平成25年3月世田谷区議会定例会(民主党代表質問) | 世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

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世田谷区議会議員・ケアマネジャー中塚さちよの活動報告、議会報告、ケアマネのお仕事、日常など

中塚さちよ 議員 昨年末の衆議院議員選挙で再び自公政権に戻ってから初めての国の予算審議が行われているところです。


しかし、安倍首相によるこのたびの予算編成を見る限り、過去の自民党式ばらまき型予算執行が復活したと受けとめざるを得ません。新政府が打ち出した緊急経済対策は、今年度の補正予算を合わせると総額二十兆円にも上ります。このうち公共事業費が五兆円、そしてこの財源は建設国債、つまり赤字国債です。


 一九九〇年代後半、自民党政権はバブル崩壊後、デフレから脱却するために、道路、ダム、農地整備事業など、公共事業に巨額を投入する景気対策を実施しましたが、特に効果は得られず、国の負債が雪だるま式にふえました。
 アベノミクスで企業の内部留保がふえる一方、労働者の賃金に反映されないままインフレが起これば、生活者の暮らしはますます苦しくなるばかりではないかと懸念しております。我々世田谷民主党は、子どもたちの未来にツケを残さず、子育て、介護などいつまでも安心して暮らせる世田谷をつくっていくことが区政の根本と考えます。この観点から、以下通告に基づき、順次質問してまいります。


 平成二十五年度予算編成における考え方についてお伺いします。
 区では、リーマンショック以降、景気が低迷し、税収が伸び悩む一方で、少子・高齢化の進展、高度医療の発展、生活保護受給者の増加など、伸び続ける社会保障費の捻出が課題となっていました。そういった中で行財政改革を進め、土木費の支出を抑えるなどの努力を行ってきました。一方、国の平成二十五年度の予算編成についての考え方は先ほど述べたとおりで、公共事業の拡大、地域活性化、経済対策への増額が見込まれています。地域へのばらまきで補助金がふえるとなると、少ない負担で大きな事業ができるということで、身の丈に合わない公共事業をふやしていく公共事業重視の区政に本区も戻ってしまうのでしょうか。


 さきの衆議院選も政党別の得票数を見る限り、自民党が圧倒的な支持を得たわけではないこと、また、保坂区長誕生の背景には、大型公共事業の凍結や見直しを掲げた区長の政策が区民の一定の支持を得たことを忘れてはならないと思います。国の動向にかかわらず、区長も重視しており、区民や我々会派が求めてきた子育て、介護といった福祉分野などに引き続き注力すべきと考えます。区長の見解を伺います。


 また、今回の予算編成の特徴として、防災、環境・エネルギー対策、子ども・若者支援などが区長招集挨拶の中で打ち出されている一方で、区民、我が会派も期待している行革メニューが余りないように思えました。保坂区長は就任直後、退職金の見直しや電算システム改修費用の大幅な減額など、行政改革の目玉となるような政策を打ち出してきました。今後、さらに踏み込んだ行政改革を求めます。見解を問います。


 次に、災害対策における地域の力と区の役割について質問します。
 区長招集挨拶でも触れられていましたが、区では、防災、減災に向けた災害対策として、地域コミュニティーを重視した地域防災力の向上を掲げています。自助、公助、共助といった考え方の普及、地域での支えあい、地域のきずなづくりなどは、前区長時代からの取り組みでありますが、広い本区においては、地域の現状もさまざまです。地域によってはマンション増加等で人口が急速にふえている地域もあります。町会加入の低迷による担い手不足などにより、地域の力だけではとてもカバーし切れないのが現状ではないでしょうか。
 地域の方々からは、災害援護者支援についても、区のほうでは名簿を渡すだけでその後のフォローも十分でなく、とても担い切れないといった声も漏れ聞こえてきています。こういった現状を区はどう認識しているのか見解を伺います。


