平成22年12月 世田谷区定例会 11月26日(介護・医療・福祉) | 世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

世田谷区議会議員・ケアマネジャー中塚さちよの活動報告、議会報告、ケアマネのお仕事、日常など

二十六番(中塚さちよ  議員) 質問通告に従って、順次質問いたします。

 介護つき有料老人ホームの増加について質問いたします。

 昨日、一昨日と、他会派の質問でも指摘がありましたが、区内には介護つき有料老人ホーム、別名特定施設が随分ふえました。世田谷区内の特定施設は、最も古いものでは昭和五十年開設というものもありますが、平成十七年度あたりから年間六、七カ所のペースで開設され、現在は四十四カ所となっています。世田谷区介護サービス情報や各事業者のホームページを見ると、入居一時金が最低でも一千万円以上というところが多く、五、六千万円から一億円以上という高額なものも幾つか見られます。入居一時金のほかに、管理費、食費、介護保険利用料など、別途月々の費用もかかります。区民のだれでもが入居できる価格ではなく、実際、区内の特定施設入居者に占める世田谷区民の割合は大体三割程度ではないかと言われる一方で、介護保険事業状況報告を見ますと、本区における特定施設の給付費は増加の一途をたどっております。介護サービス給付費の増は、ひいては介護保険料の負担増にはね返るものであります。ホームを利用したくても経済的に利用できない区民にとって、こうした有料老人ホームがふえることは、介護保険料の負担増加の一因となる一方で、サービス利用の選択肢がふえることにはつながりません。空き部屋のホームもある一方で、特養待機者の増加に歯どめがかからないのは、こうした施設が多くの特養待機者にとって選択肢にならないことの証左と言えるでしょう。


 ところで、なぜ近年急に我が区で介護つき老人ホームが急増したのか。世田谷というブランドに魅力を感じて参入してくる法人も多いのでしょうが、特定施設の開設に当たっては、指定の権限は都道府県にあります。特定施設の過剰な整備による給付費増大の抑制と地域偏在の防止のため、二〇〇六年に改正された介護保険法第七十条第五項の規定では、都道府県知事は関係市町村長に対し、市町村介護保険事業計画との調整を図る見地から意見を求めることになっております。市町村からの意見書に基づき、介護保険事業計画に定めた施設定員が既に達しているなど必要量を超過する場合には、都道府県知事が指定を拒否できる、いわゆる総量規制が行われています。


 近隣の調布市、川崎市などでは、介護保険事業計画の整備計画値に基づき、特定施設の新たな参入を認めない対応をしており、総量規制をしない世田谷区に事業者が流れてきているとも聞いています。


 これから来年度の介護保険法改正にあわせて、区の介護保険事業計画の改定が行われます。区は、これまで介護保険料負担増の一因となる特定施設の必要以上の増加に効果的な手を打てずに来たという課題を踏まえ、区民ニーズなど区の実情に合った施設整備をどのように実現していくつもりなのか、その具体的方策をご答弁ください。


 つい先月、特定施設の総量規制の際の根拠となる参酌標準の撤廃が厚労省から示されました。参酌標準とは、要介護二から五の認定者の人数に占める居住系サービス、特定施設や認知症高齢者グループホームの定員の割合を三七%以下にするというものです。この撤廃によって区内の介護つき有料老人ホームはさらにふえる可能性ももちろんありますが、逆に、現状入居率が二〇%程度など低いところも幾つかあるのを見ると、これまで参酌標準を根拠に総量規制がかかっていた他の自治体にシフトしていく可能性も十分考えられます。


 有料老人ホームの中には、介護事業についてノウハウがなかったり、投資ファンドからの高利の借り受けがサブプライム問題で行き詰まって経営が厳しくなったというような施設もあるようで、経営状況を危惧して利用者が集まらず、経営破綻した有料老人ホームもあるとのことを雑誌やテレビで目にした方もいらっしゃると思います。倒産したケースでは、入居者は皆退去、従業員も皆解雇など大変なことになっています。既に現実問題として、区内でも幾つかの有料老人ホームで、当初開設した法人が廃業や不採算で撤退し、別の法人が引き取るということが起こっているのは区はご承知のことでしょう。引き継ぐ法人がもしいなくなったら、入居者はどうなってしまうのでしょうか。


 こうした事態を防ぐためにも、介護つき有料老人ホームを評価していく取り組みが必要と考えます。有識者や専門家、区民がホームを実際に見て回り、経営状況はもとより、サービスの質の面など評価公表する仕組みを区が音頭を取ってつくる。世田谷では区や区民のチェックが厳しいという評判になれば、それにこたえる自信がない事業者は参入してこなくなり、費用対サービスの面でも、区民が納得のできるよい施設が残っていくようになると考えます。見解を伺います。


