日本版家庭医制度法案(家庭医の整備の推進に関する法律案)を国会に提出致しました。 | 中島 かつひとのブログ

中島 かつひとのブログ

健康な日本に再建

新型コロナウィルス感染症の蔓延・長期化、また変異株の脅威により、我が国の医療体制の課題が様々浮き彫りとなりました。浮き彫りとなった課題の一つが「かかりつけ医」の不在です。


新型コロナ感染症初期段階から、検査、また受診の目安など、また現在はワクチン接種において「かかりつけ医」という言葉がたびたび使われていますが、我が国では、かかりつけ医がどのような機能を持ち、どのような役割を果たすものなのか定義されておらず混乱が生じています。



新型コロナ感染症、第3波、第4波では感染が確認され自宅療養されている方々が医師に診察どころか、相談さえできない、経過の途中にお亡くなりになる方も多数おられます。

また、平時においても我が国の構造的課題である少子高齢化、人口減少社会、疾病構造が糖尿病や高血圧など生活習慣病にシフトした現状から、予防医療、またプライマリ・ケアを評価する仕組みが求められています。

 

提出法案は、プライマリ・ケア機能をもつ「かかりつけ医」を家庭医と位置づけ制度化することで、コロナ禍においても地域で身近に相談に応じる医師により十分な医療が提供されること、また平時における医療体制の再構築から地域医療・介護・福祉の課題解決への道を切り開き、日本の社会保障を立て直すことを目的としています。


国民皆保険制度成立以来の社会保障制度の大改革の第一歩であり、家庭医の整備に関して、その基本理念、基本方針を示したものです。

 

第一歩を進めるのに約9年かかりましたが、多くの皆様のおかげで一歩前進させることができました。

無所属会派・社会保障を立て直す国民会議の代表であった野田佳彦元総理、厚生労働部会・厚生労働委員会で常に勉強させて頂いている長妻昭元厚生労働大臣、同期で盟友である重徳和彦衆議院議員、青柳陽一郎衆議院議員、医師議員である阿部知子衆議院議員、吉田統彦衆議院議員、また直諫の会のメンバーと共に提出できたことに感慨もひとしおです。


地元山梨はじめ支えてくれた全ての皆様に心から深く感謝申し上げます。


さらに一歩、二歩と前進し、「健康な日本に再建」するために、引き続き、精一杯努力致します。


家庭医制度の整備の推進に関する法律案 概要

1.目的

  この法律は、地域における医療提供体制について、新型コロナウイルス感染症その他の国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症その他公衆衛生上の危害が発生した場合においても、家庭医により十分な医療が提供されるとともに、我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化を踏まえ、家庭医により地域住民一人一人の心身の状況に応じた疾病の予防のための措置を中心とする医療が提供される体制を整備することが喫緊の課題となっていることに鑑み、家庭医制度の整備に関する施策を総合的に推進し、もって国民が健康な生活及び長寿を享受することのできる社会の実現に資することを目的とすること。

2.定義

 ⑴ 家庭医」 地域において日常的に地域住民の疾病その他のあらゆる健康上の問題に対応する次の業務を行う医師

  ① 地域住民に対する予防管理その他のプライマリ・ケア

  ② 専門的な医療の提供を行う医療機関及び介護、福祉その他の地域包括ケアシステムに関係する機関との連携協力を確保するための連絡調整

 ⑵ 予防管理」 地域住民の健康相談及び健康管理疾病の予防のための措置を含む。)

 ⑶ プライマリ・ケア」 地域住民の疾病その他のあらゆる健康上の問題に対し、その初期の段階で適切な対応を行い、必要に応じて予防管理及び継続的な医療を総合的に提供すること

 ⑷ 家庭医制度」 家庭医による医療の提供を中核とした地域における医療提供体制

3.基本理念

 ⑴ 家庭医がプライマリ・ケアを適切に実施することができる環境を整備すること。

 ⑵ 家庭医が医療関連情報(※)に基づく良質かつ適切な医療の提供を行うことができる環境を整備すること。 ※ 医療を受ける者の心身の状態その他の医療を受ける者に関する情報

 ⑶ 家庭医がプライマリ・ケアの提供を行う医療機関と専門的な医療の提供を行う医療機関との機能の分担及び相互の連携協力確保するための連絡調整を行うことができる環境を整備することにより、地域において良質かつ適切な医療を提供するための体制を構築するとともに、医療を受ける者の利便を増進し、及び勤務医の負担を軽減すること。

  家庭医は地域包括ケアシステムの構築に資する役割を積極的に果たすものとし、介護、福祉その他の関係機関との相互の連携協力の確保を図ること。

.国の責務

.家庭医制度の整備の目標時期法施行後3年を目途に法制上又は財政上の措置

家庭医制度の整備に関する施策の基本となる事項

 ⑴ 家庭医の認定等

  ① プライマリ・ケア等に関する研修を修了した医師を家庭医として認定

  ② 地域住民による家庭医の登録制  ③ 家庭医の登録の推進

 ⑵ 予防管理に係る保険給付の検討

  ① 予防管理を医療保険の保険給付の対象とすることについて検討

  ② 家庭医によるプライマリ・ケアに係る診療報酬及び財政上の措置の在り方検討

 ⑶ 診療録等のデータベースの整備及び活用の促進等

 ⑷ 家庭医と専門的な医療の提供を行う医療機関との連携等

 ⑸ 在宅医療の推進等

 ⑹ 家庭医のオンライン診療の実施の在り方検討

.施行期日公布の日から施行