 また、防災対策は、地区力の向上を掲げるだけでは十分ではありません。我が会派では、風間議員が昨年一般質問で、NPOやNGOと直接災害協定を結んではどうかと提案しましたが、区長も災害対策について、世田谷区内を拠点に活動しているNPO等々と連携していく旨の前向きな答弁がありました。これについて、来年度は具体的にどのように展開されるのでしょうか。例えば静岡県では、東海地震の経験を踏まえ、早くからNPOとの連携に取り組んでおり、合同での災害ボランティア図上訓練を毎年行っています。そこには世田谷ボランティア協会も参加していたようです。こういった例も参考に地縁組織だけにとどまらず、NPOなどと広く連携した災害対策の取り組みを求めます。見解を伺います。


 長崎県で認知症高齢者グループホームの火災による死亡事故がありました。当該ホームでは、小規模なため、スプリンクラー設置義務の除外となっており、スプリンクラーが設置されておらず、防火扉や火災時の進入口の広さなど、建築基準違反があったとのことでした。本区では、調べたところ、こういった違反のある施設はないとのことでしたが、火災のみならず、災害があったときなど、こういった福祉施設と地域とのソフト面における協力体制づくりが必要不可欠と考えます。


 認知症高齢者グループホームというところは、例えば夜間は一ユニット九名の利用者に対しわずか一名の宿直職員の配置です。何かあったときにとても職員だけでは対応できません。一般の方々はそういったことも知らない方がほとんどではないかと思われます。特に認知症高齢者グループホームは、地域密着型サービスということで、地域との関係が重要であり、公募の際には、地域との連携も選定の項目に入っていると伺っていますが、実際にどの程度連携しているかはホームによってばらつきがあるようです。


 区では、特養ホームや有料老人ホームなどと協定を結んで、災害時に要援護者の受け入れなどをお願いしていますが、区民の命を守るという観点からは、福祉施設に対する区や地域からの支援体制もしっかりつくっていくべきと考えます。現状と区の見解を伺います。
 次に、高齢者見守りの担い手についてお伺いします。


 区では、現在五カ所で展開している地区高齢者見守りネットワーク事業を平成二十五年度は十一地区と徐々にふやし、平成二十七年度には、区内全二十七地区で展開する計画とのことですが、果たして本当にできるのでしょうか。
 先ほど災害対策について、地域の現状を触れさせていただきましたが、顔の見える関係での支えあいが地域によっては限界に来ています。見守りが必要な方を把握しても、結局地域では担い切れない場合、区はあんしんすこやかセンターに任せ切り、あんしんすこやかセンターによる単なる介護保険サービスの掘り起こしに終わってしまうのではないでしょうか。
 区では、支援を必要とする人、担い手となれる人をどの程度見込んでいるのでしょうか。地域の方による見守り、支えあいはあくまで地域住民が主体となって行うものであり、行政側が押しつけるものではないと思いますが、二十七地区全地区で実施ということが果たして可能なのか見解を伺います。


 次に、時代のニーズに対応した保育待機児対策について伺います。
 ふえ続ける認可保育園入園申込者に対応するため、区では、保育サービス施設の整備を積極的に進めてきたところですが、今年度は四千九百八十六人の申し込みに対し、一次選考の段階で半分以上が内定できていない現状です。昨年は申し込みが四千四百三十一人に対し、一次の段階で半分以上の二千三百三十九人が内定していたことを考えると、二次で入れる方を見込んでも、最終的には昨年の七百八十六人を上回る数の待機児童が出てしまうのではないかと予測されます。


 このような現状を鑑み、区では緊急対策の取り組みとして、平成二十五年六月までに三百人分を含めた定員拡大に取り組んでいますが、四月から仕事に復帰する予定の方々にとっては、二月末の二次選考の結果待ちだとか、六月に入れるかもしれないと言われても全く間に合いません。区も保育園整備に努力していることは理解していますが、今年度、こんなに選考漏れがふえてしまった原因は、そもそもの入園申込数の見込みが甘過ぎたのではないでしょうか。


 平成二十年度以降、毎年五百人規模のオーダーで右肩上がりに伸びていた入園申し込みが、昨年は二十名程度の増加にとどまったことで、高どまりで落ちついたという希望的観測が区の見解だったように記憶しています。しかし、共働き希望の子育て世帯の増加といった社会的状況、二子玉川再開発による大規模高層マンションの建設や環八沿いなどファミリー世帯向けマンションが軒並み建設されている区内の地域事情を考えると、保育園のニーズ増大は容易に想定できたのではないでしょうか。


