平成25年9 月 世田谷区議会定例会(世田谷区基本構想・基本計画) | 世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

世田谷区議会議員・ケアマネジャー中塚さちよの活動報告、議会報告、ケアマネのお仕事、日常など

世田谷区基本構想・基本計画について質問いたします。


 今定例会に提案された基本構想の案は、素案からいろいろな意見を踏まえ修正し、苦労の跡がうかがえますが、私たち会派の考え方からすると、後退したような印象が否めません。


 まず、素案にありました新たな発想という言葉、これは金融、労働、情報などのグローバル化が進み、地球資源の限界にも直面している。格差や少子化、社会保障の維持などの課題に取り組むには新たな発想が求められていますと書いてありましたけれども、この新たな発想というのは具体的に何かとパブコメでも複数寄せられたところ、今回その中身が示されるかと期待しましたが、示されることなく、新たな発想という文言自体が消えてしまいました。


 災害支援のことについては、東日本大震災を教訓に、地域の力だけで足りない部分をカバーすべくNPOなどとの連携に区としても力を入れてきましたが、今回素案にあった連携を深めていくという表現は、地域づくりという言葉に変わってしまいました。


 また、九つのビジョンの表題に教育というのが新しく加わりました。郷土を慈しむ心を育むということが書かれております。しかし、この先二十年を見据えた計画、グローバル化の時代です。この時代に郷土を愛する心を育む教育というのは一体何なのか。地域づくり、これに力を尽くす人材をふやすにはどうしたらよいのか。そのためには、まずは視野を広げることが大事なのではないでしょうか。


 貧困と犯罪で大人になるまで生きられない国や銃とドラッグで歩くことすらできない町が世界にはあります。我が国にも原発の危機で、生まれ育った家や町に帰れない人たちがたくさんいます。そういうところに目を向けて、思いをはせて、それで初めて自分の国のよさ、ふるさとの大切さ、地域への思いというものが育っていくのではないでしょうか。
 郷土を慈しむ心を育むとか、地域、地域と書くことが、これからの世代を担っていく新たな発想を持てる、地域を大事にする心を持つ人たちを育てていくことにつながっていくのでしょうか。


 区のこの新しい案のほうにも、国内外の自治体との連携による災害協力体制の構築や多文化共生、国際協力について、最後のほうにつけ足しのように書いてあります。しかし、今回の変更では、そういった点が最後のほうに書かれているだけで、地域とか、郷土を育む心といった教育、こうしたことが前のほうに出てきていて、方向がばらばらのように感じております。
 考え方はいろいろあると思います。ただ、細かい点一つ一つについて答弁は求めませんけれども、今回の案を区長はどう考えているのか、全体として区長の考えについて見解を伺いたいと思います。
 また、基本計画について、これは予特でも指摘をしてまいりましたが、計画なのだから目標数値を入れるべきではないかと申し上げてきました。区の計画は、区民の協力や協働なくして達成することはできません。主要な施策については、区民も一緒に達成に向けて取り組めるよう、目標数値を掲げるべきだと思います。


 例えばダイエットをするにしても、ただ痩せたい、痩せたいと言っているだけで痩せられるものでしょうか。本気で痩せようと思ったら、何キロ痩せる、目標は何キロと決めて、日々体重計に乗る。思うように体重が減らなければ、さらに食事を見直す、運動をふやすとか、対策を考えます。
 目標数値がなければ努力のモチベーションも上がらず、成果を測定したり、達成に向けて策を練ることもできません。繰り返しになりますが、目標数値を入れるべきと考えます。
 また次に、今後の住民参加と合意形成のあり方について質問させていただきます。


 区長がこのたびの基本構想、基本計画の案につき、区民参加の機会をつくる新たな手法に取り組んできたことは評価をしてきました。しかしながら、前に私も三鷹市の例と比べて指摘をしましたが、区民参加への機会はふえても、合意形成の過程が以前不十分と考えております。計画策定に参加しても、合意できないものに一緒に働く気にはなれません。タウンミーティングを行ってきたということですが、参加人数も少なかった。そして、時間無制限というわけにはいかないにしても、二時間のうち、一時間が区からの説明を聞きっ放し、その後は意見交換が一人二分ということでは、合意形成などは無理だということが見えております。


 基本構想、基本計画のパブリックコメント、これについても外環道路の沿道に大規模な産業立地を考えているようだが、緑の保全と相入れないのではないかという意見に対し、緑化指導を進め、みどり33の達成に向けて取り組んでいきますと、外環のことにも、開発のことにも何も触れていない、これではとても納得できる回答ではなく、誠意に欠けております。


