平成19年9月 世田谷区議会定例会09月20日(介護・福祉・医療) | 世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

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世田谷区議会議員・ケアマネジャー中塚さちよの活動報告、議会報告、ケアマネのお仕事、日常など

中塚さちよ  議員 質問通告に従い、順次質問してまいります。


 最初に、災害時の通学路の安全確保についてお尋ねいたします。
 七月に新潟中越沖地震が起こりました。その際、東北大の調査によると、小学校の通学路で石塀やブロック塀が一校当たり平均約十三カ所倒壊していたと新聞で報じられています。地震が登下校時間帯に起きていたら、子どもが倒れた石塀の下敷きになった可能性があったということです。
 私は自分の事務所のある船橋近辺を実際に歩いて調べてみました。船橋には熊本区長も住んでおられるので、ぜひ区長にもお聞きいただきたいのですが、残念ながら、船橋にも古くて倒壊しやすい塀が何カ所か発見されました。四メートル道路に面して高さ二メートル近くもある万年塀、大谷石の塀が、船橋小の通学路にもありました。二メートル三十センチという恐ろしい高さのブロック塀もありました。
 狭隘道路、そして耐震対策、災害時の要援護者の問題など、これまで多くの会派の議員の皆さん、そして我が会派の藤井議員も指摘をしておりますが、狭い道路でこうした高い塀が崩れると、逃げおくれしやすい子どもや高齢者、障害者などにとっては大変危険です。
 建築基準法では、ブロック塀の安全性の確保のため規制が定められていますが、建物の確認申請と同時でなければ届け出の必要がないため、区では規制できない現状にあります。
 また、昨年、ホテルの東横インが不正改造をして、障害者用の客室をつくり変えて大きな問題となりましたが、事業者の中には、建築確認後であっても、安く上げるために強度の足りない倒壊しやすい塀をつくるところもあるということです。
 このような状況におかれまして、区としては、今後、通学路の安全化を図るためのブロック塀に対する対策について具体的にどのように進めていくのか、お考えをお聞かせください。
 続いて、福祉移動サービスについてお伺いいたします。
 本区においては、NPOなどを中心に、移動困難者へのサービスについて特区として進んだ取り組みをしてきた経緯があります。そういった中、昨年八月より福祉移動支援センターそとでるの事業が始められました。事業の本格試行に当たっては、これまで他会派からの質問もあり、区の福祉移動サービスに対する意欲的な取り組みは評価できるものです。
 しかし、プロポーザルで事業を受託した区外業者は、一千二百万の補助金を活用して、三人の社員を動員し業務を行っているものの、期待された役割が果たされていないという現状があります。内部の関係者から見ても、この一千二百万の補助金の使い道が見えにくいと言われる中、こういった補助金の使われ方、事業のあり方について、区はどのようにお考えか、見解をお聞かせください。
 福祉移動サービスを支える介護タクシー事業者の運営は大変厳しく、ある事業者の方は、経営者は五十代で月給十五万円と言っておりました。理事者席におられる職員の皆様、同じぐらいの世代の、五十代の家庭のある男性が月給十五万円です。それでも、そういった方々は生活を賭して勉強会や、時にはボランティアとして福祉移動サービスのために動いておられます。利用者のためにも必要なサービスを削ることなく提供していかなければならない中で、こういった事業者への支援、ボランティアの活用も含め、どのように福祉移動サービス全体の充実を図っていくのかお伺いします。
 次に、介護サービス提供に係る事故について幾つか質問させていただきます。
