ケアマネージャーの難易度と仕事内容は? | 世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

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立憲民主党世田谷区議会議員

介護福祉士・ケアマネジャーの中塚さちよです。

 

私の所有している資格である「介護福祉士」と

「ケアマネジャー」。

先日は、介護福祉士の資格について書きました。

今回は、もう一つの資格である

福祉業界以外の方には意外と知られていない

かもしれない

「ケアマネージャーの難易度と仕事内容は?」

ということを記事でご紹介いたします!

 

■ケアマネージャーとは?

介護や支援を必要とする高齢者や40歳以上の対象者等が、介護保険のサービスや地域にあるさまざまなサポートなどを利用して、その人らしく、地域で自立した生活を送れるよう支援するお仕事です。

介護保険法で位置づけられた職種で、民間企業や社会福祉法人などの介護サービス事業者や、介護に関する相談を受け付ける地域包括支援センター、行政などに所属しています。

 

■ケアマネージャーの難易度は?

ケアマネージャーになるためには、

いくつかのステップを踏まなくてはなりません。

 

1.医療や介護などの仕事や相談援助業務に

5年以上従事する

2.「介護支援専門員実務研修受講試験」という

試験に合格

3.「介護支援専門員実務研修」を受講する

(6日間)

4.都道府県に登録

 

ケアマネージャーの難易度というと、

「介護支援専門員実務研修受講試験」という

資格取得のためのテストの難易度、と

いうことにはなりますが、実際には

その試験を受ける前に、

介護・医療・保健分野の

何らかの国家資格を取得したり、

「5年以上の実務経験」を

積まなくてはならないという

というハードルがあるということを、

まずは申し添えておきますね。

 

ケアマネジャーの試験は過去20回

実施されています。

 

難易度を合格率でみてみますと、

 

  受験者(人) 合格者(人) 合格率(%)
第1回(平成10年度)  207,080 91,269 44.1
第2回(平成11年度) 165,117 68,090 41.2
第3回(平成12年度) 128,153 43,854 34.2
第4回(平成13年度) 92,735 32,560 35.1
第5回(平成14年度) 96,207 29,508 30.4
第6回(平成15年度) 112,961 34,634 30.4
第7回(平成16年度) 124,791 37,781 30.3
第8回(平成17年度) 136,030 34,813 25.6
第9回(平成18年度) 138,262 28,391 20.5
第10回(平成19年度) 139,006 31,758 22.8
第11回(平成20年度) 133,072 28,992 21.8
第12回(平成21年度) 140,277 33,119 23.6
第13回(平成22年度) 139,959 28,703 20.5
第14回(平成23年度) 145,529 22,332 15.3
第15回(平成24年度) 146,586 27,905 19.0
第16回(平成25年度) 144,397 22,331 15.5
第17回(平成26年度) 174,974 33,539 19.2
第18回(平成27年度) 134,539 20,924 15.6
第19回(平成28年度) 124,585 16,280 13.1
第20回(平成29年度) 131,560 28,223 25.1

 

最初の頃の40%台から、だんだんと下がっていき

ここ数年、2割を切っていたのが

前回試験では25.1%に合格率があがっています。

 

最初の頃の試験の合格率が高かったのは、

ケアマネージャーは、介護保険制度の要。

といわれ、平成12年の介護保険制度開始に

間に合うように、ケアマネージャーを多数

養成しておく必要があったという事情があります。

 

その後、ケアマネージャーが増えるのにしたがい

試験合格の難易度を上げて、合格者数をおおむね

3万人以内になるよう絞ってきていることがわかります。

 

ちなみに、難易度に関連することとして、

ケアマネ試験は、合格基準点となる点数が

毎年変わり、合格者数が一定程度になるよう

微調整しています!