 平成二十六年四月までに当初の子ども計画のさらに二百人の上乗せとなっていますが、これで大丈夫なのか、社会全体の傾向や地域事情を勘案し、伸びを想定し、しっかり対応できる計画となっているのか区の見解を求めます。
 認可園の整備については、特に土地が高いと言われる本区にとって、土地の確保が重要な課題となっています。区では、これまでも公務員宿舎跡地を借りて保育園に活用してきましたが、前政権時代に今後削減が決定された公務員宿舎が区内に多数あります。こういった土地の活用を今後も見込んでいるのでしょうか。


 また、区内に多数ある空き物件を活用したマンション借り上げ式の家庭的保育は、大きな財政支出を伴わずにできる良質な保育サービスとして期待されましたが、消防上の理由など、さまざまな理由で数がふえない現状にあるようです。こういった事業も含め、今後保育の受け皿をどうふやしていくのか見解を伺います。


 次に、地域の魅力を高める空き家対策について伺います。
 公的施策としての住宅政策が量から質へと転換が図られてきた中、区では第三次住宅整備方針を策定し、空き室、良質なストック活用を推進しています。区長も空き室に注目し、オーナーの理解を得ながら、高齢者や子どもの居場所づくりなど、福祉的な活用を推進する仕組みをさらに展開していく予定と聞いております。


 そういった中で、民間の取り組みになりますが、建築や不動産、保育関係の専門家が集まり、母子家庭の親子に対象者を限定したシェアハウスが川崎市高津区にできたそうで、注目しております。このシェアハウスでは、保育園で研修を受けたベビーシッターが週二回程度子どもの遊び相手をするサービスがあり、住民が共同で利用できるのが売りとのことです。世田谷トラストまちづくりの地域共生のいえの取り組みを見ても、高齢者や子どものための居場所を提供しているものはありますが、母子・ひとり親家庭を支援の対象としたものはなかったと思います。


 母子世帯の支援に注目した理由として、総務省の調査によると、二〇〇五年から二〇一〇年にかけていわゆるシングルマザーの世帯は微増にとどまってはいるものの、こういった世帯では、完全失業率が高く、一割近くに上っております。生活保護を受給する母子世帯も増加しており、本区でも生活保護を受給する母子世帯は一六〇%の増加となっています。保護を受給している母子世帯のうち、半数以上は就労していない中で、生活保護費の母子加算の見直しが検討されています。


 就労の意思や働ける可能性があるにもかかわらず、子どもを抱えて就職活動が難しくなっている方に対し、区がかかわる形で就業支援と両輪でこのような住まいと子育てのサポートができれば、生活保護からの自立につながるとともに、世田谷区が子ども・子育て支援に多様な観点から力を入れていることをアピールする材料にもなると考えます。


 これまで高齢者や子育て世帯、低所得の人向けに民間の空き室を貸す際の改修費用に関する国や都の補助金制度がありましたが、今度は区でも新たな助成制度をつくるとのことです。高齢者・子ども関係はもとより、幅広い区民の福祉ニーズを踏まえ、民間事業者、NPO等の連携で区の魅力発信にもつながる空き家活用をさらに推進すべきと思いますが、進捗状況と今後の展望を伺います。


 空き家対策としてもう一点質問します。


 長期間空き家が放置され、景観、治安の悪化、倒壊、放火などの危険性もあるいわゆる老朽家屋について、所有者が非協力的なケースも少なくありません。これまでも議会でたびたびこうした老朽家屋への対応について質疑がされてきました。他自治体の動向を見ると、近年では、最終手段として、解体など強制的な措置をとることができる行政代執行を盛り込んだ条例改正を行う自治体も出てきています。
 本区においても、区民の安全と魅力ある区の町並みを守るため、こうした他自治体の例などを参考に条例改正など一歩踏み込んだ対応を求めます。見解を伺います。


 最後に、学校給食におけるアレルギー対応についてお伺いします。
 昨年十二月、調布市の小学校で乳製品にアレルギーのある児童が給食のおかわりでアナフィラキシーショックを起こし、死亡する事故がありました。学校や担任は児童のアレルギーについては把握していましたが、給食のチヂミにチーズが使われていたことに担任が気づかず、おかわりを提供してしまったということです。給食という楽しいひとときに一度のおかわりの提供ミスのため、将来ある子どもの命が失われてしまったことは、大変残念であり、決してあってはならないことです。


