キミちゃんに車椅子を押してもらいながら大学へ行った。
俺はその間、ここ数日感じていた気持ちをキミちゃんに話した。
キミちゃんは何も言わずに聞いてくれ、ただポンと後ろから肩を叩いてくれた。
そして「俺も力になるからさ」って言ってくれたんだ。
「俺も力になるけどさ、お前も昔からの仲間に頼ることもしてみろよ?お前が浪人してるあいだに大きな怪我をしたことを伝えたか?」
「いや…言ってない…。心配させたらダメだからって思ってて」
「ばーか。心配くらいさせてやれよ。きっとすぐに飛んでくるぜ」
「そーかな」
「なんのための仲間だよ」
「うん。そーだよな」
「頼れるものは全部頼れ!!頼られてムカつく奴なんていねぇわ」
「ん」
「お前もそうだろ?あのカッコ可愛い彼氏に頼られるとめっちゃ甘やかすだろ」
「お前…なんでそれを!?」
「見てりゃ分かるわ!」
「ひゃひゃひゃひゃひゃ!!そっか。そーだよな」
明るく笑い飛ばしてくれるキミちゃんの言葉に救われた。
俺が怪我をしてしばらく車椅子の生活を強いられていることや、恋人が一回りも年上で同性の翔ちゃんであることもなんの偏見も持たずに接してくれるキミの存在が大きい。めっちゃ救われる。
そうだよな。
風間ぽんにも連絡しよう。
今の俺の状況を知ってもらおう。
困った時や支えてもらいたい時にはちゃんと頼ろう。
風間ぽん。
俺が遠慮してたことを知ったら怒るだろうな。
つか、アイツになら怒られても仕方ないし、むしろちゃんと叱ってもらいたいとさえ思えた。
【翔ちゃん、今度風間ぽんに今の俺のことを話すよ。んで、頼らなかったことや遠慮してたことを怒られてくる】
【はははは。うん。そうしてこい】
翔ちゃんにLINEで伝えると、すぐに返事が来た。
そしてその返事を見てまたひとつ安心できた俺は風間ぽんにLINEを入れた。
久しぶりに会おうと。
会って話をしようと。
大学で出来たすげぇ最高な仲間を紹介するよと。
そのメッセージを見せたらキミちゃんはめちゃくちゃ照れくさそうに自分の髪をぐしゃぐしゃして笑ってた。
仲間っていいな。
すげぇや。
去年1年間ほぼ1人でいた俺は改めてそう感じた。