 

試験内容は、

「介護支援分野」(総得点25点)
「保健医療福祉サービス分野」(総得点35点)

という二つの出題分野で、それぞれ7割程度

を正答することが合格の目安とされていますが、

近年の合格ラインは以下の点数でした。

 

  介護支援分野 保健医療福祉
サービス分野
第15回(平成24年度) 15点 22点
第16回(平成25年度) 15点 26点
第17回(平成26年度) 14点 25点
第18回(平成27年度) 13点 25点
第19回(平成28年度) 13点 22点
第20回(平成29年度) 15点 23点

 

第19回の試験は難しかったようで

合格ラインの点数を低くしていますが

それでも、合格者数が少なった。

それで、第20回は、前年度より易しい試験に

したのか、合格基準点を上げても

前年度より多くの合格者が出ています。

 

ケアマネージャー試験の難易度は、

その年でバラつきがあるとともに、

前年度の影響も受けるといえそうです!

 

個人的な感想としては、

ケアマネジャー試験じたいは

さほど難易度の高い試験内容とは思いませんが、

ケアマネ資格の受講者の多くは

介護福祉士など、介護現場で働き

5年以上の実務経験を積むことが

必須となっております。

 

問題は以前このブログでも書きましたように

介護職の平均勤続年数は短く、

 

訪問介護員 4.9年

介護職員 4.6年

 

過半数が勤続5年未満。

 

さらに、離職者の7割以上は

3年未満で辞めているという

データもあります。

 

つまり、

多くの介護職員は

ケアマネジャーの

受験資格すら得られないうちに

介護現場を立ち去っている

のではないでしょうか…

 

ケアマネージャーの難易度と言うのは

試験の難易度がどうこうという前に、

「実務年数5年以上」という

受験資格を得ることが、

実は一番難易度高くないか!?

と思ってしまいます!

 

■ケアマネージャーの仕事内容は?

ケアマネージャーの仕事内容は、

ひとことで書くのは難しいのですが、

介護や支援が必要な高齢者やご家族等の

ご相談に乗り、介護サービス利用計画などの

ケアプランを作成したり、サービス事業者や

関連機関、行政などとの調整を行ったりする

お仕事です。

 

介護が必要かな!?となったときに、

ヘルパーさんやデイサービスなどの

介護保険のサービスを利用するには、

まずは、行政(もしくは地域包括支援センター)に

要介護認定の申請を行うことが必要です。

そこで、要介護あるいは要支援、の認定がおりれば、

ケアマネジャーにケアプランの作成を

依頼することができます。

 

利用者さんが、どんな暮らしを希望しているのか、

どんな疾患や障害をもっているのか、

身体の残存機能はどれくらいのレベルなのか、

ご家族の状況、住居の状態、地域の環境、

経済状況など、こまかくアセスメントを行って

その人らしい暮らしを実現するために必要な

ケアやリハビリ、看護や医療、権利擁護など

多様なサービスを提案し、

利用者さんの自己決定を支援します。

 

 

ケアマネージャーの仕事内容は

多岐にわたっておりますが、

ケアマネになる以前の基礎資格や

実務経験の内容も、

介護福祉士で、老人ホーム勤務の者、

薬剤師で、ドラッグストア勤務の者、

行政の生活保護のケースワーカー、、、

といった具合に、

人によって全然違っています。

 

どのケアマネも、

試験に合格後、研修を修了して初めて

ケアマネジャーになれるので、

皆、ケアマネ―ジャーの仕事に必要な

最低限の知識や技術を持ち合わせて

いるということにはなりますが、

その人のそれまでの仕事内容や

経験によって、力量の差や

得意不得意もあるのが実際のところ。

 

たとえば私中塚さちよは

介護福祉士の資格を持っていますが

施設での仕事より、在宅(訪問介護)の

キャリアが長く、

特に、ALSなど重度の難病患者の

在宅介護に関わっていたので、

障害福祉のサービスを併用するような

在宅の重度障害の方のケアプランを

割と得意にしています。

 

認知症ケア専門士の資格を持っていて、

認知症の方の支援が得意なケアマネや、

精神保健福祉士や精神障害の相談支援の

経験があり、精神疾患のある高齢者の

支援が得意なケアマネジャーなど、

現場には、色んなケアマネさんがいます!

 

■給料・収入はどれくらい?

ケアマネージャーは、資格を取るのに

実務経験5年以上というハードルがあるため、

介護・福祉職では、一番最後に取れる資格、

という、上級職的なイメージがあります。

 

しかし、ケアマネージャーの給料や収入は、

仕事内容や労力に見合っていない!!

