平成23年3月 世田谷区議会定例会 02月25日( 介護・医療・福祉) | 世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

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世田谷区議会議員・ケアマネジャー中塚さちよの活動報告、議会報告、ケアマネのお仕事、日常など

二十六番( 中塚さちよ 議員) 質問通告に従って、順次質問いたします。


 区立特別養護老人ホームの人事について質問いたします。


 私は、二〇〇七年の初当選から四年間、現在唯一の介護の現場出身の議員として、現場の視点からの福祉行政の改善について、議会で質問と提言をさせていただきました。その中でも、区の外郭団体である社会福祉事業団や社事団が運営している区立特養二施設における天下りや補助金の問題について、たびたびこの本会議場でも取り上げてきたところであります。しかし、もともとは、例えば芦花ホームといえば、大変先進的な特養ホームとして全国的にも有名でありました。それは決してバブル期に建てられたという豪華な建物の外観のことだけではありません。


 芦花ホームは、かつては露木悦子氏という、一実践者から身を立てた、民間出身の福祉教育の専門家が所長をされていました。幾つか本も出ていまして、当時の芦花ホームの取り組みをうかがい知ることができますが、露木先生は、福祉は人が創造した文化であるという信念を持ち、受容と共感の姿勢で実践に当たられた方であるようです。ホームの利用者自身がつくり上げていったという芦花讃歌成立の過程には、老いてなお生きることを謳歌する利用者の姿が浮かび上がってきます。


 しかし、今このホームはどうなっているのか、気になる点はいろいろございますが、まず一つお伺いしたいのは、露木氏の退職以降、区立特養ホームにこうした専門家など区職員OB以外の人が施設長を務めたケースはあるのか、これについてご答弁ください。


 過日、区立特養ホームに勤務する若手の介護職員の方が自主的に開催している勉強会があるとお聞きして、私も参加させていただきました。この日は排せつ介助がテーマでした。よりよい排せつ介助をするにはどうしたらよいか、皆の意見をKJ法で取りまとめるという試みで、私も働いていたときのことを思い出しながら意見を出しましたが、皆さん、さまざまな工夫をされながら日々の実践に取り組んでおられるようでした。参加されていた職員の方々は、本区の進んだ取り組みとして、近年、全国から注目されているきたざわ苑のおむつゼロの取り組みを視察に行かれたようです。


 しかし、その感想として、専門家による高度な徹底したリハビリによる自立支援がすばらしいと評価する一方で、おむつを外すことに職員全員の多大な労力が傾けられているが、本当にこれでよいのだろうか、利用者の生活上の目標の実現やQOLをトータルに考えていく上で、もっとほかにも重要なこともあるのではないかという意見もあり、これこそ現場の視点だと感嘆いたしました。志を持って介護の仕事に携わり、日々努力研さんしているこのような現場の職員の方々が二十年、三十年と勤め上げても施設長にはなれず、施設長になるのは毎回天下りの職員ということであれば、モチベーションも上がらないのではないでしょうか。


 また、今は介護の現場も医療との連携が必須となっています。医師、看護師、介護福祉士、ヘルパーなどは、それぞれ別の教育的バックグラウンドや専門職としての理念を持っており、現場のトップたる施設長は、それぞれの専門集団の特性を理解し、それぞれの力を引き出していくことで、利用者にとってよい介護サービスを提供できるよう努めていかなくてはなりません。区のOBでは、これまで専ら区職員の中だけで仕事をされてこられたと思いますので、管理職としては優秀な方であっても、このような分野においてまだまだ専門的な分野の資質などが問われると思います。


 代表質問でも外郭団体の役員について公募の提案をいたしましたが、区立の特養ホームについても、こうした施設長や施設長候補者を外部から公募する、あるいはプロパーの介護職員から施設長に育成していくということも、介護職員のキャリアパスの形成、よりよい施設サービスを実現する上で検討すべきかと思います。特養ホームの施設長人事についての区の見解を伺います。
 続きまして、地域に開かれたあんしんすこやかセンターづくりについてお尋ねいたします。


