平成26年6月 世田谷区議会定例会 06月12日 (環境・街づくり) | 世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

世田谷区議会議員・ケアマネジャー中塚さちよの活動報告、議会報告、ケアマネのお仕事、日常など

 中塚さちよ  議員 今回の質問の三項目は全て消滅可能性都市をテーマにしております。

 増田元総務相らが参加する民間団体、日本創成会議が国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口のデータをもとに、最近の都市間の人口移動の状況を加味して、二〇四〇年に二十代から三十代の女性の数が半分以下に減る自治体を消滅可能性都市、つまり、人口減少により、将来的に消滅する可能性がある都市として、こう呼んだのですが、消滅可能性都市は既に人口流出、人口減少に悩んでいる地方都市だけではなく、東京二十三区でも豊島区が該当するということで、大変な驚きでした。豊島区といえば、立教大学、学習院大学など、多数の大学を擁し、若い人でにぎわっている町という印象です。その豊島区が将来消滅する可能性があるということですから、当面は人口増が続くと推計されている本区も油断をしてはいられないかもしれません。
 そこで質問ですが、最初に、区内大学との連携による地域人材の育成についてお聞きします。


 本区では、このたび、昭和女子大学との包括協定を締結しました。この協定では、区と昭和女子大学が連携協力し、それぞれの持つ資源や特色を生かしながら、マッチングと政策形成の向上を図り、地域の課題解決と地域社会の発展に寄与することが目的とされています。地域社会の課題解決には、高齢化と加入率の低下に悩む町会・自治会頼みでは、マンパワーが圧倒的に足りません。区内には、昭和女子大だけでなく、多数の大学があり、若い大学生の力は地域にとっても不可欠です。早くから大学誘致に注力していた足立区では、五大学、行政、民間、地域が連携し、大学生による地域課題を解決するための社会的起業を支援することで、地域人材の育成と地域活性化を目指す取り組みが進められています。


 私の住んでいる世田谷の地域では、東京農大の学生がよく地域のイベントに協力しているのを見かけます。例えば防災訓練には、高齢者を抱えて避難する訓練に相撲部の学生が、そして、エコフェスタちとふな、これは先日、船橋小学校で行われましたけれども、環境問題に取り組むサークル、そして、神社のお祭りには応援団が大根踊りを披露したりなど、ゼミや部活、サークル単位で地域活動の核となっている方々との連携がとれており、地域の側のニーズや趣旨と合致する学生団体が継続的に地域にかかわってくれている実態があります。潜在的な地域人材が大学にはたくさんいると予想されます。

 今後、足立区の例なども参考に、大学と連携した地域人材の育成や区内のほかの大学とも包括協定の締結を進めて、大学生の関心と地域のニーズのマッチングを図ることで、地域課題の解決に大学生の力を生かすことができるのではないかと考えます。区の施策の今後の展開を伺います。
 次に、区の住宅施策と連携した介護従事者の支援についてお尋ねします。
 日本創成会議の提言では、東京圏では、高齢者人口の急増により、将来的に医療、介護を担う人材の不足が懸念されています。将来を待つまでもなく、若者の流入が多い都内においても、看護師やヘルパーといった医療・介護人材は既に慢性的に不足しています。社会保障審議会での報告によると、介護業界では依然、有効求人倍率、離職率ともに、他産業と比べて高いことが指摘されており、さらに、景気回復で、ほかの民間企業の待遇が上がると、介護の仕事は相対的に待遇が見劣りし、ますます人が集まらないと現場は懸念しております。


 介護施設や病院などは、早出、夜勤、宿直などの不規則勤務があり、長時間の通勤は体力的にもきついため、アンケートなどでは、介護の仕事を探す方は自宅から近いことを重視する方が多いという結果があります。そこで、区内で介護の仕事の就労を検討する方向けに、職場から近くて通いやすく、敷金、礼金なしで安心して借りられる「せたがやの家」の空き室を優先的に紹介することで、区内で介護の仕事を続けてもらったり、他自治体からも区内に介護従事者を呼び込むことはできないでしょうか。