と考えているケアマネがほとんどではないでしょうか…?

 

介護労働安定センターの調査では、

ケアマネージャーの平均月給は

255,264円、

賞与ありと答えた人が全体の約7割、

金額は 602,675円。

 

なので、ケアマネージャーの給料・収入は

ボーナス有の正規職員で、

年収  366万程度、ということになりそうです。

 

これは、合格率2割程度の

ケアマネージャー試験に合格しただけでなく

それ以前から、福祉や医療の専門分野の

国家資格を取得していて、

最低でも現場で5年以上の経験のある者の

給料・収入としては、あまりに低すぎる評価だと

私は思っています。

 

大卒初任給でも、月収25万円、

年収366万を上回る年収を

支給している業界や企業は沢山あるのです。

 

今、区議会には、同じ会派の議員のところに

インターンシップで、優秀な学生さんが

多数、来てくれていますが、

彼・彼女たちが就職をすればすぐにでも、

現場でキャリア10年の私が

ケアマネジャーとして働くよりも、

よい給料を手にすることができるでしょう。

 

■ケアマネージャーと介護福祉士の違いは?

ケアマネージャーと介護福祉士、

どちらも、介護に関する資格ですが、

多くの皆さんには、違いがわかりにくいかもしれませんね!

 

ケアマネージャーと介護福祉士の資格の違いは

色々とありますが、おおまかにいえば

 

【ケアマネジャー】

・相談対応などの対人業務だが、直接介護は行わない。

・国家資格ではない(都道府県に申請、登録)

・ほぼ業務独占に近い。

・更新制

 

【介護福祉士】

・直接介護をするがメインの仕事。

・国家資格。

・名称独占だが、業務独占ではない

 

上記のことがあげられます。

 

「業務独占」というのは、

資格を持っている人だけが、独占的に

その仕事を行うことができるということです。

 

一方、「名称独占」というのは、

資格を持っている人だけが、その資格を

名乗ることができますが、

仕事内容に関しては、その資格を持っていない

人でも、同じ業務にたずさわることが可能です。

 

たとえば、介護福祉士が行う介護の業務には、

「介護職員初任者研修」受講者や

「社会福祉主事」の資格を持つ生活相談員などが

行うことがあったり、

働く施設の種類によっては、資格がなくても

介護業務に携わることができます。

 

しかし、ケアマネージャーが行う

ケアプラン作成などの仕事は、

ケアマネージャーの資格を持っていないと

業として行うことはできません。

これを業務独占といいます。

(※厳密には、要介護者本人や家族が

セルフプランといって、

自分でケアプランを作成することは

法律でも認められているのですが、

その場合は、通常ケアマネが行った時に

国保連から支払われる介護報酬を

算定することはできません。)

 

ケアマネジャーの資格は、

介護・福祉関連の中で一番最後に

取れる資格、とさきほど述べましたが、

実は私は、実務経験3年あれば取得できる

介護福祉士の資格より先に、

実務経験5年が必要な、

ケアマネジャーの資格を先に取得しています。

 

一般的な、介護関連の資格取得の順番からいうと

逆の順番になりますが、これにはこの

「業務独占」か否か、ということが関係しています。

 

つまり、介護福祉士の資格は無理にとらなくても、

直接介護の仕事がしたければ、

すでにもっていた訪問介護員2級の資格で、

(現在は廃止、介護職員初任者研修になった)

採用さえされれば介護の仕事に就くことができますが

ケアマネジャーはその資格をとらないと、

その仕事に就くことができないので、

ケアマネの資格だけは何が何でも取得したかったのです!

 

もっとも、近年では、

厚生労働省が、介護に携わる人の資格を

初任者研修ではなく、介護福祉士を基本とするよう

介護報酬でのインセンティブをかなりつけているので、

直接介護の仕事であっても、

介護福祉士の資格取得をめざすことが

給料・収入アップのためにもお勧めです。

 

 

「ケアマネージャーの難易度と仕事内容は?」

難易度と仕事内容の割には

給料・収入は大卒初任給以下!?の

報われないお仕事!!

ご理解いただましたら幸いです(泣)