 食物アレルギーには、軽度のものから命にかかわるものまでさまざまありますが、調査によると、食物アレルギーを持つ児童生徒は全国的にも増加傾向にあるとのことです。しかし、今回の事故のような命にかかわる重篤なアレルギー症状については、迅速に注射を打たなければならないなど、教職員にとってはなれない対応を求められるため、戸惑いもあると聞いています。区内でも同じようにアレルギーを持つ子どもや保護者の方は、このニュースを聞き、うちの学校では大丈夫だろうかと不安に思われた方も少なくないのではないでしょうか。


 区教育委員会では、アレルギーを持つ子どもの数や状況など実態把握を行っているのでしょうか。これまでにこういった事故があったのかも含めお答えください。
 アナフィラキシーショックは、調理器具を一緒に使ってしまったり、汁や粉末が飛んで混入するだけでも起こってしまうケースもあるため、調理場の設備の違いやアレルギーを持つ児童の数などにより、各学校で除去食、代替食、お弁当など異なる対応がとられているのが現状です。いずれにしても、安全に昼食がとれる体制であることが大前提と思います。


 報道によると、調布市では同じ学校で過去にもアレルギー児に対する誤食の事故があったとのことでした。区では、以前、ある小学校で何度もノロウイルスが発生し、議会でも問題となりましたが、その際、区教育委員会からは、調理場の手洗いの場所や空調設備、汚染地域と非汚染地域との区別の問題など、学校による調理場のスペックの違いが答弁されていました。しかし、取り返しのつかない事態に対し、設備による違いは言いわけになりません。この児童にはこの食材のアレルギーがあるということは、ふだん把握していても、今回の調布の事件のように、材料に使われているものがわかりにくい場合も想定できます。
 たった一度のミスでも命の危険につながるとの認識から、毎食、毎食、細心の注意が必要です。どの学校でも安全な給食が食べられるためには、給食提供の最後のとりでである担任教員が児童のアレルギーの状況やその日、その日の給食の内容をしっかり情報把握しているかどうかにかかっています。担任の先生はどのような体制で毎食の給食におけるアレルギー対応のチェックをしているのでしょうか。
 以上で壇上よりの質問を終わります。(拍手)
   〔保坂区長登壇〕


◎保坂 区長 中塚議員にお答えします。
 新年度予算編成についての考え方についてです。
 国の二十五年度予算は、日本経済再生に向けて緊急経済対策に基づく二十四年度予算と一体的なものとして復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安全・地域活性化の三分野を重点化して、インフラ老朽化対策や事前防災対策等の課題に対応するためにつくられていると認識をしています。
 区としては、国の補正予算の動きと連動しながら、二十五年度予算の計上を予定していた都市整備関連事業のうち二十億円を、また区の経済対策として四億円を二十四年度第六次補正予算に前倒しして計上するなど、切れ目ない経済対策と必要な都市基盤の整備、老朽化した施設の維持管理、更新などを総合的に取り組んでいくことが重要と考えています。
 この二十五年度予算は、「災害に強い福祉文化せたがや」の実現を目指す予算と位置づけています。区民の要望を的確に捉えながら、ふえ続ける保育サービス、待機児対策を初め、子どもの人権擁護機関の設置など、子育て・子ども支援に力を入れていきます。
 また、高齢者見守りネットワークの拡充、あるいは認知症対策のさらなる充実など、福祉分野の充実に向けましても、より効果的な、また実のある結果をもたらすよう財源を配分したところであります。
 次に、行革の取り組みということについてお尋ねがありました。
 平成二十五年度当初予算案の編成に当たって、災害に強いまちづくり、環境・エネルギー施策、保育サービス拡充など、区が現在直面する課題に予算を重点的に配分する一方で、少子・高齢化への対応、老朽化する公共施設の更新など、中長期的な財政需要への備えに配慮しているところです。
 この行政経営改革計画に基づき二十五年度は、外郭団体への補助金見直し、公共施設の営繕コストの縮減、外部委託の見直し、電算経費の見直しなどの内部経費の削減をさらに上積みするとともに、施設利用料あるいは保育料など、利用者負担の見直しを進めたことによって、二十億七千万円の効果額を見込んでおります。


