無料塾シンポジウム2019全国大会 | 無料塾「中野よもぎ塾」のブログ

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東京・中野区で中学生対象の無料塾を開催しています。

こんばんは、塾代表の大西ですニコニコ

 

11月3日、名古屋で行われた「無料塾シンポジウム2019全国大会」に参加してきました!

 

 

毎年秋に行われるこのシンポジウムには全国各地の無料塾運営者が集まり、活動報告や無料塾の課題について話し合っています。

今回は11団体の参加となりました。

 

いこいこ教室(愛知県春日井市)
神戸みらい学習室(兵庫県神戸市)
相模原みのり塾(神奈川県相模原市)
東海つばめ学習会(愛知県春日井市)
高槻つばめ学習会(大阪府高槻市)
阪神つばめ学習会(兵庫県西宮市・神戸市)
あすのち(神奈川県座間市・横浜市)
堺arkつばめ学習会(大阪府堺市)
中野よもぎ塾(東京都中野区)
慈有塾(東京都多摩市)
八王子つばめ塾(東京都八王子市)

 

シンポジウムは各団体の10分間発表と、全体ディスカッション、グループディスカッションで構成されています。

 

団体の発表では、他の団体に共有して役立ててもらえるような内容をと考えて、「よもぎ塾の3時間目」をテーマにしました。

 

よもぎ塾では3時間目に集団授業を行っていますが、これは、私が無料塾を立ち上げる前に格安家庭教師をやっていた経験から生まれたものです。

そのときに感じたのは、単に「勉強を教える」ことだけではなかなか効果が出ないということです。

家の中に本がない。本棚もない。

親御さんが本を読んだり、勉強をしたりする時間がない(そういう姿を子どもが見ていない)。

親(大人)同士が家の中で、ニュースやテレビ番組を見て話し合ったり、会社で起こったことなど社会の話をして意見を言い合ったり、ということがない。

こういう環境が家の中にあるかどうかで、子どもの「学ぶ」姿勢や意識の土台のところが変わってくるというのをすごく感じていたんですね。

子どもは日常生活の環境、その中で何気なく得られる情報などから自然にさまざまなことを学んでいったり、知的好奇心を刺激されたりしています。学ぶための基本姿勢や学びについての価値観というのは、日常の環境の中から培われていくものですが、家庭によっては単に「塾に行けない」「私立の学校や大学には行けない」という金銭的な制限だけでなく、この学びの土台づくりにも制限ができてしまっていることがある。

そこを、何か1ミリでも動かすことができないか……というのが、よもぎ塾の3時間目のコンセプトとなっています。

簡単にいえば、世の中にはいろんなことがあるし、大人も学ぶことを楽しんでいるし、学校の授業以外に知ってほしいこと、知っていたら面白いことはめっちゃある!というのを伝えることで、土台作りをしたいということです。

 

このところの3時間目授業でも、子どもたちの反応は良好。

こういう刺激がじわりと効いてきて、学習意欲が上がっている子もいます。

学ぶための土台がどれくらいできているかによって、子どもの学力の伸び方は全然違うんです。

だから、よもぎ塾では大人と子どもの上下関係というのをなるべく外し、「お互いに刺激し合う」関係を大切にし、そのうえでコミュニケーションをどんどんとっていくことで、結果的に学力を上げるというところに結びつけているというわけです。

 

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この団体発表では、東海つばめ学習会さんが「無料塾一万教室計画」というのを発表してくれました。

名前のとおり、無料塾を全国に1万教室つくりたいということです。

私も、無料塾を増やしたいということは常々思っていて、なので数年前から無料塾を立ち上げるためのセミナーというのをときどきやっています。

他県から来て下さる方もいて、中には沖縄から来ましたって方も……!やりたいという思いのある人は結構多いのだと思います。でも、お金がかかるのではとか、人が集まるかしらとか、ハードルが高いようにも思えてしまう。。。

だけど実は結構カンタンにできちゃいますよ、お金も工夫次第であまりかからなくできますよ、というのをセミナーではお伝えしています。

 

