足元は大丈夫?

 

衆議院東京一区や東京15区補選だけでなく、都知事選挙を通して

「立憲共産党」の存在が定着していくようです。

 

政党が選挙で共闘すること自体が、悪いわけではありません。

異質な政党が野合することに、不快感を覚えるだけです。

 

それが常態化するのであれば、組織統一したほうが

国民は分かりやすいのでは、とさえ思ってしまいます。

 

と言いますのは、政党は政治権力を握ることを目的に

設立された組織だからです。

権力の握り方と、権力を握ったあとの

政治運営の仕方は政党によって違います。

 

議会制民主主義制度を前提にした政党と、

議会制民主主義という社会体制を覆して、

共産主義社会を構築する政党は、異質なもの同士であり

本来は共同行動できないものではないでしょうか。

 

たとえば共産主義国家が日本を攻めたとき、

国家的危機のときは両者は対立します。

肝心なときに、協力関係が崩壊するのです。

 

共産主義社会を目指す政党が実力を発揮するのは、

独裁政治体制です。

民主主義体制における選挙では、いつ政権が

ひっくり返されるかわからない不安定さがあります。

強権を発揮できる政権として、独裁政治が必要になります。

 

わかりやすいのは、かつてのソ連や現在の中国の政治です。

ソビエト連邦共産党や中国共産党が、独裁政権として

長期にわたって国民を支配してきました。

ここでは、一般国民の自由きままな活動は認められません。

 

ソ連は1921年に建国され、1991年に崩壊しました。

100年持続できませんでした。

今のロシアは共産主義社会ではありません。

 

それは、反プーチンデモがあることで、容易に理解できます。

共産主義社会は強権的ですから、中国のように

反権力の示威行動は認められません。

 

共産主義国家に複数の政党があったとしても、事実上は一党独裁です。

共産主義国家が地球上に初めて誕生してから100年を超えているのに、

「民主主義的共産主義国家」は発現しませんでした。

ベトナムのような、「緩やかな共産主義国家」はあります。

 

中国共産党の結党は2021年7月で、結党100年を過ぎています。

中華人民共和国の建国は1949年10月1日ですから、今年は75周年です。

 

共産主義国家は独裁政治ですから、

特定の権力者だけで物事を決定できます。

国民の意向をはかるという、民主主義的手続き不要ですから

効率性には高いものがあります。

 

手続きよりも効率性を優先するということで、

中国の高度成長を可能にしたといえそうです。

 

独裁政権は、本質的に民主主義社会(自由社会)を前提とした政党を、

受け入れることはできません。

それを受け入れたら、政権党として存在できなくなるからです。

 

長期間にわたり異質の政党が融和するためには、

独裁政治か民主主義のどちらかを捨てなければ成り立ちません。

 

共産主義政党は、主義主張(思想)を捨てません。

したがって、共産主義政党側が民主主義的要素を粛清することになります。

 

共産主義政党が民主主義政党と曖昧な形で共闘するときは、

相手を党勢拡大に利用するときです。

いわばマヌーバー(maneuver―策略・作戦)です。

 

 

メリットとデメリット

 

共産主義政党と宗教団体の構成員は、きわめて強い組織力を持っています。

日本でいう組織力とは、揺るがない思想、強固な団結力と行動力です。

 

外国の場合には、武器を持って戦う戦闘力が加わります。

 

そうした勢力を利用しようとする場合、何かを提供しなければなりません。

彼らは、メリットのない共闘をしません。

立憲民主党の場合は、何を提供するのでしょうか。

 

外から見るとこの共闘は、

①   共産主義政党に民主主義政党の衣を渡す。

②   立憲民主党の組織力を弱める。

③   立憲民主党の支持者を横取りされる。

ように見えます。

 

①   の民主主義の衣は、国民の共産主義への警戒心を弱める役割を

  果たすということです。国民が共産党を民主主義政党と

  錯覚することで、共産主義行動に巻き込まれる恐れがあります。

 

②   の立憲民主党の組織力を弱めるというのは、自民党が公明党の

  協力がなければ選挙もできない政党になってしまった現実を見れば、

  容易に理解できます。当てにしすぎると、自滅することになります。

 

③   のこれは、私自身が社会党員時代に「区長公選運動」で経験しています。

  共闘することで、自党の支持者を彼らに知られることになります。

  支持者の法は、社会党と共闘しているのだからと警戒心を解き、

  彼らを受け入れやすい状態に置かれます。共産党としては、

  自民党支持者よりも獲得しやすい人たちですから、有利に組織できます。

  共産党系各種団体がつくりやすくなるのも、こうしたときです。

 

こうやって、共闘した政党は弱体化の道を辿ることになります。

自己責任として自滅するのは仕方がないとしても、

国民から共産主義への警戒心を奪うことは罪です。

 

共産党議員や公明党議員は、多くの自民党議員や

立憲民主党議員よりも、地域での世話役活動に熱心です。

主義・主張に関係なければ、住民にとっては実に助かる存在でしょう。

 

共闘して「選挙に利用できた」と満足しているうちに、

足元が揺らぐことになりかねません。

 

余談です。

都知事選で「立憲共産党+左翼」勢力が勝利したとしても、

東京都が即共産主義自治体になるわけではありません。

かつて、東京都は美濃部知事を迎えたことがあります。

 

この結果、都政の名前を使いやすくなった共産党の存在感が、

グ~ンと大きくなったとされています。