 また、現在、基本構想審議会では、これから二十年世田谷区のあり方を示す議論が続いています。今後とも新たな行政需要にこたえていくための行政経営改革を進め、持続可能で強い財政基盤を確立していきたいと考えています。
 以上です。

◎田中 砧総合支所長 災害対策における地域の力と区の役割について、まず災害時要援護者支援における地域へのフォローなど、区の役割についてお答えいたします。
 この協定締結の際には、関係者の皆様へ事業の内容の説明を行うとともに、既に協定を締結している団体の活動状況を例示するなど、締結後のイメージを明確に持っていただくよう努めております。
 また、名簿の引き渡しの際には、名簿管理者と民生委員、あんしんすこやかセンターなど関係者にお集まりいただき、顔の見える関係づくりと、今後の活動などについて情報共有するようにしております。要援護者名簿には、町会・自治会に加入していらっしゃらない要援護者の対象者の方が載っていたり、また、町会・自治会が独自で把握している要援護者で、名簿搭載を承諾しなかったために、名簿に載っていらっしゃらない方がいたりと、町会・自治会が保有している要援護者の情報と違いが生じることもございます。そして、このことが協定締結団体としては、新たな情報収集として役に立つとの評価もいただいております。
 区では、要援護者支援活動の指針となるようガイドラインを作成し、協定締結団体に配付するとともに、活動の手助けとなるよう、事業所管である保健福祉部からアドバイザーの派遣なども行っております。
 議員の御指摘を踏まえまして、今後も担い手、支援者の拡充といったことを初め、地域での支えあう力の向上に向けて支援に取り組んでまいります。
 以上です。

◎阿部 危機管理室長 私からは、NPOとの連携について御答弁申し上げます。
 東日本大震災では、区内を活動拠点とする多くのNPOやボランティア団体が被災地支援活動を行っており、災害時の被災地・被災者支援についてさまざまなノウハウを蓄積していると認識してございます。
 区はこれまで区内の被災地支援を行っている市民活動団体の情報共有を図るとともに、区及び団体間の連携協力を進めていくために、被災地支援市民活動連絡会を設置しまして、連絡会を通じて情報共有や顔の見える関係づくりを行ってまいりました。この連絡会を通じてNPO法人の団体の規模や活動内容、連絡先などを把握しておりますが、区内で災害があった場合、それぞれのNPOの得意分野や活動実績を踏まえましてどのような連携が可能か、防災訓練への参加も含め団体の意向を伺いながら、具体的に検討してまいります。
 また、御案内の世田谷ボランティア協会並びに社会福祉協議会につきましても、区外からのボランティアやNPOの受け皿として、具体的な役割や連携手法について検討を進めているところでございます。今後も善意の手が被災者支援に有効に生かせるよう努めてまいります。
 以上でございます。