中野区内ではすでに10団体が学習支援を行っています。

よもぎ塾が立ち上がったときには他には1団体しかなくて(たぶん)、ネットワークもできていませんでした。

でもここ1〜2年だけでも数団体が新たに加わっていて、無料塾が充実してきています。

ネットワークもできているし、よもぎ塾では新しく立ち上げる方の見学もどんどん受け入れています。

各団体ができる範囲内でセミナーをやったり、イベントを打って認知度を広めたりしていけば、増やしていくことは可能だろうなと思っています。

 

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全体ディスカッションでは、「魚を与えるか、魚の釣り方を教えるか」ということがテーマになりました。

お腹が空いた子にいくら魚の釣り方を教えてもうまく釣れなかったり、その前にへばってしまう。そういうときには魚の釣り方よりも魚を与えたほうがいいという話です。

無料塾に置き換えれば、居場所がなくてつらい思いをしているような子、勉強がわからなさすぎて嫌いになっている子に、いくら「こうやって勉強するんだ」と教えても効果は出ない。まずは「ここにいていいんだよ」と安心してもらったり、できなくてもホメたりすることで満たしてあげることが大切……ということになります。

この見極めがうまくいかないと、「こんなに教えてるのに何でできるようにならないんだ」と、お互いにフラストレーションが溜まり、みんなが疲れるという結果に。

 

で、「みなさんは魚を与えるほうか、釣り方を教えるほうか、どっちですか?」という問いかけがありました。

これ、参加したよもぎ塾メンバー4人、みんな「????」ってなってましたね(笑)。

あとで大学生メンバーとも話したんですが、「うちって、どっちもですよね。その子によって違うってこともあるし、1人の子に魚もあげるし釣り方も教えるし」。

これがよもぎ塾の正解です。一応最終的には釣り方を覚えてほしいということで私は後者に挙手しておきましたが、みんな私がどっちに挙げるか見て挙げたんじゃないかな(笑)。

 

ただ、この話は無料塾業界の中では結構深刻で、需要供給がうまく噛み合わないことで運営側が疲れ果てるということもよくあるみたいです(うちはないです)。

 

また、運営者のみなさん、仕事・家庭(家事や子育てや出産)と無料塾の活動のバランスをとるのに、とても苦労されているというが現状です。

うまくバランスがとれるときもあれば、仕事や家庭の状況によってはいっぱいいっぱいになってしまうことも。

持続可能な無料塾にしていくためにはどうしたらいいのか……

そんなことも話し合われました。

(私は疲れてないですよ!!!むしろよもぎの仲間たちに異様に癒されています)

 

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グループディスカッションでは、無料塾への共感を高め、無料塾を増やしていくために、何をしたらいいかということがテーマになりました。

 

 

このテーマについては、今よもぎ塾では無料塾を広めるための本を制作中なので、それを他の団体さんにも活用してほしいなと思っています。12月中旬には完成します。

また、次回の無料塾立ち上げセミナーについてもそろそろ考えておこうかなと思っています。

 

ディスカッションでは、私のグループでは「“お守りプロジェクト”みたいなイベントなどで、応援することが楽しくなるような仕掛け、認知度が高まるような仕掛けができないか」という話に。

お守りプロジェクトっていうのは、この場でふと私が思いついただけなんですが……これ中野で実験的にできないか早速動いてみようと思っているので、詳細は今はナイショです。

帰り道には早速4人で「これやっちゃおうよ」ということで意見一致。乞うご期待。

 

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そんなこんなで、いろんな団体さんに今年も刺激をたっぷり受けて来ました。

前日の懇親会でも、自治体との連携などの話が出てきたり。

 

↑懇親会会場は、私が子どもの頃から何度も家族で行っていた「キッチンまつや」。

久々の味噌串カツを堪能しました。

 

今回参加していた、高校生が運営する団体「あすのち」さんも懇親会から参加していて、なんだかとても嬉しかった……。

(※高校生はジュースしか飲んでいません。そして早めの時間に撤退しましたよ)

来る前に、相模原みのり塾さんと一緒にJAXAに行ってきたらしい……うらやま!!!

 

 

来年からはこのシンポジウムは「勉強会」と名前を変えることになりましたが、また来年、全国の代表さんたちにお会いできるのを楽しみにしています!

主催の八王子つばめ塾さん、会場手配をしてくれた東海つばめ学習会さん、ありがとうございました(*^_^*)