◆二十六番( 中塚さちよ 議員) 民主党・無所属連合を代表して、平成二十一年度一般会計歳入歳出予算外五件の予算に賛成する立場から意見を申し上げます。
百年に一度と言われる未曽有の経済危機の中、景気回復に向けてのたゆまぬ努力と広がる雇用不安への対応など、セーフティーネットの整備が喫緊の課題となっております。
平成二十一年度の世田谷区一般会計予算案では、公共事業の前倒しや、福祉分野などでの雇用対策、商店街の支援など、緊急総合経済対策を打ち出し、喫緊の課題にすぐに取り組む姿勢が感じ取れます。
また、このたびの予算審査を通して、外郭団体の見直しについては、ポストを減らし、副区長が外郭団体の理事長を兼ねるという区民に理解を得られにくい形態については、次年度以降はなくすという答弁が得られたこと。また、我が会派がかねてより求めてきた在宅高齢者の全戸訪問に向けて検討に入られたこと、認知症高齢者グループホームへの区独自の補助金や介護人材確保のための新規事業の創設、高齢者の自主グループ活動への助成など、高齢者福祉分野での意気込みを特に評価するとともに、調査が必要なものや検討中の課題に関しても期限を明示して結論を出していただけると確認できたので、今後の成果に期待し、このたび本予算案に賛成するものです。
我が会派としましては、今後の事業の進捗及び検討状況をしっかりと見届けていくとともに、さらなる区民生活の向上に向け、以下、会派予算要望に掲げている柱立てに沿って意見を申し上げます。
まず歳入増、歳出削減による財政改革ですが、外郭団体については、我が会派は予算質疑の中で一年ごとに複数の職場を渡り歩いた区OBの天下りの一例を取り上げました。このような経験ある人材の有効活用という点からも、疑問視されるような天下り問題の解消、公益法人改革の流れの中で、該当しない社会福祉法人も含めた改革の推進、高コスト体質の改善を求めます。
また、経費節減などの観点から、老朽化した施設の建てかえに合築、複合化の手法が検討されています。一方で、下北沢保育園の例など、利用者の視点から本当に合築が適しているのかという声も寄せられており、将来を見据え、費用面と区民の声をしっかり踏まえた施設整備が求められています。
築後約五十年たつ本庁舎については、議会で慎重に議論を積み重ね、区としては改築の方向で一定の結論を出すための審議会を設置しましたが、ここに来て、社会経済状況の急激な悪化により、多額の税金を投じての庁舎建設に理解が得られにくくなってきています。区民ニーズが高い保育施設などとあわせて整備するという提案について、ぜひ前向きにご検討いただきたいと考えます。
さらに歳入増という観点から、区債や基金だけに頼るのではなく、景気の動向を視野に、みどり税のような法定外税の導入、自治体キャラクターの考案など、さまざまな手法を検討するよう要望いたします。
次に、チルドレンファーストの社会の実現に向けてですが、本区では例年、子どもの数の増加の見込みが甘く、保育待機児は増加の一途をたどっています。新聞などでの子育て環境に関するランキングでも上位に名前が挙がらないなど、区の努力にもかかわらず、区民にとっては、世田谷区は子育てしやすいと実感するに至らない現状にあります。
保育待機児の問題に関して、我が会派は昨年のこの時期に、このままでは翌年も解消されないと指摘していましたが、現段階で提示されている計画では、また翌年も解消されない可能性が高いと思われます。受け入れ枠の一層の拡大、預かり保育、保育ママ制度のさらなる充実、女性の就労ニーズに対応するゼロ歳児保育、事業所内保育所の整備支援など、子育て家庭への多様なサポートを求めます。
学齢期の子どもを取り巻く状況を見ますと、インターネット社会の中で、学校裏サイトなど新たな問題が起こっています。今回の予算質疑の中で、区内におけるネットトラブルの件数も初めて明らかになりました。こうした問題の解決に向けて、リテラシー教育の一層の推進、いじめなどに対応するスクールソーシャルワーカーの充実を求めます。