◎板谷 地域福祉部長 私からは、二点お答えいたします。
 まず、災害対策における地域の力と区の役割に関し、福祉施設に対する区や地域からの支援体制もしっかりつくっていくべきにお答えをいたします。
 先般、長崎市の認知症高齢者グループホームで発生した火災は、四名もの高齢者が死亡するという痛ましい事故でしたが、こうした火災等に対する対策は、区といたしましても大変重要であると認識をしております。お話にございましたグループホーム等については、厚生労働省令で、各事業者は非常災害対策を定めるとともに、近隣住民や施設との協力体制の確保に努めることが求められております。
 区内の介護保険施設等では、地元町会と防災応援協定を結び、消防署とともに避難訓練を実施している事例もございます。自力で避難することが困難な方が多く入所する施設等では、火災発生等、万一の事態に避難等で御協力がいただけるよう、常日ごろから地域の方々との交流が重要であると考えます。
 こうしたことから、区は平成十九年に高齢者施設の概要と地域とのかかわりに関する報告書をまとめ、近隣住民との交流や災害時における地域との連携を図っている施設の取り組みの紹介等も継続的に行ってまいりました。引き続き事業者連絡会や地域住民の代表者も参加する運営推進会議等を活用し、地域住民との密接な連携体制の確保に向け、積極的に働きかけ、連携を促してまいります。
 次に、高齢者見守りの担い手についてお答えをいたします。
 今年度に実施した生活健康度チェックリスト郵送調査から把握した見守り等支援を必要とする高齢者は、回答者の約三割となっております。また、平成二十一年度に実施した全高齢者実態把握調査では、回答者の八割の方が定期的に訪問する等、何らかの見守り活動ができると回答しており、この高齢者の方々――今約八万人いらっしゃるんですが――を中心に見守りの担い手と見込んでおります。
 高齢者の見守り施策は、あんしん見守り事業、高齢者安心コール、地区高齢者見守りネットワーク、民生委員ふれあい訪問の四つの重点事業を中心に取り組んでおります。身近な地域住民の方々や民生委員、あんしんすこやかセンターの専門職がそれぞれの特性を生かし、役割分担を図りながら取り組みを進めております。
 平成二十五年度から二十七地区全てのあんしんすこやかセンターにあんしん見守り事業を拡充し、見守りを手厚く進めることは、単なる介護保険サービスの掘り起こしではなく、介護予防や重度化予防にもつながり、住みなれた地域で安心して暮らし続けることや介護給付費の抑制にも寄与するものと考えております。
 各地区には、個々の実情、特性があり、難しい面もございますが、区内全域での見守り、支えあいの実現を目指して、地区のさまざまな活動団体等に参加を働きかけてまいります。
 以上でございます。

◎萩原 子ども部長 私からは、保育待機児対策について二点お答えいたします。
 初めに、申し込みの伸びを想定した対策についてです。
 区の子ども計画後期計画におきましては、計画策定に当たり、国の定めた指針に基づいて実施したニーズ調査の結果を踏まえ、平成二十六年度整備までの目標事業量を掲げております。このニーズ調査は保育施設に子どもを預けることができたら働きたいといった潜在需要も見込んだニーズを把握する目的で実施いたしました。しかしながら、調査実施時期がいわゆるリーマンショック直後の平成二十年十月であったこともあり、その後の景気低迷による変化が十分に反映されていないという課題もあるものと認識しております。
 本計画は、平成二十六年度までの計画期間としており、次期計画につきましては、子ども・子育て支援新制度における区市町村事業計画の位置づけをあわせ持つものとして、今後、国が示す予定の策定指針に基づき、また区内の人口動向も加味して、平成二十五年度中にニーズ調査を実施する予定です。これに加え、保育等の潜在ニーズを把握するための参考として、この二月から母子手帳の交付時に区独自のアンケートをモデル的に始めております。区としましては、まずは現行計画の目標事業量を計画期間内に達成することが最優先の課題であると認識しており、引き続き全力で保育施設の整備に取り組んでまいります。
 次に、公務員宿舎の土地活用や小規模保育についてです。
 国は国家公務員宿舎の削減を進めており、昨年十一月に追加で廃止決定されたものを加えますと、全国で五千四十六の宿舎を廃止する計画と伺っております。これらのうち、区内には四十四の宿舎が立地しております。区では、区有地だけによる認可保育園整備では、目標事業量の達成は困難との認識に立ち、国有地の活用に向けて国との具体的な協議を行ってまいりました。その結果、平成二十二年九月に全国で初めて宿舎跡地を保育所用地として貸し付ける決定をいただき、平成二十四年四月に二つの認可保育園を開園したところです。
 現在、運営事業者を選定中の岡本三丁目の国有地を活用するほか、平成二十六年度整備に向けて、さらに二カ所で既存宿舎の解体を国において実施する予定です。今後とも廃止予定官舎の居住者の退去状況や近隣の保育需要等を勘案しながら国と交渉し、国有地を保育施設整備に活用してまいる所存です。
 また、子ども・子育て三法に位置づけられた小規模保育事業につきましては、この四月に国が設置予定の子ども・子育て会議において、施設や保育士の配置基準等、詳細な基準が議論されると伺っております。区としましては、平成二十七年四月に予定される新制度の本格実施後も安全で安心な保育を継続実施できるよう、国における議論もしっかりと見きわめるとともに、国の実施基準のみならず、消防署との相談のパイプも強まったことから、関係法令への適合にも十分留意しながら、家庭的保育事業や小規模保育等を拡充してまいります。
 以上でございます。

