「走れメロス」は走っていなかった! | 無料塾「中野よもぎ塾」のブログ

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こんにちは、塾代表の大西ですニコニコ

今日は、少し前にネットで紹介されていて面白かった記事を紹介します。

実はノロノロ歩きだった? 「メロスの全力を検証」した中学生の「数学の自由研究」がすごすぎる
http://www.j-cast.com/mono/2014/02/06196146.html

愛知県のある中学生が、数学の研究の一環で、太宰治の『走れメロス』の主人公・メロスがどれくらいの速度で走ったのかを計測してみたのだそうです。
作中の記述からその時間帯を推測して、どれくらいの速さで10里(約39km)の道のりを進んだのかを算出したということです。

すると……
メロスは往路で平均時速3.9km、復路で平均時速2.7km、ラストスパートでも平均時速5.3kmだったということがわかったのだそう。
一般的な男性の歩行速度は時速4km程度だそうなので、そこから考えるとメロスは全然走っていないし、早歩きをしたとおぼしきラストスパート以外はめちゃめちゃゆっくり歩いたことになるのだとか。


という研究の結果もとても面白いのですが、メロスの速度に目をつけた中学生、スゴイ!
本を読みながら、「これって本当?」「なぜこういう記述になるんだろう?」「この時代に何があったんだろう?」「作者は何に影響されてこれを書いたんだろう?」などと疑問を持って、自分で調べたり計算してみたりする、というのはとても高度な読書姿勢だと思います。
でも、そういうことが本来の「学び」なのかもしれません。

学校の国語の授業では、今はプリントを配られて、「この段落はこういうことを言っていますよ」「これは○○の比喩ですよ」「主人公はこのとき、こう思ったんですよ」というのが丁寧にそこに書かれている……というスタイルが中心になっていると聞きます。
というか、教え子に授業のノートを見せてもらうと、そうなってます。プリントが貼ってあるだけ。
プリントにはご丁寧に、「このスペースにこれを書き込みましょう」みたいな空欄が作られていて、それは先生の解説を聞きながら埋めていくのだそうです。
だから、自分なりにノートをまとめる必要はありません。

先にプリントが用意されてしまうということは、授業中に子供たちが「それってこういうことじゃないの?」と疑問を持ったとしても、変更はできません。
読み方は学校が用意した、ひとつに限られるということです。
このやり方に、私は少し疑問を感じています。
プリントに頼らず、柔らかい頭で、いろいろな「?」を見つけてほしいなと思います。


さて、まだ『走れメロス』を読んでいないという子は、そのうち国語の授業でやると思うので、そのときにはこの結論を思い出しながら読んでみてください(笑)。
ホントは全然急いでないでしょ~とツッコミを入れながら……。
先生が、メロスのラストスパートについて臨場感を持って解説し始めたら、「先生、この人ホントは走ってないんですよ!」と計算してみせましょうべーっだ!