 あんしんすこやかセンターは、地域住民の保健医療の向上、福祉の増進を包括的に支援する地域の拠点であり、介護予防のマネジメントや権利擁護、総合的な相談支援を行っています。一方で、現実としては、あんしんすこやかセンターも一法人としてデイサービスや訪問介護など居宅の介護保険事業を兼ねており、そもそもの制度創設時より、こうしたセンターを民間に運営させる場合には、サービスの抱え込み、つまり、同一の法人、自分の法人によるサービス提供がふえることが懸念されていました。


 地域包括支援センター、これを公正中立に運営していくためのチェック機関として、法律上でも地域包括支援センター運営協議会の設置が義務づけられておりまして、本区でもこの運営協議会の中で報告がされております。しかしながら、私のところには、一部の地域において、特にあんしんすこやかセンターを受託している法人によるサービスの抱え込みではないかといった声が地域の事業者から上がってきます。


 運営協議会での資料を見ると、やはりそうした指摘のあった一部地域においては、同一・自法人の割合が他と比べて高いという事実が見られました。しかし、どの事業者のサービスを利用するかは利用者が決めることであり、評判のよいところに利用者が集まるのは自然の成り行きかもしれません。また、それぞれそれなりの理由もあるようです。


 しかし、こうした情報や運営協議会での議論などは、本区では簡単に見ることができません。狛江市や武蔵野市などでは委員名簿や会議録をホームページに公開しておりますが、世田谷区ではホームページからは探すことができず、私自身もこの運営協議会に傍聴に行きたいと思っても、いつ開催されているかすらよくわからない現状で、これでは抱え込みと指摘をされるのもやむなしと思います。区としても、あんしんすこやかセンターをより地域に開かれたものにしていくために、こうした点を改善していただきたいと思いますが、どのような方策を考えておりますでしょうか、見解を伺います。


 最後に、既存の建物のリノベーションの推進について質問をいたします。
 住まいの量の確保から質の向上へ、フロー重視からストック重視へと住宅施策のパラダイムが変化する中、区ではこのたび第三次住宅整備方針の案が取りまとめられたところでございます。これを見たところ、区においては、持ち家として取得された中古住宅の約半数が新耐震基準適用前に建築されており、建てかえの必要が迫っている現状です。空き家率は減少しているとはいえ、七・六%が平成二十年の段階で空き家となっています。今回、会派の代表質問でも空き家活用の方策について取り上げましたように、住み続けられる住宅の確保と住環境づくりは喫緊の課題であると私どもも認識をしております。


 国ではさまざまな助成や税制での優遇措置を行ってリフォーム、リノベーションを推進しており、そうしたことの情報提供は、これまで区も学習会などを通じて行ってきております。しかし、空き家、空き地問題、また、建てかえが進まないこの要因としては、お金の問題だけではなく、建てかえをすると狭くなってしまう、接道義務を果たしていないので建てかえられないなど建築基準法にかかわる問題や、所有者が遠方にいる、認知症などで判断能力が低下している、複数の所有者や相続人がいて合意形成が難しいなど、人にかかわる複雑な問題がございます。


 個人や私有財産にかかわることであり、区としては手をつけにくい問題と認識しているのかと思いますが、リノベーション、あるいは一歩進めて公益にも資する新たな活用方法を考えていくコンバージョン、これはかつて他会派の議員からも提言がございましたけれども、こうしたリノベーションやコンバージョンによる高齢社会を豊かに支えていく住環境を創出していくための施策としては、国の支援策の情報提供にとどまらず、区、あるいはもっと小さな範囲でコミュニティーに根差した普及啓発の推進や、地域住民と協働した取り組みも重要と考えます。


 第三次住宅整備方針案では、中古物件の資産価値を高めて流通を促進させるよう、事業者とも連携をしながら、リフォーム、リノベーションの履歴情報を蓄積、活用するための仕組みが検討されているようですが、さまざまな状況にある所有者の方々に対してどのように効果的に働きかけていくのかお伺いいたします。


 以上で壇上よりの質問を終わります。(拍手)

◎堀川 地域福祉部長 区立特別養護老人ホームの施設長の人事についてのご質問にお答えいたします。
 区立特別養護老人ホーム、芦花ホーム及び上北沢ホームの施設長につきましては、お話にございました方が退職された後は、いずれも区職員の派遣、あるいは区職員OBでござ
います。