◎春日 都市整備部長 私からは、二点の御質問にお答え申し上げます。
 初めに、空き家の活用についてでございます。
 区では、平成二十五年七月を目途に空き家等を地域の資源として捉え、そのスペースを活用して、子育て世帯や高齢者、若者を含め地域コミュニティーの再生を図るため、公益的な活用を希望するオーナー向けの空き家等相談窓口の開設を予定しております。相談窓口では、地域に貢献する公益的活用につきまして、福祉所管とも連携しながら、情報提供や関係窓口の案内、活用意欲のある市民団体、NPO等の団体とのマッチングを行います。
 お話にございました母子世帯を受け入れるシェアハウスの活用につきましては、既に区内初めさまざまな地域で民間法人による運営が行われているところでございます。区といたしましては、それらの活用を希望するオーナーへの情報提供を行うとともに、世田谷区第三次住宅整備方針に基づき、国や都の補助制度の活用も検討しながら、区内のNPO、不動産店とも協力、連携を図り、空き家、空き室、空き部屋の有効活用を進めてまいります。
 次に、老朽家屋についてでございます。
 区では、「安全なすまいのまちせたがや」の実現のため、消防署や警察、区内の建築関係団体等との連携のもとで、世田谷区建築安全マネジメント計画を策定し、平成二十四年度より実施しております。その中の検討事項として、老朽危険家屋について位置づけているところでございます。区内に点在する老朽空き家につきましては、地域の困り事の一つであるとともに、東日本大震災以降、首都直下型地震の切迫性が指摘される中で、安全安心なまちづくりを進める上で重要な課題であると認識しております。
 区では、これまでも建物や塀などの個々の御相談があった場合には、総合支所地域振興課と建築審査課が連携して、職員が現地を確認し、近隣に御心配の声や適切な建物の維持管理について、所有者等にお伝えするなど対応を図っております。現在、土地利用現況調査により抽出された空き家、廃屋を対象に、木造密集地域を中心として老朽化の状態について建築技術職員による現場調査を進めているところでございます。今後もこうした取り組みを進めるとともに、他都市の事例等も参考にしながら、関係機関や各総合支所と連携し、安全安心なまちづくりを進めてまいります。
 以上でございます。

◎佐藤 教育次長 私からは、学校給食におけるアレルギー対応について二点お答えいたします。
 まず、実態把握を行っているかについてお答えします。
 今回の食物アレルギーによる死亡事故につきましては、あってはならないことであり、食物アレルギーを持つ児童生徒への給食の提供につきましては、生命にかかわることから、極めて重要なことと認識しております。このため、教育委員会では、マニュアルの整備を初め手続等も厳格に規定しております。各学校では、まず食物アレルギーの対応が必要である場合には、保護者からの医師の診断に基づく書面による申請と面談を行い、次に、校長、担当教諭、養護教諭、栄養士、調理職員などで構成される検討委員会で対応を検討いたしまして、そして必要な対策を文書で保護者にお知らせするという手続を必ずとっております。
 こうした取り組みにより、教育委員会では、各学校において対応する食物アレルギーの児童生徒数を正確に把握することができる仕組みとなっておりまして、平成二十四年五月現在で、小学校で九百六十一名、中学校で二百六名の計千百六十七名が食物アレルギーの対応を必要とする児童生徒数となっており、この間、対応を誤ったことによる事故などはございません。
 さらに、緊急時に備えたアドレナリン自己注射薬、エピペンにつきましても、小学校で五十一人の児童が、また中学校で六人の生徒が携行している状況を把握しており、取り扱いの研修を実施するなど、万が一に備えております。
 次に、チェック体制についてお答えいたします。
 学校給食における食物アレルギー対応といたしましては、全ての区立小中学校に食物アレルギー対応マニュアルを配付し、統一的な対応をしております。食物アレルギーの児童生徒への給食提供といたしましては、児童生徒の状態や学校の給食施設の設備面を考慮し、除去食を原則としておりますが、重度のアレルギーなどにより危険性があると考えられる場合などは、弁当持参などの方法で対応することとしております。
 また、食物アレルギーの児童生徒にかかわる情報につきましては、学校における全教職員が児童生徒の情報を共有できるよう、保護者からの同意を書面でとることになっており、日常生活から緊急時の対応まで、担任である教諭も含め、学校における全職員で対応する体制をとっております。
 さらに、毎日の給食提供におきましても、栄養士と担任教諭との間でアレルギー児童の名札やアレルゲンの除去の記載、食材が明記された献立表の活用、配膳方法の確認など、チェック体制に十分注意をしております。
 このたびの事故を踏まえまして、教育委員会では、学校に対しまして改めて周知徹底をしておりますが、今後も適宜関係する学校職員に対して、保護者への対応も含め、確実な対応を指導徹底してまいります。
 以上です。


