翔くんのお母さんが言っていた【家族4人】という言葉がここ数日のオレの心の中に残っていた。
泣きながら食べたフィナンシェの味はオレはこの先忘れることはないだろう。
いや、忘れないでいよう。
そう思っているオレは翔くんと一緒に雅紀への誕プレを買った後にすぐ隣の店のショーケースにオレの目と心は釘付けになったんだ。
そんなオレの目線に気づいた翔くんはすぐにオレに声をかけてくれた。
めちゃくちゃ可愛い。
これをどうしても翔くんのお母さんに贈りたい。
だって雅紀の誕生日にお呼ばれしたってことはすなわちクリスマスイブじゃん。
お母さんへのクリスマスプレゼントってことでもいいよな。
『翔くん、ちょっとここで待っててくれる?買い物してきたいんだ』
「ん、いいよ?」
翔くんに待っていてもらいながら逸る気持ちを押さえながら店員さんにラッピングをお願いして会計を済ませた。
翔くんは特になにも聞くわけでもなくなんとなくオレのそばに来て当たらず触らずな話をしてくれた。
そういうとこなんだよな、翔くんって。
なんとなく空気を察していてくれるんだよな。
だから居心地がいいんだよ。
『ありがとう、翔くん』
「いえいえ、どういたしまして」
『ぶふふwwwそういう意味じゃなくてwww』
「??」
『いいのいいの。ありがとう』
「???」
頭の上にクエスチョンマークを10個くらいチラつかせている翔くんの肩をポンポンしてから、2人でフードコートに向かった。
「太陽さん!!ねぇ!勝浦タンタンメンのお店がある!」
『なぁ、それって夏に雅紀と旅行に行ったときのヤツ?食いたい!』
「辛いぜー!でも美味いよ!」
『よし!食おうぜ!』
翔くんが勝浦タンタンメンのお店を見つけたもんだからオレの心は勝浦タンタンメンに奪われてる。
いつか食べたいと思ってたんだよなぁ。
くあーー!!!
ここで出逢えるとは思わなかったぜ!!!
旅行から帰ってきた時に雅紀と翔くんが言っていた通りにめちゃくちゃ辛いけどめちゃくちゃ美味かった。
つか、これを夏場に食べたらそりゃあ汗だくになるよな。
なんて思いながらも真冬の今日ですら翔くんとオレは汗だくだ💦
汗を拭き拭き、そして鼻をかんでどんぶりの勝浦タンタンメンは空っぽになった。
「美味しかった!ご馳走様!」
『ご馳走様でした!!!!』
手を合わせて空になったどんぶりに2人してぺこりと頭を下げてから、オレは翔くんの顔を正面から見た。
すると勘のいい翔くんはしっかりとオレに向き合うように座り直して、話を聞く姿勢をとってくれたんだ。
『翔くんのお母さんにさ、クリスマスプレゼントを買ったんだ…。翔くんより先にそんなことを思いついちゃってたらゴメンね。でもね、この前お母さんが【家族4人】って言ってくれたろ?この世の人間じゃないオレも当たり前のようにそう思ってくれてんのがめちゃくちゃ嬉しくてさ…』
「うん」
『だからね。さっき雅紀への誕プレを買ったあとのあのお店で買っちゃったんだ。オレからお母さんに渡してもいいかな?』
「太陽さん、馬鹿なの?そんなんいいに決まってんじゃん!!オレの母さんは太陽さんのお母さんでもあるんだもん。いいよいいよ!もう母さんをめっちゃ泣かせてやってよ!ね!!」
前のめりになってそう言ってくれる翔くんの笑顔にオレは安心した。
ありがとう、翔くん。
ありがと…
