【資料】】「郵政改革法案への対応の考え方」(平成24年3月16日 自由民主党)
郵政改革法案への対応の考え方
自由民主党
平成24年3月16日
1 前々回の総選挙において、国民は、郵政民営化に対し、大きな支持を表明した。そのことを踏まえ、郵政民営化の基本方針を堅持することは、言うまでもない。
そうした中、前回の総選挙で、政権交代が行われると、国民新党が民主党と連立政権を組み、郵政株式売却凍結法案を成立させ、今日まで、この問題を混乱させてきた。我が党として、同法の即時廃止を強く要求していかなければならない。
したがって、交渉の前提として、郵政株式売却凍結法案に併せて、郵政民営化を逆行させる政府の郵政改革法案を撤回すべきであることは、当然のことである。
2 この間、郵便事業会社が赤字を計上するなど郵政各社の業績が悪化していることは事実であり、その原因を究明する必要がある。あわせて、郵便局会社において、約束であったワンストップ化やコンビニ化が進展していない状況については、経営努力の観点から批判されなければならない。こうした事態に至ったのには、現在の経営陣に大きな問題があるものと考えられ、郵政民営化を真に推進する体制を再構築していくことが必要である。
3 一方で、郵政民営化後数年を経過し、郵政各社の業務の連携や金融2社のユニバーサルサービスなどについて幾つかの経営上の問題点が指摘されている。郵政民営化法においても、3年ごとの見直しが規定されており、同法の規定に沿って見直しを行うことも、必要である。
加えて、政府が郵政改革法案を提出して相当の期間が経過し、さらに、友党公明党が斡旋案を示している中で、責任政党である我が党が積極的に見識を示すことが求められている。
また、東日本大震災の復興財源の一つとして、政府与党が政府保有の郵政株式の売却を打ち出し、郵政を巡る環境が大きく変わってきたのも、無視できない。
4 郵政民営化を堅持するため、我が党としては、郵便貯金、郵便保険の金融二社の全株処分の方針である。
ユニバーサルサービス提供のため、売却期限の一定の延期や金融二社の株式売却に係る裁量権などが法的に規定できないか、株価が低迷する中で、持ち合いや信託など株価対策を講ずる必要がないか、検討する必要がある。
5 政府与党が金融二社の株式保有にこだわるのは、金融二社が完全に民営化したときに、それにユニバーサルサービスを義務付ける根拠を失うからである。確かに、金融の世界においては、二社の独占割合は相対的に小さく、ユニバーサルサービスの義務付けは、困難であるという意見が強い。
そこで、公明党案のように、日本郵政を含む郵便事業会社側に金融ユニバーサルサービスを義務付けるのが、法的には一定の解決策である。その場合、提携会社を郵便貯金、郵便保険に限定するのか、一般の銀行、保険会社にまで拡大するのか、検討の余地がある。
ただし、日本郵政を含む郵便事業会社側に金融ユニバーサルサービスを義務付けるだけでは、やや法律上の便宜に過ぎ、金融ユニバーサルサービスの提供について、政府が何らかの関与をすることを併せて検討すべきである。
また、金融二社が郵便事業会社等に支払う手数料について、株主代表訴訟などが提起されないようにするため、認可制などを導入することも、検討すべきである。
6 郵便貯金会社及び郵便保険会社の新規業務については、現行の仕組みを基本とし、できるだけ自由化すべきである。ただし、限度額については、完全民営化までの間は、現状を維持すべきである。
7 郵便局会社を独立させたことについては、国民へのサービスを提供する上で多くの批判がある。郵便事業会社と郵便局会社の統合については、検討の余地がある。
ただし、統合によって正職員だけでも20万人を超える巨大会社が成立するので、将来、地域分割ができないか、再度検討する必要がある。その際、郵便事業は収入において東京一極集中度が高いので、そのことを踏まえて検討を行う必要がある。
あわせて、地方において過疎化が進む中で、地域活動の拠点としての郵便局の在り方を検討する必要がある。地域における郵便局の積極的な位置付けについて、法制面の検討を行うべきである。
8 簡易郵便局の位置付けの明確化については、郵政の現場において要望が大きいの