 また、昨日、他会派からの代表質問でも指摘されていましたが、そもそもこの基本構想自体、五月に行った区民意識調査の結果では、八割の人に知られていませんでした。さらに問題なのは、若い人ほど知りません。二十代では五%未満、三十代で一割しかこの基本構想のことを知りませんでした。七十歳以上になると、やっと三割認知度がありましたが、この先二十年の計画なのに、二十年を担い手として期待される世代の九割以上が知らないうちにつくられているというのはいかがなものなのでしょうか。


 現在、下位計画に当たる基本計画、都市整備方針などが策定中です。その中では、地区、地域ごとの意見交換、集約の実施を行うため、地区情報連絡会を開設するということです。地域住民がもっと関心を寄せてかかわれるために、この地区情報連絡会には期待されますが、どのように展開されるのでしょうか。特にこの先二十年までこの計画をともに協働して実現していくこれからの世代にはどうアピールをしていくのでしょうか。合意形成はどう図っていくのでしょうか。今後に生かせるような反省と新たな方策を示してください。
 次に、要支援の方の介護給付から市町村事業への移管についての質問です。


 現在、介護保険、要支援の方に提供している介護保険サービスは、今後、三年間で市町村の事業に移行するよう国の方向性が示されています。介護保険事業状況報告を見ると、本区では要支援の認定者のうち約五千人が介護保険の何らかのサービスを利用しています。現状のサービスを精査し、適正化する部分はあるかと思いますが、この五千人の方が今使われているサービスを三年間で区の事業で支える体制をつくるというのは、極めてハードルが高いと思います。本当にできるのか疑問です。国のほうでもこのまま行くかどうかも、いつも方針が変わりますから、はっきり言ってどうなることかと思っております。
 区では、こうした動向を見据えた上で、全国に先駆けて介護予防・日常生活支援総合事業、地域の人たちの力で、こうした要支援の方を支える新たな仕組みづくり、このモデル事業を始めています。これは私もこれまでの昨年の定例会で、貴重なヘルパーさん、介護士さん、資格を持っている方がより重度の方のサービス提供に回れるよう、こうした地域の支えあいの仕組みを提案させていただいたものでございます。


 本区でこの総合事業のモデル事業に関し、区内四地区で展開をしているということですので、その状況と今後これをこの全区に向けて展開する場合の課題についてお聞かせください。
 ただ、私が現場の方々、そして実際に高齢者の方々とお話をし、御家族の方にお話を伺ったところ、やはり資格のない方、専門的な勉強をしていない方にいろいろなサービス、ケアをしていただくとなった場合に、懸念されるのが、認知症になりかかっている場合の気づきや対応がしっかり行えるのかということでした。認知症がどういうものか、そういったことを知らないと、ただ単に、頑固な性格だ、疑い深い性格だといった個人の性格のせいにしてしまって、認知症に気がつかなくて、対応がおくれてしまう。また、うつ病ですとか、健忘症とか、認知症と取り違えてしまう。そして誤った対応をされてしまう。こうしたことも考えられます。


 認知症については、世田谷区でもさまざまな取り組みをして、相談の窓口もつくっておりますけれども、あんしんすこやかセンターだとか、あるいは区の事業だとか、あるいは認知症の人と家族の会によるテレホン相談だとか、たくさんあるんですけれども、すぐにどこに連絡をするのがよいのかがわかりにくい状況です。ですから、例えば電話一本で専門職の方が認知症かどうか、何か困っていないか、すぐに来て対応していただけるような電話番号を五四三二―二一四〇(ニンチショウ)など、すぐに覚えられる番号にして、誰でも気づいたらすぐに連絡ができ、早く対応ができる、そうした体制をつくっていただきたいと思います。


 最後に、障害者の相談支援事業についての質問です。
 昨日、他会派の三井議員からも質問がありましたが、障害者の総合相談を行う五カ所の地域障害者相談支援センター、これが地域ごとに分かれておりまして、住んでいる地域のセンターにしか相談できないということで、障害のある方々から地域にかかわらず、いろいろな障害の種別があるから、自分に合ったところに相談できるようにしてほしいといった御要望がありました。三井議員への答弁には、それは難しいということでしたが、その自分の地域のところに相談しなくてはいけないというのは何らかの法的な根拠があるのでしょうか。要綱などで決めているのでしょうか。そうでなければ、難しいケースについては、地域の縛りをなくして、当事者の立場で高次脳ですとか、難病ですとか、こうした特別な知識が必要なものはしっかり相談が受けられるように仕組みづくりを求めたいと思います。