 次に、路上喫煙対策について質問します。


 ことしはたばこが大幅に値上げになりました。これを機に禁煙に取り組む人がふえ、禁煙補助薬が品切れになるといった現象も起こりました。喫煙による健康被害は、がんばかりではなく、脳血管性やアルツハイマーなどの認知症の発症とも関連しているとの新たな知見も発表されています。受動喫煙の害も知られてきて、公共施設などの全面禁煙化も進み、受動喫煙防止のためのさまざまな施策や条例が各自治体でも整備検討されてきています。区でも飲食店向けの受動喫煙防止のリーフレットなどを作成して、なかなかよいできだと思っています。


 しかし、現在のところ、区ではたばこや喫煙そのものを対象にした条例はなく、ポイ捨て禁止の条例の中に、路上禁煙のことが含まれたにとどまっている現状です。私の住む小田急線沿線では成城学園前駅が路上禁煙地区に新たに指定されましたけれども、かねてより経堂駅、千歳船橋駅などで路上禁煙地区の指定に向けて、出張所職員、地元の住民の皆様が駅前でたばこ禁止を呼びかける活動など、長いこと頑張っています。千歳船橋駅のように、駅を境に出張所や支所が違う地域にまたがっている場合は、こうした各出張所、総合支所の連携が課題となって、迅速な指定への支障が出ているかというようなこともお聞きしています。


 区民から要望の多い駅での路上禁煙の拡大を速やかに進めるために、区は今後、この連携の問題にどう対応していくのでしょうか、お聞かせください。
 もともと進んでいる千代田区などに追随して、最近、首都圏の幾つかの自治体では路上禁煙指定地区内で喫煙をした人に、その場で過料を徴収できるように条例を改正しています。千葉県内の幾つかの市でも直接罰の方向にかじを切っています。足立区でも罰則つき条例により路上喫煙が八割減少したとの目覚ましい効果も上がっているとのこと、区でも直接過料を徴収できる制度に改めてはいかがでしょうか、見解を伺います。


 最後に、障害者の健康づくりについて質問をいたします。


 生まれつき体に障害があり、車いすで生活をしていらっしゃる方から次のようなお話がありました。自分のような障害のある人たちは、常に車いす上の生活なので、どうしても運動不足になりがちである。年をとってくるとメタボが気になる。メタボ予防のためにも気軽にフィットネスなどで運動をしたいが、トレーニングをしている間も常に介助者を頼まなければならないとなると、なかなか気軽には取り組めないとのことでした。自分で自動の車いすを操作して、一人でどこにでも行くことはできるのです。しかし、マシンに移乗したりとなると介助が必要になります。障害者のヘルパー不足という中で、週末のヘルパー派遣を断られたという話もお聞きしている中で、そのために人を確保するというのも困難なようです。


 総合運動場や大蔵第二運動場で開催されている区民向けのさまざまな教室などを見ると、知的障害の子どもや高齢者のための運動教室はかなりあるようですが、身体に障害のある人や介助が必要な人が参加できるプログラムは見当たりません。身体に障害のある大人の方が介助者の付き添いなしでもフィットネスやマシントレーニング等のスポーツを通した健康づくりに気軽に取り組めるように、大蔵第二運動場等を活用したフィットネス利用のサポートと介助を行えるスタッフを配置するといったことは検討できないでしょうか。
 以上で壇上よりの質問を終わります。(拍手)

◎堀川 地域福祉部長 介護つき有料老人ホームの増加についてご答弁申し上げます。


 介護つき有料老人ホームにつきましては、高齢者がケアを受けながら安心して暮らせる住まいの一つとしてとらえておりまして、区民ニーズを踏まえた設置など、区との連携協力や地域貢献を事業者に促してまいりました。事前相談の際に、区の状況等を踏まえまして、事業者としての地域貢献、例えばショートステイ事業所の併設や積極的な地域交流などをお願いするなどしておるところでございます。


 一方、この間、お話にございましたように、特定施設入居者生活介護の給付費の伸びは他のサービスの伸びを大幅に上回っております。本年七月の世田谷区地域保健福祉審議会での介護保険制度の実施状況の報告の際にも、この点についてご指摘をいただいたところでございまして、その後、区といたしましては、区での事前相談の方法等の見直しについて検討を行っております。この中で、選定基準を設けて公募を行うなどの他都市の手法も参考にしておるところでございますが、今後、特定施設事業者の皆様と意見交換することなども検討しておるところでございます。
 また、よい施設が評価されるには、お話にありましたように、区民の皆様などが実際に施設を見るということも効果のあることと存じますので、まずは施設に対して、一般区民との地域交流などを求める取り組みを発展させてまいりたいと存じます。


