めっちゃ緊張したあああああ。
岡田さんにタクシーで送ってもらったオレはマンションに帰るとそのままベッドに倒れ込んだ。
お父さんはオレと雅紀との事を認めてくれた。
そして獣医師として育ててくれと託してくれた。
相葉総合病院は岡田さんが今後は引き継いでいく。
左手の薬指に嵌めた指輪を見つめながら涙がジワジワとたまってくるのが自分でも分かった。
雅紀。
なぁ、雅紀。
会いたい。
今から会いに行きたいけど、原チャは診療所だし夜に公園で襲われかけた事から雅紀からも岡田さんからも深夜外出禁止令が出されている。
ワガママ言っていいかな。
お父さんから交際も進路も認めてもらったからさ、お前にこの指輪を嵌めなおしてもらいたいよ。
今すぐ声を聞きたいけど、きっと家に帰ったお父さんはお前と話をしているだろうからその邪魔は出来ない。
緊張しまくって味のしなかったはずのビールの酔いが今さら回ってきた。
手のひらを丸め込むようにしながら薬指の指輪を親指で撫で、首にかかるネックレスを右手で押さえながらいつしか眠りに落ちていた。
『相葉雅紀さん。貴方は櫻井翔さんを生涯をかけて愛することを誓いますか』
『はい、誓います』
『櫻井翔さん。貴方は相葉雅紀さんを生涯かけて愛することを誓いますか』
『はい、誓います』
『では誓いのキスを』
オオハンゴンソウの花畑の真ん中で、大きな虹の橋がかかる中で雅紀と誓いのキスをした。
親父、お袋。
姉ちゃん、潤。赤ちゃん。
太陽のおばあちゃん。
雅紀のお父さん、お母さん。
智くん、ニノ、斗真。
岡田先生。
そして翔さん。
みんなに祝福されている夢を見た。
『翔ちゃん…』
『雅紀さぁ…』
懐かしい呼び名が胸の奥でこだまする。
そんな優しくて幸せな夢だった。
いつか。
北海道のオオハンゴンソウの花畑の真ん中で結婚式を挙げよう。
姉ちゃんから引き継いだブーケを持って。
雅紀、いつか…な?