夕方にもう1本の仕事を終え、オレは家へ急いで帰った。
雅紀がいてくれるはず……!!
オレはニヤニヤを隠せない。
「ただいまー、雅紀?」
「ん?」
「……おかえり……////」
うああああー!!!
雅紀が!!雅紀がっ!!「おかえり」って!
玄関に出てきてくれた雅紀を思わずぎゅーーーっと抱きしめてしまう。
「雅紀ー♡」
「いててて!しょーちゃん!痛いし、苦しいっ」
「あ……ごめん」
「でね?晩御飯作ろーと思ったんだけどさ、翔ちゃん……」
「翔ちゃんち、なんもなくね?」
「ん??」
「冷蔵庫は空っぽだし。ま、それは買い物に行けばいいんだろーけど、そもそもフライパンとかもないじゃん」
そーだった。
オレは料理はしねぇ。
出来ねぇんじゃなくて、しねぇんだ。
得意料理は麦茶。
気が向いたときにはカップ麺くらいならできるぞ?お湯は沸かせるからな!!
「……」
「ああああっ、そんなにションボリしないで!怒ってるんじゃないんだよ?」
「…………」
「ね?翔ちゃん?」
「うん……」
「だから、今日は出前取ってさ、今度の休みのときにでも買い物いこ?ね?」
「うん♡♡」
「じゃ、約束ね」
……雅紀が約束のキスを頬にくれた……
やった!!
雅紀がキスしてくれた!!
さらに!!
雅紀とのデートだ!!
オレのモチベーションはとんでもなく高く舞い上がり、成層圏よりもどっか遠くへ行ってしまったっぽい。
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数日後。
潤の知り合いのレストランを借り切って場所を押さえた。
スタイリスト経由でタキシードも揃えた。
これでニノと智くんの結婚式の準備は万端だ。
「ねぇ、翔?」
「ん?」
「思い出すね、ボク達の結婚式」
「そーだな」
「あれにはビックリしたよ」
「そーだろ?」
思い出したのか雅紀の目が潤んでいる。
「なぁ、雅紀」
「ん?」
「愛してる」
「ばか……」
雅紀が胸に飛び込んできた。
その体を強く抱きしめた。
なぁ、雅紀。
オレはオマエを何があっても守り抜くから……。
オレにその力をくれ、な……。