4月28日の「あさイチ」(NHK)を見て | 無料塾「中野よもぎ塾」のブログ

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月曜日の『あさイチ』(NHK)で、子どもの貧困について特集していたので、その内容と感想を書きたいと思います。

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■大学に行くために奨学金として552万円を借りた25歳のAさん。
返済金額は742万円ちょっと。
現在、1年契約の契約社員(非正規雇用)で収入は月20万円ほど。交通費も支給されないので生活はぎりぎり。
「大学に行かずに高卒で働いていればこんなに苦労しなくて済んだかも」「大学に行ったからこそ今の仕事がある」この両方の気持ちがあり悩ましいと話します。

■奨学金は返還猶予や減額返還といった措置もあるそうですが、いずれにしても返還を先送りするだけでいつかは支払わなくてはならない。
3カ月以上支払わないと、信用情報に影響し、カードが作れないなどといったことになる。

■奨学金は、返してもらうことで次世代の人に回すことでなり立っているので、返してもらわないと回っていかない。


奨学金の利子高すぎ!! 200万円……ガーン
ただ、返済ができない人(中にはできるけどしない人もいる?)が多くて、回収が追いつかず資金繰りが厳しいのもわかります。
こうしたジレンマが起こる社会的背景を、番組ではもう少し掘り下げて欲しかったです。
そもそも高い学費を払ったとしても「どんな学校に行くか」によってその後の人生に格差が出てきてしまうこと、大学に行かなくては十分な生活ができる職を得にくくなっている社会、大学の役割が今と昔とでどう変わってきているのか、職を得て普通の生活をするために教育機関はどうあるべきなのか、いろいろな社会的な課題が、奨学金問題の背景にあると思います。

ちなみに、私の夫は新聞奨学生で、配達所に住み込みで朝刊夕刊を配りながら、専門学校に通い、やりたかった仕事につきました。
新聞奨学生だと返済はないし、食事もついているのだそうです。
仕事しながら勉強なので大変だけど、そういう手もあります。

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■今、17歳以下の子どもの6人に1人が「貧困」状態にある。
お風呂に何ヶ月も入れず、カップ麺ばかり食べていて、学校に行けなくなった小6の女の子の例も。
でも、子どもの貧困は外から見ていてわかりづらく、気がついても人の家庭の経済的事情には触れにくく、立ち入れない。

■収入が月10万円で子ども3人を育てるシングルマザーの話。
食料はご近所から差し入れをもらうこともあるが、1日1食しか食べられない日も。
母親は資格をとるため職業訓練校に通うが、病気になった子どもを置いて授業に出かけなくてはいけない状況に。

■貧困の恐ろしさは、選択肢が奪われることと、孤立すること。
将来にわたって、就学、就職や結婚などの選択肢が奪われ、生きづらくなっていく。


なぜ、月10万円の収入で3人を育てているという誰から見ても困窮した状況なのに、生活保護などの支援が受けられないのか?
その理由を知りたかったです。
生活保護が本当に必要な人に、行き渡らないのは、行政にどのような問題があるからなのでしょうか?
番組の最後のほうで、生活保護や就学支援などについても「あるよ」ということがサラリと触れられていましたが、それでも救われない人がいるのはなぜなのでしょう。
制度が「ある」だけでは、何も解決しないということでしょうか。

中野区もそうですが、就学支援については受給のハードルが上がり、4月から受けられなくなる子どもたちもいます。
これは生活保護受給のハードルが上がったことに連動しているようです。
そうした現状にも触れて欲しかったです。

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■豊島子どもWAKUWAKUネットワークさん(http://toshimawakuwaku.com/)の取り組み。
勉強ができず困っていた近所の中学生の男の子のお世話をしたことが活動のはじまり。
子どもの遊び場や無料学習支援などの活動を行っている。

■地域全体が子どもに声をかけ、気にかけながら暮らしていることで、困っている子どもに手を差し伸べやすい環境ができる。

■豊島子どもWAKUWAKUネットワークさんは、月2回、地域の子どもなら誰でも来られる食堂を運営。
1食300円だけど、お手伝いをした子どもは無料。
パン屋さんが場所を提供し、料理は地域の主婦たちが担う。野菜を寄付してくれる農家も。
地域で親も子も孤立することを防ぎ、元気のなかった子どもがたくさんの人と関わる中で明るさを取り戻すなどの効果も。


こうした地域の活動というのはとても素晴らしいものだと思います。
昔のように、地域のネットワークがしっかりしていれば、救われる親子はたくさんいるでしょう。
でも、それを促すために行政が何かしらのアクションをする必要もあるでしょうし、地域のネットワークだけではどうしようもないケースもあると思います。

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皆が人に優しさを持てるかどうか。
それが最重要だとは思うのですが、ただ、それだけではどうしようもない部分に、国や自治体がどのような取り組みをしているかということも知りたかったです。

たとえば、私がこの豊島子どもWAKUWAKUネットワークさんに伺ったところ、荒川区では週に3回、区が小中学生に無料で学習支援をしているそうなのですが、他の自治体ではどうなのか。
また、親が生活するのに十分なお金を得るための支援はどうなっているのか。

子どもの6人に1人が貧困という背景には、いったいどのような問題があるのか。
親の努力が足りないケースもあるでしょう。
でも努力では埋められずに苦しんでいる家庭が出てきてしまうのは、なぜなのか。
社会はそれを「結局、自己責任だから」と切り捨てる方向に進むのか、救う方向に進むのか。

いっぱいいっぱい課題がありますが、これ、もっとみんなで考えるべきことですよね。
この国に住む、みんなに関係のあることだと思います。