平成23年6月 世田谷区議会定例会 06月15日(介護・医療・福祉) | 世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

世田谷区議会議員・ケアマネジャー中塚さちよの活動報告、議会報告、ケアマネのお仕事、日常など

世田谷民主党の中塚さちよです。


 最初に、ボランティア活動に対する社会的理解の促進について質問させていただきます。


 先般の東日本大震災を受け、本区からも多数の職員、区議会議員、そして民間、区民の方々がそれぞれボランティアに行っています。


  我が会派も風間幹事長がたびたび被災地に足を運び、瓦れきの撤去などで汗を流してきました。私も微力ながら役に立てることはないかと探したら、世田谷ボランティア協会が看護・介護の専門ボランティアというのを募集していたので、これに応募して、看護師さん、保健師さんとともに三日間、福島県の避難所で活動をしてきました。発災から一カ月、四月の選挙戦告示十日前のことでした。

 長期にわたり避難生活を余儀なくされている被災者の方々の心と体のケア、避難所運営のサポートが世田谷ボランティア協会の役割でした。朝から避難所内を巡回し、お一人お一人声かけとバイタルチェックをして、気になる方をピックアップしては、午後からの医療班につないで受診をしていただきました。私たちの巡回時には熱発していた人が何人もいましたが、医療班の医師の診察と薬の処方により大事に至ることはなく、翌日には皆熱が下がって、午後には皆さん四日に一度というおふろに入り、避難所にそれは穏やかなゆったりとした時間が流れました。


 世田谷ボランティア協会では、四月のこの時点でボランティアの登録が七百人近くに上り、その多くは看護、介護の専門職ということでした。しかし、活動日程が最低でも二泊、三泊ということで、登録者は多くても、実際に参加できる人はなかなか見つからず、このときも、私は昼前に電話が来て、その日の夜に来てくれと言われて行ったんですけれども、ボランティア協会のリーダーというナースの方も急遽勤務先の非番の仲間に声をかけて何人か引っ張ってきていたという現状でした。


 お話を伺いますと、ボランティアに行きたいという気持ちを持った看護師は多くいるけれども、休みがとりにくい。それに病院の上のほうの人がいい顔をしない。というのは、みんなが行きたいと言い出すとシフトを組めなくなってしまう。そして、仮に休みがあったとしても、休日にボランティアに行って病気やけがをしたりして仕事に支障を来しては困るということもあるようです。それも当然とは思いますが、しかし、被災地で看護師さんは本当に必要とされる職種です。この春に免許取り立ての若い男性ナースもバイタル測定から子どもたちの遊び相手までして八面六臂の活躍で、とても喜ばれていました。

 被災者の方々の心の傷を治すことは到底できなくても、ケアとは常に患者の心をなぐさめるものだと実感させられました。皆、目の前の人たちを少しでも助けたい、楽にしてあげたいという気持ちにあふれていました。こういった気持ちを持つ人たちが病院にはもっとたくさんいるということですので、ぜひボランティア活動に参加できるよう、区としてバックアップできないでしょうか。被災地のニーズや、活動してきたナースたちがこういうふうに役に立っているという実態を、病院や事業者等必要とされる人たちがいる場所にピンポイントでPRをして、理解促進を進めていただきたいと思います。


 また、世田谷ボランティアの専門職派遣は、今も継続してやっており、看護師は常に募集のメールが来ています。
 そこで提案ですが、潜在看護師と言われる方々に区では研修等をやっていたと思います。そこでボランティアの募集をかけてみてはいかがでしょうか。現在お勤めでなければ、参加できる看護師が見つかる可能性も高いと思います。見解を伺います。


 次に、痙攣性発声障害など診断の難しい病気の周知、対応について質問いたします。


 痙攣性発声障害という病気をご存じですか。私も患者会の方々から初めて聞いた病気で、皆さんも耳なじみがないと思います。ジストニアという脳の神経系の疾患の一種で、発症の原因は不明、根治法も見つかっていない難病で、自分の意思とは無関係に声帯の筋肉が痙攣して声が出にくくなってしまう病気ということです。これはお医者さんの間でも認知度が低く、耳鼻科でもなかなか正しい診断に結びつかず、障害を抱えたまま悩んでおられる潜在患者が全国で二万人ほどいると考えられるそうです。


 この病気は二十代から三十代の女性に好発するため、就職活動や仕事でつまずいたり、中高生で発症する場合などは学校でいじめの対象にされてしまったなど、患者さんは皆さん社会生活を送る上でさまざまなつらい経験をされています。正しい診断がつけば、定期的なボトックス注射や手術で症状が改善できるのですが、診断がつかないばかりに、病院をたらい回しにされたり、吃音やストレス性の障害と診断されて、精神科でいつまでも安定剤を投与され、治らないばかりか、副作用に苦しめられるケースもあるそうです。


 このような診断の難しい紛らわしい疾患はほかにもあると思いますが、一人でもそうした方々が早期発見、そして正しい診断、治療に結びつけられるよう、関係する所管の医療職の方々などに周知をしてほしいと思います。