で、この際、一定の配慮をすべきである。
自由民主党
平成24年3月16日
1 前々回の総選挙において、国民は、郵政民営化に対し、大きな支持を表明した。そのことを踏まえ、郵政民営化の基本方針を堅持することは、言うまでもない。
そうした中、前回の総選挙で、政権交代が行われると、国民新党が民主党と連立政権を組み、郵政株式売却凍結法案を成立させ、今日まで、この問題を混乱させてきた。我が党として、同法の即時廃止を強く要求していかなければならない。
したがって、交渉の前提として、郵政株式売却凍結法案に併せて、郵政民営化を逆行させる政府の郵政改革法案を撤回すべきであることは、当然のことである。
2 この間、郵便事業会社が赤字を計上するなど郵政各社の業績が悪化していることは事実であり、その原因を究明する必要がある。あわせて、郵便局会社において、約束であったワンストップ化やコンビニ化が進展していない状況については、経営努力の観点から批判されなければならない。こうした事態に至ったのには、現在の経営陣に大きな問題があるものと考えられ、郵政民営化を真に推進する体制を再構築していくことが必要である。
3 一方で、郵政民営化後数年を経過し、郵政各社の業務の連携や金融2社のユニバーサルサービスなどについて幾つかの経営上の問題点が指摘されている。郵政民営化法においても、3年ごとの見直しが規定されており、同法の規定に沿って見直しを行うことも、必要である。
加えて、政府が郵政改革法案を提出して相当の期間が経過し、さらに、友党公明党が斡旋案を示している中で、責任政党である我が党が積極的に見識を示すことが求められている。
また、東日本大震災の復興財源の一つとして、政府与党が政府保有の郵政株式の売却を打ち出し、郵政を巡る環境が大きく変わってきたのも、無視できない。
4 郵政民営化を堅持するため、我が党としては、郵便貯金、郵便保険の金融二社の全株処分の方針である。
ユニバーサルサービス提供のため、売却期限の一定の延期や金融二社の株式売却に係る裁量権などが法的に規定できないか、株価が低迷する中で、持ち合いや信託など株価対策を講ずる必要がないか、検討する必要がある。
5 政府与党が金融二社の株式保有にこだわるのは、金融二社が完全に民営化したときに、それにユニバーサルサービスを義務付ける根拠を失うからである。確かに、金融の世界においては、二社の独占割合は相対的に小さく、ユニバーサルサービスの義務付けは、困難であるという意見が強い。
そこで、公明党案のように、日本郵政を含む郵便事業会社側に金融ユニバーサルサービスを義務付けるのが、法的には一定の解決策である。その場合、提携会社を郵便貯金、郵便保険に限定するのか、一般の銀行、保険会社にまで拡大するのか、検討の余地がある。
ただし、日本郵政を含む郵便事業会社側に金融ユニバーサルサービスを義務付けるだけでは、やや法律上の便宜に過ぎ、金融ユニバーサルサービスの提供について、政府が何らかの関与をすることを併せて検討すべきである。
また、金融二社が郵便事業会社等に支払う手数料について、株主代表訴訟などが提起されないようにするため、認可制などを導入することも、検討すべきである。
6 郵便貯金会社及び郵便保険会社の新規業務については、現行の仕組みを基本とし、できるだけ自由化すべきである。ただし、限度額については、完全民営化までの間は、現状を維持すべきである。
7 郵便局会社を独立させたことについては、国民へのサービスを提供する上で多くの批判がある。郵便事業会社と郵便局会社の統合については、検討の余地がある。
ただし、統合によって正職員だけでも20万人を超える巨大会社が成立するので、将来、地域分割ができないか、再度検討する必要がある。その際、郵便事業は収入において東京一極集中度が高いので、そのことを踏まえて検討を行う必要がある。
あわせて、地方において過疎化が進む中で、地域活動の拠点としての郵便局の在り方を検討する必要がある。地域における郵便局の積極的な位置付けについて、法制面の検討を行うべきである。
8 簡易郵便局の位置付けの明確化については、郵政の現場において要望が大きいの
で、この際、一定の配慮をすべきである。