 以上でございます。

◎田中 環境総合対策室長 路上喫煙対策について、まず区民から要望の多い駅などでの路上禁煙の拡大を速やかに進めるためには区ではどう対応していくのかということについてご答弁申し上げます。
 路上禁煙地区は、駅前などの通行人が多く、店舗、住宅が密集している地域で、実際に吸い殻のポイ捨てや歩きたばこが多く見られる地区などを指定しております。指定に当たりましては、区の基本的姿勢といたしまして、一律に指定するのではなく、地域の合意、特に町会・自治会や商店会の皆様の合意をその基本としております。


 このようなことから、お話しのように駅の北側と南側などでまちづくりセンターの管轄が異なるなどのところでは各町会・自治会の活動内容やお考えなどが異なることもありまして、結果として指定が途切れてしまうようなこともあり得ます。これらのことから、区といたしましては、それぞれの地区で実施するキャンペーンに隣接地区の区民の皆様にご参加いただいたり、説明会で隣接地区の活動の状況をお伝えするなど、より情報や活動を共有することを推し進め、同じ時期に路上禁煙地区に指定できるよう取り組んでまいります。


 次に、幾つかの自治体では、路上禁煙指定地区内で喫煙した人に、その場で過料を徴収できるよう条例を改正している、区でもやったらどうかというようなお話でございます。ご答弁申し上げます。
 区では、他の人に迷惑をかけないようにたばこを吸うことは基本的なマナーであると考え、喫煙者のマナー、心づかいにより、喫煙者、非喫煙者が共存できる地域社会の実現を目指しております。


 路上禁煙地区での喫煙行為に対する罰則としての過料についてですが、この制度の導入により一定の効果があるとの見解を出されている自治体があるとも伺っております。一方で、罰則制度を既に導入していながら、実際の適用をしていない自治体もあります。費用対効果の問題として、特に取り締まりを担当される指導員の経費などが課題と言われております。


 区といたしましては、路上禁煙地区指定の実効性を高めることは大変重要なことと考える中で、迷惑喫煙の防止には何よりも喫煙者のマナーアップが肝要であるとの観点から、路上禁煙地区での環境美化指導員の配置や路面標示シートの導入など新たな取り組みも行っており、効果も上がっていると思っております。


 今後とも問題の多い地区への環境美化指導員の柔軟な配置などにより、さらに迷惑喫煙防止に実効性を上げてまいります。
 以上です。

◎山﨑 スポーツ振興担当部長 障害者の健康づくりについてご答弁申し上げます。


 障害者が健康づくりのために、いつでも気軽にスポーツに親しめる環境を整備することは大切なことであると考えております。平成二十五年、東京国体とともに区内で行われます全国障害者スポーツ大会は、障害のある選手が競技等を通じてスポーツの楽しさを体験する貴重な機会であり、区や区民にとりましても、障害者とスポーツ、あるいは健康づくりを考える大きなきっかけになるものと期待しております。


 区の障害者スポーツの取り組みにつきましては、ご指摘もございましたが、スポーツ振興財団が自主事業として、介助の不要な軽度の知的障害者などの方を対象として水泳教室や運動教室などを実施しております。ご提案の趣旨でございますけれども、身体障害者の方が一人でトレーニングをしたりフィットネスをするという内容でございますが、多くの介助スタッフの配置や専門スタッフの養成、施設整備なども必要になるということが想定されます。
 区としましては、他の自治体の例なども調査しながら、スポーツ振興財団とともに、まずは研究してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◆二十六番( 中塚さちよ  議員) 答弁いただきましたが、特定施設、有料老人ホームの件なんですけれども、区民ニーズを踏まえた設置を考えているということでしたけれども、区民が三割しか入っていないということは、ニーズに全然こたえられていないんじゃないかと言うしかないと思うんですね。その中で、事業者と話し合うということでしたけれども、これはやはり権限を持っているのは結局東京都なので、東京都に対してはっきり地元自治体として意見を言う根拠となるのは介護保険事業計画ですから、この中に具体的に特定施設の整備を、どういう文言でこの整備の方向性について書き込んでいくのかということが気になるんですけれども、そこはどうしていくんですかね。


◎堀川 地域福祉部長 ご指摘のとおり、第五期の計画、十二月から着手するわけでございますが、当然その審議会の中でも論点の一つとなりまして、計画での記述というものは、ご議論いただいた上で案をつくっていくものと考えております。
 それとともに、先ほど申しましたように、事前相談のあり方ということについても、いろいろ皆様のご意見をいただきながら、より適正なものにしていきたいと考えておる次第でございます。
 以上でございます。


◆二十六番( 中塚さちよ  議員) 特定施設に限らず、この介護保険事業計画の今後を見守っていきたいと思います。よろしくお願いします。