 一年前、「医療崩壊」という本が出版されました。インパクトのあるタイトルで、お読みになられた方もおられるかと思います。この本の冒頭では、現在、日本の医療機関は二つの強い圧力にさらされている、医療費抑制と安全要求です。この二つの相矛盾する圧力のために労働環境が悪化し、医師が病院から離れ始めたと書かれています。患者のニーズにこたえる形で医療が高度化、複雑化し、医療の提供に係る説明、記録など充実した反面、医療従事者の業務は過酷になり、事故の危険性も増しています。医療の質と安全にかかわるさまざまな矛盾と課題は、現在の医療と医療提供システムのあり方を問う根源的な課題でもあります。
 これは介護・福祉サービスにおいても同じことが言えるのではないでしょうか。高齢化が進み、医療が進展した結果、要介護度の重い方、医療ニーズのある方など、対応に高度な知識と介護技術が必要とされる利用者がふえています。区内の要介護認定者の推移を見ますと、平成十二年四月の介護保険創設時からことし、平成十九年四月の七年間で、要介護三、四、五の認定者の数は、いずれも一・五倍から二倍以上の増となっています。
 一方で、現場では周知のとおり、昨年の法改正による介護報酬の減額に加え、煩雑な書類の増加など、労働環境が劣悪化し、介護士やヘルパーが介護の現場から逃げ出しています。私自身もその一人と言えるかもしれません。そういった中で、介護施設の利用者の体内からスプーンが見つかったり、障害者施設の方ですが、ゴム手袋が見つかったり、単に事故として片づけられないような事件が起こっています。
 本区においてはどうでしょうか。介護事故について、事故の件数、内容、近年におけるその推移についてお伺いいたします。
 予防型行政、安全安心という言葉が、今、世田谷区政を語るキーワードとなっています。しかし、災害は防ぎようがなく起こるものです。まして、人間のやることに完璧、一〇〇%安全ということがあるのでしょうか。事故が起こると、起こした個人の責任にして、それで果たして事故がなくなるのか疑問です。
 質の高い介護人材の育成はもちろん重要ですが、何かが起こったとき、それが事故なのか過誤なのかも含め原因究明と再発防止をする、それを可能にするシステム、制度を構築することが、現場が医療行政、福祉行政に寄せる期待であります。
 そういった中、今、厚生労働省の検討会では、医療死亡事故の原因究明を行う調査機関を法的に設置することが検討されていますが、介護サービス提供に係る事故の予防、再発防止について、区の見解と方策をお聞かせください。
 さて、今回、私は最初に災害対策について質問しました。次に福祉移動支援センター事業のこと、最後に介護事故について質問しました。また、前回の定例会一般質問では、下北沢のまちづくりについて質問をしました。下北沢の再開発では、防災のため、安全安心のために道路をつくると区は言っていますが、住民からは見直しを求める訴訟が起こっています。訴訟の問題点は、医療訴訟もそうなのですが、訴える方にとって精神的にも経済的にも負担が大きく、そして訴えられる側の対応をますますディフェンシブ、自己防衛的にし、双方の関係を悪化させてしまうことです。
 先ほど我が会派では、かつて区の職員として道路行政の第一線にかかわっておられた上杉議員が、まちづくりの住民参加のシステムに問題があると指摘をしました。訴訟の問題、そして複雑かつ不透明な、さまざまな行政システムに関する一連の質問から浮かび上がってくるのは、区長がおっしゃる区民とのきずな、区と区民との信頼関係が、今、まさに崩壊の危機にあるのではないかということです。
 時に、さきの統一選、参議院選挙では、私たち民主連、民主党は躍進しましたが、低い投票率にとどまりました。このことは政治不信のあらわれと思います。私たちとしても猛省をし、政治不信を払拭すべく努力してまいりたい所存ですが、区としても全力を挙げて、区民からの信頼を取り戻していただきたいということを要望申し上げまして、壇上からの質問を終わります。(拍手)

