岡田先生とオレとで雅紀を家の前まで送った。
すると雅紀がちょっと待っててって家の中に入り、すぐに戻って来た。
「はい。これ。冷やしといてね」
「ひああ///冷てえ…あんがと…」
「櫻井先生、甘やかされてるねえ」
オレの前髪を避けて雅紀が貼ってくれたのは小さくカットされた湿布だった。
さっきの頭突きで少し腫れ上がってきてるらしい。
「翔ちゃん?メットはどうすんの?」
「さっきの公園まで拾いに行くよ」
「だったら俺が責任もって櫻井先生をご自宅まで送りましょうかね?先生の原チャ、2人乗りでしょ?乗せてってくれる?その形でちゃんと送り届けるからさ」
男に追いかけられる時に咄嗟に放り投げたヘルメットを回収しにいく話になると当たり前のように岡田先生が一緒に行ってくれると言ってくれた。
こんなに心強い話なんて他にないわ。
それなら安心だと雅紀も頷いてくれ、そこで別れた。
原チャを押しながら、あの頃は友達以上恋人未満だった潤の話から始まって雅紀との出逢いやら付き合うに至る経緯を岡田先生に根掘り葉掘り聞かれた。
それこそ尋問されてるみたいな勢いでめっちゃ聞いてきたけど不思議と岡田先生には素直に話せた。
「岡田先生?雅紀の父親である相葉院長ってどんな方ですか?」
「ん。ひと言で言うと昔気質の人かな。頭がちょっと固くて真面目を絵に書いたような人。でも根っこはいい人だ」
「そうですか」
「まぁ、砦が高くてデカい方が乗り越え甲斐があるっつーもんかね?」
ガハガハ笑いながら岡田先生は背中をバシバシ叩いてきた。
よいしょ。
公園に転がったままの赤いヘルメットを被り、シートの中に収納してた緑のヘルメットを岡田先生に渡して原チャのエンジンをかけた。
オレの後ろに座る岡田先生がなんだかすごく頼れる兄貴みたいに思えたんだ。
マンションに着いてからオレは岡田先生に言った。
「先生。これからも相談相手として話をしても良いですか?」
「ああ。もちろんだよ。櫻井先生は可愛い弟みたいだな!!」
そしてLINEを交換した。
「ふははは。ありがとうございます」
「じゃ、宜しくな、櫻井!!!」
「おやすみなさい。今日はありがとうございました、岡田さん」
「じゃーなー」
いででででで!!!
やっぱり別れ際に岡田さんはオレの自慢のプリケツをひねり潰してきた。
くっそ!!!
でも。
嫌なこともあったけど今日はすごくいい日だと思う。
信頼出来る友達がまた一人増えたんだから。
オレは岡田さんのことを友達だと思ってもいいですよね。ね?岡田さん?