ある日うちのベランダに迷い込んで、そのままうちに居着いたカズとサトシ。
サトシはちょっとボーッとしてて
カズは周りをよく見てる。
サトシはカズのことが大好きで
カズはサトシをいちばん大事にしてる。
部屋の探検をしようって言うのはカズだけど
前を歩くのはサトシ。
いつもサトシの手をぎゅっと握ってくっついて歩いてる。
いっつもくっついてて
いっつもラブラブしてて
イチャイチャしてるふたりは、俺のことなんかほとんど無視して生活してる。
兄貴や雅紀は俺のこと飼い主とか言うけど、アイツらペットじゃねぇし。
てか、そもそもどんな生き物なんだよ。
小人?
コスプレ好きの?
うん.....たぶん、そんな感じなんだろうな。
しばわんこみたいなカズ。
黒猫みたいなサトシ。
だけど、アイツら着替え持ってんだよ。
黒しばわんこと白猫は見たことある。
何なら着替えてるとこも見たことある。
なんか小さいポーチみたいなのから、ズルっと出てくる着替えは、どう見てもその袋に入るサイズじゃねぇ。
ド○えもんかっ!って、ツッこもうかと思ったけど、そもそもド○えもんって通じるのか?とか思ってるうちに、言えなくなった。
ふたりはあんまり食べたり飲んだりもしないけど、1日に1回は何か食べたいらしい。
普段はテーブルに置いておいたチョコとかクッキーなんかを食べて、俺のマグカップからお茶を飲んだりしてるけど、本当にたまにご飯やパンを食べたがる。
サトシはパンが好きで
カズはラーメンが好きみたいだ。
そんなふたりは欲しいものがある時は、俺のそばに寄ってくる。
ラグに座ってる足元に来て、膝やももの辺りから登ってこようとしたりする。
「じゅーーーん」
「じゅんくーーーん」
俺の足にスリスリして、甘えた声で呼びかけるふたり。
ペタンと座ったお尻も可愛いよなぁ。
「じゅーーーーん?」
「じゅんくーん?」
ちろっと上目遣いのカズと
真っ直ぐ見つめてくるサトシ。
あー、クソ。
可愛いんだよなぁ。
普段は俺のことなんか空気くらいにしか思ってないくせに、こんな時はめいっぱい可愛い顔して寄ってくるとか。
あー、クソっ。
「じゅーーーーん」
「じゅんくん」
キラキラオメメのふたり。
あー、俺の負けです。
「何?」
「ご飯ほしいな」
「ほしいな」
「今日は何がいいの?」
「みそラーメン」
「らーめん!」
「わかったよ。ちょっと待ってな」
頭をちょんと撫でると、嬉しそうにわらうふたり。
「ずん!ありがとな」
「サトシ、噛んでる」
「あ...ず、ず、じゅん」
「ふふ」
楽しそうにイチャイチャしはじめたふたりの為に、俺は今日もキッチンに立つ。
「今度はシナモンロールにしような」
「うん」
今日もうちのしばわんこと黒猫は元気です。
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このお話には可愛い絵があります
描いてくれてるのはお馴染みあみんちゃん♡
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