なお、教育委員会事務局について、一言意見を申し上げます。
我が会派では、かねてより総合学習における教科「日本語」に関して、現場の教員の負担や教科の中身について問題提起をしてきましたが、このたび、教科「日本語」の特区制度終了や、新たな制度への申請に関して、議会への報告が全くなかったことを大変遺憾に思っております。今後はこのようなことのないよう、重々ご留意いただきたいと思います。
続いて、低負担高満足の福祉サービスの構築についてですが、介護人材の確保、介護従事者の待遇改善が大きな課題となっております。国では、介護報酬三%引き上げの改定と地域係数の是正、障害福祉報酬については五・一%引き上げ改定など改善が図られたところですが、介護事業者の倒産件数が過去最高となっている状況をかんがみると、この増加分が働く側に還元されるのか疑問です。介護従事者の待遇について、今後も実態調査を行い、調査の結果を踏まえ、介護保険法や障害者自立支援法の改善を国に要望するよう求めます。また、福祉サービスの質と安心を担保できるよう、苦情審査の仕組みの改善、インスペクター制の取り入れ、独自のインセンティブ創設を提案いたします。
福祉を必要とする人々は高齢者や障害者だけではありません。教育や就労の機会格差で弱い立場にある低所得家庭の子どもやネットカフェ難民などへの支援策の充実、定住外国人無年金者特別給付金については、平成二十年度に引き続き、二十一年度も実施することを要望します。
次に、いつまでも安心して暮らせる世田谷の実現については、低所得者や高齢・障害者などの住まいの確保が課題となっている中、設備の基準もなく、実態のわかりにくい高齢者専用賃貸住宅や無届け老人ホームの問題点を指摘してまいりました。まさにその直後、群馬県での痛ましい火災がございました。
区は迅速に高齢者向け住宅などの実態把握に努め、制度の谷間で犠牲になる高齢者が出ないよう、関連所管がしっかり連携をして取り組んでいただきたく、強く要望申し上げます。
二子玉川東地区再開発については、現在の社会経済状況を勘案し、先々を見据えた計画を考えていかなくてはなりません。Ⅱ―a街区商業施設の整備に当たっては公共性の高い施設を誘致するなど、多額の補助金の適正な執行と事業内容の情報公開、透明化を強く求めます。
また、京王線連続立体交差事業については、地域住民は、地区街づくり計画の作成や提案を、高架か地下かという一番肝心な点が示されないままで進めていかなくてはならない状況に置かれています。
区は、地元自治体として東京都に地域住民の声を的確に伝える一方で、住民へのリアルタイムな情報提供を求めます。
なお、区の情報提供のあり方ですが、若い世代も地域とのつながりを持ちやすいよう、ジャンル別のメールマガジンや電子町内会といった多様なツールを提供するとともに、区報や高齢者向けの媒体、郵送物については文字の大きさなど、もっと見やすさを追求するなど、きめ細やかな配慮をお願いします。
最後に、みどり33の実現に向けて、区債の発行や基金の取り崩しによる大蔵第二運動公園の土地建物の取得及び二子玉川再開発事業と一体となった公園の整備について、緑をふやすというよりも、箱物、大規模開発がふえるように見えることを質疑の中で指摘してきました。もっと身近で、区民が主体的に参加できる緑創出の手法を検討し、緑の大切さを区民により強力に発信していくことが重要です。
世田谷の都市農業再生への努力については高く評価しますが、一方で、宅地転換による農地の減少に歯どめがかからない実態があります。農地存続の必須条件である税制改正に向け、国に対し強力に働きかけを行っていただくよう要望申し上げまして、民主党・無所属連合の賛成の意見といたします。(拍手)
中塚さちよ議員の意見は終わりました。
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