◎金澤 都市整備部長 小学校の通学路におけるブロック塀の安全性の確保についてのご質問にお答えします。
 宮崎県沖地震など大地震の際に、ブロック塀が倒壊し、死傷者が出る例が多くございます。このため、区では助成制度を設けて、ブロック塀を生け垣化するよう誘導してまいりました。しかしながら、現在でも狭い道路に沿って多くのブロック塀があり、本年七月に策定しました世田谷区耐震改修促進計画におきましては、早急に危険なブロック塀の倒壊防止対策を講じるべきであるとしております。
 通学路の安全確保の具体的対策といたしましては、建物の確認申請時に安全なものとするよう指導するとともに、学校、保護者、地域が連携して、指定通学路に面するブロック塀の現状把握及び点検をするよう働きかけてまいりたいと考えております。また、ブロック塀の安全性を確保するには、区民の理解と協力が必要であり、危険なブロック塀の実態や改修方法に関する知識の普及に努め、ブロック塀の倒壊防止を推進してまいります。
 以上です。

◎秋山 保健福祉部長 福祉移動サービスにつきましてご質問をいただきました。お答え申し上げます。
 福祉移動支援センターは、昨年八月からの試行事業を経て、今年度より事業実施をしておりまして、八月末現在で、登録者五百六十七人、相談件数八百七十九件、配車千三百六十九件という実績でございます。
 配車予約につきましては、予約内容をメールで配信し、ワンストップで運送車両の手配を行っております。また、各介護タクシー事業者においては、乗降や階段昇降などの介助料金がまちまちな中で、介助料などについて一定のセンタールールを定めるなど、利用者が安心して利用できる環境整備に取り組んでおります。
 一方で、道路運送法の関係で、センター登録会員をNPOや介護タクシーが効率的に運送するという構想が実現できず、配車が介護タクシー事業者中心になっている状況でございます。区といたしましては、試行事業から一年の実績を踏まえ、事業規模や事業内容、費用対効果等について検証しながら、今後の事業内容や補助金について検討してまいります。
 もう一点、福祉移動サービスにつきまして、今後どのように活用し、福祉移動サービスの充実を図っていくかということについてお答え申し上げます。
 移動困難者に対する福祉移動サービスは、タクシー会社の福祉車両の供給が十分でない中、NPOによる福祉有償運送や介護タクシーなどの運行主体によりサービスが提供されています。
 区では、こうした地域の運行主体を支援し、円滑な事業実施や新規事業者の参入を促進し、移動困難者の利便性を向上させたいと考えております。具体的には、NPOの福祉有償運送に事業補助を行うとともに、道路運送法の改正に対応する運転者講習の実施や、広報による運転ボランティアの募集、新たに事業を始めようとする法人の相談などを行ってまいります。介護タクシーについては、福祉移動支援センターを通して、効率的な配車予約と運行を支援してまいります。
 福祉移動支援センターでは、こうした配車予約のほか、移動に関する相談への対応、センター加盟事業者の接遇や介護技術等の研修を実施してまいります。
 今後も、区はNPOや介護タクシーなどと協働し、利用者が安全で安心して福祉移動サービスを利用できる体制づくりに取り組んでまいります。
 以上でございます。

◎須田 介護予防担当部長 介護事故に関してのご質問にお答えをいたします。
 まず、介護事故の件数、内容、推移についてでございます。介護サービス事業者は、利用者へのサービス提供により事故が発生した場合には、速やかに保険者である区に報告を行うとともに、必要な措置を講ずることとなっております。
 介護事故報告は、平成十六年度には六十七件、十七年度は百三十九件、十八年度は二百三十一件ございました。事故の内容といたしましては、骨折が全体の約四割と一番多く、打撲や切り傷の報告がそれに続いております。
 こうした事故に対して、区では事故の概要や事故発生時の事業者の対応、事故の原因解明、再発防止の対策などについて事業者から報告を受け、内容によりまして、随時事業所へ訪問し指導を行うほか、定例の実地指導の場においても、事故の再発防止に関して指導を行っております。
 次に、事故の予防、再発防止に向けた区の見解、方策ということでございます。区民の方々に安心して良質なサービスを受けていただくためには、事故の予防や再発防止に向けた取り組みは、区としても基本的なことと認識しております。事故を防止するためには、介護事業者や従事者の安全性への十分な認識や対策とともに、介護技術の向上を図ることも重要でございます。
 事業者においては、区内事業者の自主的な連絡会である介護サービスネットワークにおいて、各種研修とあわせてリスクマネジメントなどの検討を定期的に実施しているほか、各事業者において独自の研修を行い、事故防止に取り組んでいます。
 区といたしましても、事業者に対して行っているケア技術向上やサービスの質の向上のための各種研修の充実、また、事業者指導を引き続き実施するとともに、事業者の自主的な取り組みに対する支援の充実を図るなど、区と事業者との連携をさらに強化し、事故の予防、再発防止に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。


中塚さちよ  議員 ご答弁ありがとうございました。
 もう少しご確認させていただきたいことがございます。ブロック塀のことですけれども、ブロック塀の倒壊予防のための取り組みについてはわかりましたが、現実には、私が見てきたところも普通の民家というか、個人の所有しているおうちですので、こういったところの塀を建てかえるということに、やってくださいとただお願いするだけで、現実的にそれがうまくいくのか。そういった具体的な何か支援についてお聞きしたいと思います。
 あとは、NPOの福祉移送に関しては……。
 ありがとうございます。

◎金澤 都市整備部長 ブロック塀の倒壊防止につきましては、議員ご指摘のとおり、私有財産でございますので、なかなか難しいところはございます。しかしながら、先ほどもお話しいたしましたとおり、できるだけ生け垣とかそういうふうにする場合、支援をしていくということをやっておりますので、今後、その点をさらに周知して進めていきたいと思っております。よろしくお願いします。
 以上です。