NHKスペシャル「女性たちの貧困」を見て | 無料塾「中野よもぎ塾」のブログ

無料塾「中野よもぎ塾」のブログ

東京・中野区で中学生対象の無料塾を開催しています。

こんにちは、塾代表の大西ですニコニコ

4月27日(日)に放送された『NHKスペシャル』を見ました。
「調査報告 女性たちの貧困~“新たな連鎖”の衝撃~」と題した特集で、実際に貧困状況にある女性達の実情が描かれていました。

若年女性(15~34歳)の非正規雇用の割合は、現在47%。約半数です。
その中でも「年収200万円未満」の非正規雇用の若年女性は、289万人(非正規雇用の若年女性全体の81 .5%)にのぼるといいます。
……ということは、働いている若年女性の38%くらいが、年収200万円未満ということになるでしょうか。

また、20代のシングルマザーの8割は、年収114万円未満で暮らす貧困状態にあるそうです。

こうした例として、いろいろな女性が登場しました。

■□■□■□■□■□

■母子家庭で育った19歳の女の子。
派遣で働く41歳の母親が家賃を払えなくなったため、母と14歳の妹と共にネットカフェで暮らしている。バイトで稼げるのは月10万円。母親の稼ぎは数万円。
1日1食、コンビニのパンや缶詰を食べて生活。20歳になったら家を借りたいけれど、初期費用がかかるので借りられるか不安。
母親は離婚後、看護助士として働いていたけれど、仕事と子育ての両立に疲弊し徐々に働けなくなっていった。ライフラインが止まり、食べ物がないこともあったが、周囲や行政に頼ることはなかったという。

■コンビニでアルバイトをして月8万円を得ている19歳の女の子。
父親が亡くなり、母親は腎臓に病気を抱えて働けないことも多いので、彼女が高校進学を諦めて家計を支えている。
夜間早朝のアルバイトの合間に通信教育を受けて、夢だった保育士になるための専門学校に入学を果たす。入学後も朝5時から働きに出て、稼ぎながらの学校生活となる。

■母子家庭の厳しい生活を抜け出そうと大学に進んだ19歳の女の子。
休みには愛媛県から東京へ学費(400万円)を稼ぎに来て、ネットカフェに寝泊まりしながら工事現場など3つの仕事をかけもち。
住んでいる地域では女性にはパートやアルバイトの仕事しかなく、親も十分に稼ぐのは困難。
女の子は卒業後は福祉関係の仕事について家計を支えたいという。

■大学を出たけれど、就職が難しくアルバイトで生計を立てている24歳の女の子たち。
「結婚なんて今のままじゃむり」「普通の生活がしたい」

■子どもが1歳の頃にシングルマザーになり、一人親支援の5万円や高等職業訓練促進給付金の制度(職業訓練を受けながら生活費が2年間、月10万支給される)を受け、資格をとるための専門学校に通いながら生活してきた女性。
ただ、専門学校の学費380万円を稼ぐために1日10時間働いたら、助成金を受けられる額が月7万円になってしまった。
「もっと頑張ろうと思ってやっていったら、前よりも苦しくなってしまった」

■高卒後働いて、そのままぎりぎりの生活をしてきた31歳の女性。
妊娠中に恋人の同意を得られず一人で産むことに。今のままでは子どもを幸せにできないと、出産後はNPOに子どもを托すことを選択。

■□■□■□■□■□

貧困を解決する政策もあるけれど、制度が見えにくく隙間も生じてしまっている現状。
そうして制度からこぼれ落ちてしまっている女性たちのリアルを映し出したのは良かったけれど、「じゃあどうしたらいいんだ」というところは番組にはありませんでした。
周囲の助けや生活保護を受けなかったという母親は、その事実だけがさらっと述べられていたけれど、「なぜ?」というところはわかりません。
周囲が手を差し伸べたのにあえて受けなかったのか、受けられなかったのかは、大きな違いだと思うのだけど。

出てきた女性たちは皆、今の生活を脱するために、資格取得を目指したり学校へ通ったりと頑張っていたけれど、番組では「個人が頑張ってなんとかするしかない」現状しか映し出されていませんでした。
そうなってしまった背景もほとんど触れられなかったので、もしかしたらこれを見た人の中には、「親が無責任だ」とか「もっと前から努力しなかったからこうなったんじゃないの」「自己責任でしょ」とか、思う人もいるかもしれません。

こういう状況になってしまった背景と、制度の問題(わかりにくさや矛盾など)と、これからどんな政策が必要なのか、ということを映し出せば、各ケースが「自己責任」で片付けられる問題なのか、そうでない問題なのかはもっと明らかになったと思います。

彼女たちのうしろには、雇用の問題、社会保障の問題、地域コミュニティ崩壊の問題など、いろいろなものが見え隠れしています。
次は、そこをしっかり映し出してほしいと思います。

■□■□■□■□■□

そして。

今、母子家庭で頑張っている皆さん。
子どもへの教育を諦めないでください。
中野よもぎ塾では、経済的に苦しいご家庭の中学生を対象に、無料で学習サポートをしています。
「できること」「得意なこと」「好きなこと」を見つけることは、子どもが将来、自分の人生を切り開いていくための突破口になるはずです。
ぜひ、利用してください。

よもぎ塾だけでなく、今、全国に無料・非営利の塾が増えつつあります。
ぜひお近くで探してみてください。