実家から食材を持ってきてくれたお袋は手早くお粥を作ってくれた。そしてうどんも茹でてくれた。
とりあえずうどんは少し固めに茹でてあるから雅紀の食欲が出てきた時にもう一度茹で直せばいい。
お粥は鍋の中にあるから食べたい時にそれを温めればいい。
まずはお粥から食べさせてあげなさいよとめっちゃ細かくお袋の指示が出た。
「家事が出来ないとこういう時に不利ねぇ」
「すみません」
「まぁ仕方ないわ。こうなったらなったで少しは翔にとってもいい勉強になるでしょ。雅紀くんが元気になったらいろいろ教えてもらいなさい」
「はい」
「で、これが翔のごはんね。アンタがダウンしたら元も子もないからしっかり食べなさい」
「ありがと」
なんてリビングで2人で話をしているとケツポケットの中のスマホがブルった。
画面を見ると雅紀の名前が表示されていた。
目を覚ました雅紀がオレを呼んでるんだな。
お袋と2人してベッドに寝ている雅紀を見ると保冷剤を頭に乗せて脇の下にビールを突っ込まれた状態の雅紀がスマホを片手に力なく笑ってた。
「改めて見ると、どこまでも雑ねぇ。もう少し丁寧にやってあげないと可哀想じゃないの…もう…」
「いや、めっちゃ頑張ったのよ?オレ」
「くふふふ」
「さぁ、改めて熱を下げないとね?これで気持ちよくなるわ」
「さすが」
「おかぁさん、ありがと」
お袋が持ってきてくれた氷嚢を雅紀のおでこに乗せると、雅紀はふふふって笑ってた。
うん。
ただの熱だけみたいだな。
疲れも出てたところだろうし。
「翔、病院に連れて行ってあげないとじゃないの?熱の原因が分からないままだと困るでしょ」
「あ、そーだよな。近くの病院が開いたら連れていくよ」
「車椅子に座らせるの?それは大変よ?」
「…」
そうだ。
車椅子に乗せて移動するのは雅紀も辛いよな。
かといってタクシーを呼んでもまたそこから移動となると大変だ…。
お袋と2人で悩み始めると、雅紀が口を開いた。
「あの、俺んち…医師だけど」
「あ、そうね!」
「確かに」
忘れてた。
めっちゃ心強い人がいるじゃん!
うっかりしてた。
当直かもしれないから直接お父さんに連絡をするのは遠慮して雅紀のお母さんに連絡を入れた。
すると1時間もしないうちに往診セットを持ったお父さんがマンションに来てくれた。
疲労とストレス。
多少の寝不足もあることからの発熱らしい。
……多少の寝不足……
やべ//////