 「せたがやの家」は現在、子育て世帯や期限が迫っている物件に四万円の補助を出して入居者を募集していますが、依然、埋まっておらず、まだ空室が八十戸程度あると伺っています。少子・高齢社会の課題解決のため、今の予算の範囲で、子育て世帯に加え、介護従事者を対象に加えることをぜひ検討していただきたいと思います。区の見解を伺います。


 最後に、おひとり様の自立支援とネットワークづくりについて質問いたします。
 日本創成会議では、人口減少を食いとめるため、合計特殊出生率の二・一までの引き上げを提案していますが、出産に目標を課すということは、リプロダクティブ・ヘルス・ライツの観点から批判もあります。生涯未婚率の上昇により、二〇三〇年には、男性は三割以上、女性も二割以上が生涯未婚と推計されている中で、今後、ふえ続ける高齢者、特に高齢シングルでも安心して暮らし続けられる地域社会づくりを進めていかなくてはいけません。社会学者の上野千鶴子氏は著書「おひとりさまの老後」で、結婚してもしなくても、最後はみんなひとりになる。おひとり様でも老後を安心して暮らせるには、ある程度のお金と友人が必要といったことを述べています。


 友人も社会人になるとつくりにくいと言われていますが、お金を用意しておくのは、年をとってからでは確実に間に合いません。近年は特に資産形成が難しい時代になっています。晩婚化で、現役時代は子どもの教育費などで資産形成を考える余裕がなく、子どもの学費を払い終えるころには定年を迎えてしまいます。その定年制も崩壊しつつあり、転職がふえて、中小企業などでは、退職金がない会社も多く、大手企業でも退職金の見直しが進んでいると言われています。さらに、年金水準が低下し、若年層ほど資産形成が難しくなるという年金問題の課題もあります。寿命が延びたことで、親の介護に予想以上に出費がかかり、子に負担が及ぶケースも少なくありません。また、自分も長生きすれば、老後費用もそれだけかかることになります。


 今の高齢者は貯金も多く、裕福と言われている一方で、若者は、今の高齢世代と同じように働いて生活していても、老後になって、予想外に生活困窮、生活保護などに陥るケースも出てくるのではないでしょうか。特に女性については、ひとり親世帯、シングルマザーや高齢単身女性は二人に一人が、所得が国民の平均値の半分に満たない貧困層と言われており、女性が貧困に陥らないための自立支援も重要です。

 男性は、一方で、女性よりお金があるから安泰かといえば、そうではありません。男性は女性の二倍以上孤独死しやすいと言われています。結婚をしても、離婚や配偶者に先立たれたり、引退した後、地域社会にうまくデビューできず、女性以上に孤独に陥りやすいのが男性です。私も長年ヘルパーの仕事をしてきましたが、高齢男性のおひとり様は家事が面倒なのか、余りちゃんとした食事をとらない方も見受けられます。家事や食生活、自己管理をしっかり行ったり、友人づくりを支援し、男性が孤立しないための支援も必要と考えます。
 今、こうした自分の終末に向けた終活というのがはやっています。しかし、これは、高齢者の手前になってからでは間に合いません。もっと若い現役世代から、老後を生き抜くための知識、そしてネットワークづくりを意識し、行動していく必要があります。現役世代、そして男女共同参画という観点から、おひとり様でも地域で安心して暮らしていけるための支援の取り組みについて区の見解を伺います。


 以上で壇上からの質問を終わります。

◎板谷 政策経営部長 私からは、区内大学との連携による地域人材の育成についてお答えをいたします。
 区におきましては、去る五月二十八日に、昭和女子大学とそれぞれの持つ資源や特色を生かし、相互に連携協力するとともに、地域の課題解決と地域社会の発展に寄与することを目的として、区と大学による産学・地域協働の充実や発展を目指し、包括協定を締結したところです。これまでも区では、区内十三大学と協力した生涯学習、リカレント教育の推進や共催イベント、スポーツや福祉、政策研究など、さまざまな協力連携を進めてまいりました。
 議員のお話にありました足立区での区内五大学による大学と地域が連携した活力あるまちづくりなどの取り組みを初め、相模原、町田、八王子などでのさまざまな事例も承知しております。区内大学を重要な地域資源と捉え、地域人材の育成や場の提供など、区と大
学の双方にメリットが持てるよう仕組みを構築し、区内十三大学に呼びかけるなど、大学との連携をより積極的に取り組んでまいります。