 区では、健康相談、女性の相談、思春期・こころの相談、難病相談、就労・労働関係の相談など、実にさまざまな相談があります。さまざまな悩みの背景にはこのように意外な病気が潜んでいることもあり、適切な治療をすれば、こうした悩みが解決できるものもあると考えられます。相談対応に当たる部署、職員の間で、知識、情報の共有、連携、横断的な支援体制づくりが求められます。見解を伺います。


 最後に、受動喫煙防止について質問をいたします。


 区ではこのたび、平成二十四年度からの新しい健康せたがやプランを策定中ですが、その中でも受動喫煙対策は重要な取り組みの一つに挙げられています。厚生労働省によると、受動喫煙が原因で発症する肺がん、心筋梗塞で年間六千八百人が命を落としているとの推計もあり、区民の命と健康を守るためにも受動喫煙の防止が重要であることは言うまでもありません。


 区のがん対策検討委員会でも柱の一つとして喫煙など生活習慣の改善が挙げられており、本区では、新しい保坂区長のもと、これらの施策の推進に期待が寄せられるところです。


 日本禁煙学会で、二〇〇七年に四十七都道府県を対象に行ったアンケートの結果分析によると、自治体の首長が喫煙をするかしないかは、その自治体の喫煙対策の取り組みと相関関係があるということでした。保坂区長はたばこを吸うのか、吸われないのかにお答えはいただかなくてよいですけれども、このたびの区長招集あいさつでは、多項目わたる区政への方針、施策が述べられていた一方で、医療、保健、健康づくりの分野については具体的な言及がなかったように思いました。受動喫煙防止のための施策の優先度についてどうお考えか、ご答弁をお願いします。


 もう一点、受動喫煙の問題に関して、区民の方から公衆浴場で禁煙、分煙の対策がとられていないところがあるとのご指摘をいただきました。公衆浴場を経営するには都道府県知事の許可が必要ですが、公衆浴場法第二条の二項には、「都道府県知事は、公衆浴場の設置の場所若しくはその構造設備が、公衆衛生上不適当であると認めるとき又はその設置の場所が配置の適正を欠くと認めるときは、前項の許可――営業の許可――を与えないことができる」とあります。禁煙、分煙の措置がされず、建物に入るなり喫煙者の煙から逃れようのない構造では、「公衆衛生上不適当」というのに抵触するとも考えられます。


 ちなみに、受動喫煙防止条例のある神奈川県では公衆浴場は第一種施設に指定されています。第一種施設というのは原則禁煙が義務づけられている施設のことで、学校、病院、劇場、官公庁などと同等の位置づけです。
 区では条例はありませんが、公衆浴場には分煙のための設備改修も含め、さまざまな財政的支援をしています。こうした公共性の高い区民の保健衛生の向上に資するべき施設において受動喫煙対策がとられていないというのはいかがなものかとの区民の指摘はもっともと思いました。


 禁煙にしたら、たばこを吸うお客様の足が遠のくのではと心配する経営者もいらっしゃることとは思いますが、複数の自治体で公衆浴場業生活衛生同業組合が自主的に加盟の浴場を全面禁煙にしたところ、始めてみると、お客様からはふろ上がりの髪がたばこ臭くならなくてよいと好評の声のほうが多いということです。小さな銭湯などでは分煙の改修はかえって持ち出しの負担も多く、また、お客様がくつろぐロビースペースが狭くなるといったこともあるので、すっぱりと禁煙にして灰皿を置かないというのが、手間もお金もかからず、分煙よりも煙をシャットダウンする効果も高く、健康によいと考えます。
 区でもこの公衆浴場の禁煙をさらに徹底していただきたいと考えます。見解を伺います。


 以上で壇上よりの質問を終わります。


   〔保坂区長登壇〕

◎保坂 区長 中塚議員にお答えします。
 まず、ボランティア活動についてお答えをしていきたいと思います。ボランティアにその志す気持ちがあってもなかなか参加しづらいという状況について、特に専門職、看護、医療、介護などのそういった人たちへの今後についてというお尋ねであります。


 お話にあったように、世田谷ボランティア協会では、被災地でのボランティア活動を希望する看護、医療、介護などの専門職の皆様にご登録いただいて、被災地のニーズを踏まえて派遣されてきていると聞いています。五月三十一日現在、これまで看護師を中心に二百十二名の方が被災地でボランティア活動をしたと聞いております。


 こういった取り組みをしたのは世田谷ボランティア協会が最も早く、開設一日目にして百人、数日たって五百人と、かなり大変な勢いで応募があったとも聞いております。また、ボランティア協会によると、被災地からは看護や医療の職種でなるべく長期間活動できる人の派遣を求めるケースが多くて、ボランティア登録をしていても、勤務先の事情によってなかなか行けないという看護師の方もいらっしゃると伺っております。


 事業者におけるボランティア休暇の制度化についても、各事業者がそれぞれ行っているものと認識していますけれども、これは区として全力で取り組みたいという被災地支援の大きな柱で、ボランティアがその職場、専門職の方が職場を一定期間休んでも、これから出ていけるように後押しをしていきたいと思います。