中塚さちよ 議員 御答弁いただきましたけれども、再質問させていただきます。


 まず行革の取り組みについてですけれども、保坂区長が一生懸命読み上げていただきましたが、ありがとうございました。しかし、その中身をお聞きしますと、外郭団体への補助金とか、委託料の見直しですとか、内部経費も随分削減を上積みしていらっしゃるそうですけれども、一方でよくよく聞きますと、二十億七千万円確保したという行革の取り組みということの中に、施設利用料とか、保育園利用料の見直しといって、区民の方の負担増というのがこの確保した行革の取り組みの中に入っているというのが保坂区長のお考え方だということであれば、ちょっと残念なことかと思います。
 外郭の見直しということですけれども、例えば今回企総委員会のほうにも上がっておりましたけれども、トラストまちづくりがまた公益法人、財団法人に認定されなかった中で、相変わらずこうした区営住宅とかを特命の指定管理者の委任をしていると。こうしたことが非常に高コストにつながっている部分なんかもあると思うんですが、思い切ってこうした外郭団体をもう少し見直していく、統廃合も含めてといった抜本的な改革について、区長のお考えをお聞きしたいということと、あと、それから認知症高齢者グループホーム、平成十九年から地域との連携についての調査報告もありましたけれども、平成十九年から今に至るまでグループホームが何件ふえているのか。今二十七カ所ですけれども、正確な数を把握していませんが、倍以上ふえていますよね。
 今東京都の第三者評価の委員をやっている方から、うちの区内ではないですけれども、結局公募の段階で地域連携ということを書いてあっても、その後のチェックがないから、全然何にもしていないところも随分あるということもお聞きしています。そして、現場の実態を把握する上でも、平成十九年にやりっ放しじゃなくて、定期的にチェックとか調査をしていくべきだというふうに考えております。
 この二点、答弁をお願いいたします。
   〔保坂区長登壇〕

◎保坂 区長 お答えします。
 利用者負担の見直しについて、行革の項目に入っているのは残念だということです。ただ、多くのメニューの中から精査をしまして、とりわけ今後の行政需要等も考えて行ったということで御理解をいただきたいと思います。
 もう一つは、外郭団体について、統合などもっと大胆に切り込むべきだという御指摘は受けとめたいと思います。これらの点について、さらにしっかりと統合できる点、あるいはその組織の見直し等を行っていきたいというふうに考えております。

◎板谷 地域福祉部長 認知症高齢者グループホーム等の地域交流についてお答えをいたします。
 先ほど御答弁申し上げましたとおり、十九年に報告書をまとめ、それを参考にこれまでも継続的に関係の地域との交流、連携の重要性というのを伝えてまいりました。議員おっしゃるとおり、まだ十分な形と言えないような点も見られますけれども、今後とも公募の段階での審査での強い要望、あるいは運営推進会議、特にこの場には地域の方も参加いたしますので、両方の方にも積極的に交流の必要性ということを呼びかけてまいりたいと思います。
 以上でございます。


中塚さちよ  議員 今区のほうではすごく地域、地域ということに力を入れていて、重要なことというふうに捉えていますが、地域のほうからは、最近はそればかりで区自体が何をしているのかが非常に見えないといったことはたくさん御指摘をいただいております。どうぞこうした点を踏まえて、今後の区政の向上に向けて尽力してください。