 以上でございます。

◎松村 都市整備部長 私からは、介護の仕事への就労を検討されている方に「せたがやの家」を優先的にPRしてはどうかの質問にお答えいたします。
 中堅所得者向けの優良な賃貸住宅として供給をしてまいりました「せたがやの家」は現在、四十団地六百七十五戸ございますが、昨年度よりオーナーへの返還を開始し、平成三十二年六月には事業を終了する見込みとなっております。これまでの空き室対策としては、入居資格の拡大や家賃二カ月分無料、お勧め物件家賃補助に加えまして、新たに子育て世帯への家賃補助と配慮入居者制度による入居収入基準の引き下げにも取り組んでいるところでございます。子育て世帯につきましては、今年度、これまで二十一件の成約実績がございます。しかしながら、お話にありましたように、空き室がございまして、空き室の低減に向けた一層の工夫が求められるというふうに認識しております。


 従来の産業団体や協力不動産店を通じた情報提供に加えまして、お話しのように、介護人材など、勤務地と居住地の近接が重要となる方々に対する住宅案内としまして、福祉
所管等とも連携し、「せたがやの家」ファミリー型をさらに広くPRしてまいりたいと考えております。


 以上です。

◎齋藤 生活文化部長 男女共同参画の視点から、ひとりになっても、地域で安心して暮らしていける支援策等についてでございます。
 内閣府の第三次男女共同参画基本計画におきましては、単身世帯の増加等に対するセーフティーネットの再構築の必要性が指摘され、貧困など生活上の困難に対応し、防止するためにも、男女共同参画を進める必要があるとの認識が示されております。


 区といたしましても、高齢女性や母子家庭の貧困といったことは重要な課題と認識しております。
 現在、男女共同参画センターらぷらすで実施しております区民企画協働事業では、区民団体がみずから行う事業を区として支援しており、お話しのような経済的自立も視野に入れた女性の生き方をテーマとする企画の応募もございます。これら団体が企画、実施する講座などを広く区民にPRし、御参加いただくことは、お話しの若い現役世代から老後を生き抜くための知識やネットワークづくりの一助にもなるものと考えております。
 今後は、男性、女性にかかわらず、精神的、経済的にも豊かな老後を迎えたいという願いに応えるため、御質問の趣旨を踏まえ、区民や関係団体とも連携を図りながら、さまざまな取り組みを検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


中塚さちよ  議員 区内大学との連携についてのところで再質問をさせていただきます。


 今、世田谷区内のほうでは、人口がふえてはおりますけれども、せたがや自治政策研究所の調査によりますと、二十代や三十代は特にふえていると。でも、一方で、三十代は結構流出もしていて、年齢によっては、三十代では流出のほうが上回っているところもあるそうなんです。やはり子育て環境が非常にいいと思って入ってきたのに、実際には、非常に保育待機児が多いとか、そういった中で、他自治体に魅力を感じて、流れてしまう人もいるのかと思います。
 他大学に今働きかけているということを所管の課長から伺っていますけれども、その中に、例えば地域の方々にも入っていただいて、区、そして大学関係、そして地域の方々とで、地域のニーズというのを本当に個別に大学と結びつけていくような取り組みというのを今後何か検討はされているんでしょうか。

◎板谷 政策経営部長 再質問にお答えをいたします。


 我々は、先ほど御答弁しましたように、大学の持つ専門的な知識、学生さんの活力、行動力、そういったところに地域人材として期待をしているところです。お尋ねのありました地域の方々のニーズを伺ってということで、我々は、地域の課題を解決するには、地域の方々にお話を伺い、どのように課題を捉えているかというのが課題解決に向けて必要なことですので、その点も踏まえまして、大学との連携の検討を進めてまいります。
 以上でございます。

中塚さちよ  議員 御紹介いただいた他自治体の事例とか、あと、横須賀市などでは、学生さんに家賃補助をして、そのかわり、地域の高齢者のごみ出しですとか、お買い物難民になっている方のお買い物を手伝っていただいたりとか、さまざまな取り組みがありますので、ぜひ今後とも、この点を研究していっていただきたいと思います。