 世田谷区としても、現在、ボランティア休暇制度の改正も含めて、今回は南三陸町に職員延べ百二十人を出して、課税台帳のもとになる家屋の調査というある部分についてやり遂げるということで既に動き出しております。こういった取り組みを、区民、また事業者に発信をしていきたいというふうに思います。
 また、潜在看護師の方についても、福祉人材育成・研修センターで実施している潜在看護師向けの研修の場を利用して、ボランティア協会の取り組みを紹介していきたいと思います。世田谷区内からも多数ボランティア団体が、あるいは小さなグループ、大きなグループを問わず、たくさん被災地に行っていて、相当有益な活動をされています。


 区としては、ぜひボランティアセンターを中心として、他の団体もどの地で何をどのように支援しているのかということをまずは体験交流し、そのことを速やかにホームページなどで、あるいは「区のおしらせ」などで発信をし、大変ボランティアの方が少なくなっているという現状も聞いています。そういう意味では、どこに行けばいいのか、どんな仕事が待っているのか、どういう機関とか、どこに宿泊が可能なのか等々の具体的な情報も、できる限り区民に開示をしていきたいというふうに思います。


 続いて、たばこについてお尋ねがございました。私はたばこは吸っておりません。これは昔は吸ったことがありますけれども、今は相当長いこと吸っておりません。喫煙は喫煙者本人のみならず、喫煙による副流煙や喫煙者が吐き出す煙も周りの方々の健康への影響を及ぼすもの、こういうふうに認識をしています。私自身もレストランや仕事場等でたばこを吸ってほしくないなという気持ちはあります。


 そして、区はこれまで健康増進法や健康づくり推進条例などに基づいて禁煙の推進や受動喫煙防止の対策に取り組んできていました。区民の生命と健康を守ることが区政の重要課題であるということで、たばこ対策に限らず、引き続き健康づくりについて取り組んでいきたいと思います。また、小中学生に対して、いわば禁煙教育というか、たばこの害についてわかりやすく、小さいときに知ってもらうということも重要かと思います。


 ただ、私の周りには大変たばこを吸う方が多くて、友人等にもたくさん肩身の狭い思いをしている方たちがいる。たばこの害、副流煙について健康を守ることも重要ですが、それが過度な、ある種のたばこを吸う人間というのは排除されるべきだというようなところにまではいってはならないというふうに思います。その点だけ付言をして、答弁にしたいと思います。

◎西田 世田谷保健所長 私からは、痙攣性発声障害など診断の難しい病気の周知、対応についてと受動喫煙防止の公衆浴場での対応ということでお答えさせていただきます。


 痙攣性発声障害は、声が震えたりかすれる、のどが締めつけられるような声になるなど、会話が円滑にできない症状があらわれます。そのため、仕事や人間関係、就職活動に支障を来し、時にはいじめの対象になるなど、日常生活で困難を感じていらっしゃる方がおいでになることは認識しております。その原因は不明で、まれな疾患であることから、医療関係者でも十分に周知されていない病気となっております。


 こうした疾患は、痙攣性発声障害にかかわらず、ほかにも数多くこういう疾患はございます。一般に疾病や治療方法などは非常に多種で日進月歩であることから、区では、専門職が新たな知識や対応の動向を学ぶことができるよう、都や区の研修や学会等へ積極的に職員を派遣するとともに、庁内でも報告会などを開催し、知識の共有化を図りながら、質の高い専門職の育成に努めております。


 また、相談支援の基本は、保健や医療などのサービスを必要とする方に対して、問題を正確に把握し、適切な支援につなげることでございます。


 今後も区は相談に当たる専門職の専門性の向上に引き続き努めるとともに、区の相談窓口も幅広くございますので、関係所管への情報提供と共有化を図り、よりきめ細やかな支援ができるよう連携してまいりたいと存じます。
 続きまして、公衆浴場での禁煙の徹底というご質問でございます。


 健康増進法では、受動喫煙による健康への影響にかんがみ、学校、病院、劇場、飲食店、その他多数の者が利用する施設では受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならないとしております。
 公衆浴場に関しましては、健康増進法の中で具体的な対象施設として明示はされておりませんが、分煙、禁煙を希望される声があることは認識しております。


 区におきましても、世田谷区健康づくり推進条例の中で受動喫煙防止に取り組むことを定め、広く区民等に呼びかけるとともに、公共施設での禁煙、分煙の推進や、区内飲食店などを対象にした受動喫煙防止協力店登録制度の実施など、積極的な啓発活動に取り組んでおります。


 区内の公衆浴場につきましては、これまで組合団体や個別の浴場に対し受動喫煙防止の必要性などについてご案内し、実際ご協力いただいている浴場もございます。しかし、現時点で全店に広がっているわけではございません。経営的な側面を含め、個々の事業者のご判断があるものと伺っております。


 お話にございました神奈川県の受動喫煙防止条例では公衆浴場は全面禁煙とされておりますが、実施後、トラブル等はないと聞いております。区は、こうした状況等を含め、地域保健の観点から、引き続き区内の公衆浴場を含めた事業者への啓発に取り組んでいきたいと思っております。


 以上でございます。