僚の肥大化や組織の非効率化などの問題を抱えていて、そのシステムを日本に当てはめるのはアメリカ型のそれ同様非常に困難であると感じた。

そして将来に向けて個人がこれから身につけるスキルとして2人とも英語力を挙げたのは一面正しいと思うが、発信するものが無いのにコミュニケーションツールだけ学んでも意味なく、これだけは誰にも負けないというプロフェッショナルなものを身につけることの方が必要だと思った。