なお、区立特別養護老人ホームきたざわ苑におきましては、開設当初より運営を受託しております社会福祉法人の職員が施設長を務めております。


 次に、施設長や施設長候補者を公募する、あるいは介護職員から育成、登用するということを検討すべきではないかとのご質問でございました。
 区立特別養護老人ホームである芦花ホーム及び上北沢ホームについては、指定管理者が世田谷区社会福祉事業団でございまして、その施設長につきましては、世田谷区社会福祉事業団において、法人経営及び施設運営の視点から人事配置されるものでございます。また、必要に応じて、区へ人材の推薦を依頼しているものと存じます。


 公募という手法もお話にございましたが、事業団では固有職員の育成に努めるとの方針と伺っております。区といたしましても、事業団の職員育成に係るより一層の取り組みを期待するとともに、支援してまいりたいと考えております。
 次に、地域に開かれたあんしんすこやかセンターづくりについてのご質問にお答えいたします。


 あんしんすこやかセンターの運営につきましては、地域包括支援センター運営協議会を設置し、その意見を踏まえて、適切、公平かつ中立な運営を確保することとされております。


 お話にございました自法人よる介護予防サービス提供についても、その件数等の集計結果を協議会に報告するとともに、自法人による提供が多い地区については、地区の中に事業所が少なかったり、利用者のご希望に合う条件で開所している事業所が限られているといった地域の事情を確認しております。


 昨年度の自法人によるサービス提供の割合は前年度より減少しており、各あんしんすこやかセンターで利用者の方に複数の事業所を紹介し、選択していただいている成果と考えておりますが、今後とも自法人によるサービス提供が偏ることのないよう状況を把握し、必要時には指導するなど取り組んでまいります。また、委員ご指摘の趣旨を踏まえまして、地域包括支援センター運営協議会の透明性を高める方策については今後検討してまいります。
 以上でございます。

◎板垣 都市整備部長 既存建物のリノベーションの推進についてお答えさせていただきます。
 住宅が量的に充足し、また、環境意識が高まる中で、良質な住宅ストックを形成し、それを適切に維持管理しながら住宅の長寿命化を図っていくことが求められてございます。また、区民が安心して暮らせる良質な住宅を確保するためには、住宅性能表示、住宅ストックに関するリフォーム、リノベーションの履歴情報の活用等、地域の住宅関連事業者と連携した取り組みが重要でございます。


 このため、第三次住宅整備方針案では、住宅関連情報の提供を重点プロジェクトとして位置づけてございます。地域の住宅関連産業の健全な発展と住宅の質の向上を図るため、学習会、交流会、相談会などを開催しまして、事業者やオーナーにアプローチできる仕組みを構築してまいります。また、国が推進しております住宅履歴情報の蓄積、活用の取り組みにつきまして、区民に普及啓発してまいりたいと考えております。
 区といたしましては、今後、こうした住宅ストックの有効活用に取り組みますことにより、安心と支えあいを実感できる質の高い住まい、まちづくりを進めてまいります。
 以上でございます。


◆二十六番( 中塚さちよ  議員) それぞれご答弁いただきました。
 区立の特養ホームの施設長については固有の職員を育成していくということですので、これがしっかり育っていけば、そもそも事業団から区に人材派遣を依頼するといったことももう起こらなくなるものと思います。ぜひそうしたところを頑張っていただきたいと思います。


 それから、あんしんすこやかセンターについては、数字が偏っているというのはそれなりの事情があるところもあるかと思います。だから、高いから指導してということではなくて、そうした公正中立を原則的に守ってしっかりやっているということが担保されればいいと思います。そういう意味で、議事録の公開とか、あと、一番よいのは、資料をぜひ公開していただきたいと思います。再答弁をお願いいたします。

◎堀川 地域福祉部長 ただいまお話しいただきました資料あるいは議事録の公開等、そういうような方法につきまして、今後検討させていただきます。
 以上でございます。


◆二十六番( 中塚さちよ  議員) リノベーションの問題については、予算特別委員会で引き続き質問させていただきます。