有識者会議は議事要旨でいい?←平成23年4月1日「行政文書の管理に関するガイドライン」違反では
秘書です。
議事録ではなく、議事要旨でいい?ほんとですか?
平成23年4月1日内閣総理大臣決定の「行政文書の管理に関するガイドライン」に違反してませんか?
議事録なし、法に抵触せず=秘密保全法制の有識者会議-藤村官房長官
(2012/03/05-12:24)時事通信
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012030500343
藤村修官房長官は5日午前の記者会見で、秘密保全法制の整備を提言した政府の有識者会議の議事録が作成されていなかったことを明らかにした。ただ、議事要旨は作成していたとし、「有識者会議の経緯は公開されている議事要旨と配布資料で十分把握することが可能だ。必ずしも公文書管理法に抵触する話ではない」と述べた。
秘密保全法案は、外交・防衛などの国家機密を「特別秘密」と指定し、公務員らが漏らした場合の罰則強化が柱で、政府は今国会に提出する方針。有識者会議は昨年1月から計6回会議を開き、同8月、速やかな法制化を求める報告書を取りまとめていた。
→平成23年4月1日内閣総理大臣決定の「行政文書の管理に関するガイドライン」には反してますね。公文書管理法第10条第1項に基づく「規則」に反することにはならないのでしょうか。内閣官房行政文書管理規則も、このガイドラインに基づいて運用されるべきものであり、名前なしの議事要旨でいいとのいうのはこの内閣総理大臣決定に反し、公文書管理法に反しているのでは?
行政文書の管理に関するガイドライン
平成23 年4月1日
内閣総理大臣決定
http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/kanri-gl.pdf
公文書等の管理に関する法律(平成21 年法律第66 号。以下「法」という。)第1条
に規定されているとおり、国の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等は、健全な民
主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し
得るものであり、このような公文書等の管理を適切に行うことにより、行政が適正かつ
効率的に運営されるようにするとともに、国の有するその諸活動を現在及び将来の国民
に説明する責務が全うされるようにする必要がある。
このような法の目的を踏まえ、法第10 条第1項の規定に基づく行政文書の管理に関
する定め(以下「規則」という。)は設けられる必要がある。
本ガイドラインにおいては、第1(総則)から第10(補則)までの各セグメントの
冒頭で規則の規定例を示すとともに、留意事項として当該規定の趣旨・意義や職員が文
書管理を行う際の実務上の留意点について、記している。
(p8)
○ なお、審議会等や懇談会等の議事録については、法第1条の目的の達成に資するた
め、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事
務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、発言者名を記
載した議事録を作成する必要がある。
(p419)
別表第1 行政文書の保存期間基準
1、法律の制定又は改廃及びその経緯
②立案の検討に関する審議会等文書(一の項イ)
・開催経緯
・諮問
・議事概要・議事録
・配付資料
・中間答申、最終答申、中間報告、最終報告、建議、提言
公文書管理委員会
第2回 議事録
公文書管理委員会
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/22/220831/220831gijiroku.pdf
○七條公文書管理検討室企画官 それでは、資料3の施行令案に基づきまして、説明をさせていた
だきたいと思います。基本的に、本文の方につきましては、法令上の用例を踏まえた技術的な修正
となってございます。
・・・
また、9ページ目の中ほどでございますけれども、審議会等や懇談会等の発言者名を除いた議事
録のみが行政文書になるのは問題であるという御意見をいただきました。別表第1に、審議会等や
懇談会等について多くの記述が出てまいりますが、そのような議事録については、発言者名を記載
した議事録を作成する必要があるということで、ここで記述をさせていただきました。
・・・
○三宅委員 1点は確認ですが、資料4※の9ページの赤い○が付いている下の方ですが、審議会や
懇談会等の議事録についてということで、発言者名を記載した議事録を作成する必要がある。これ
は文書の作成に関して、意思決定に至る過程と行政機関の事務事業の実績を合理的に跡付け、検証
することができるようとあります。これは詰まるところ、まず議事録を作るときに、発言者名のな
い議事録を作るかどうかということを議論するのではなく、発言者名は記載した議事録を作ります
ということをはっきりさせるという趣旨ですね。
仮にもしも発言者名を開示することによって、行政運用上極めて重要な支障が出るという場合で
あれば、これは情報公開法の非開示情報に該当して、発言者名のところだけ黒塗りにマスキングを
して、そういうものが開示されるという運用になるけれども、本来最初から発言者名のない議事録
を記載することにはならないという趣旨を確認したものだということでよろしいでしょうか。
・・・
○七條公文書管理検討室企画官 2点御質問、確認などをいただきました。
1点目の発言者名につきましては、先生が御指摘のとおりでございます。
※
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/22/220831/220831haifu4.pdf
→問題の議事録の意見交換の部分の「誰が言ったかわからない発言」は以下の通り。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第1回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai1/gijiyousi.pdf
(5) 意見交換
委員からあった主な発言は、次のとおり。
○ 政府の説明責任を果たすという基軸を守りつつ、秘密保全を図っていく
ことが重要である。
○ 公の仕事を外部に委託する場合等、法制の対象とする範囲に民間がどの
ように関わってくるのか整理する必要がある。
○ 諸外国との比較で言えば、アメリカのような厳格なセキュリティクリア
ランス制度は重要であると考えられる。
○ 政府の説明責任との関係から、未来永劫秘密に指定しておくことはでき
ないため、秘密の指定や解除といった手続的なことについてもよく考えな
いといけない。
○ 法制を考えるに当たっては、地方自治体の情報公開条例との関係にも配
意する必要がある。
○ 防衛秘密以外の保全を要する秘密のカテゴリーとして、国際テロ関係の
情報のような警察に係る秘密がある。また、海上保安庁に係る秘密のよう
な防衛と警察の中間的なカテゴリーもある。
○ 法制の検討に当たっては、「情報」と「秘密」を整理して議論する必要
がある。
○ 法制化に当たっては、国民・マスコミの理解を得ることが重要であり、
きちんとした説明をすることが必要である。
○ 法制では範囲を絞った一定の部分の秘密を対象とすることが適当と考え
られる。なお、情報セキュリティに関するガイドライン等の既存の基準に
基づく情報全般の管理を実効的に行うことも重要である。
○ 秘密保全には、法制による措置以外に、秘密を守ろうとする組織内部の
士気が重要であり、職員の教育やカウンセリングを含めた総合的な問題と
してとらえる必要がある。
○ 報道の自由や取材の自由といった憲法上の問題を考慮することは必要で
あるが、法令上の制度を作る段階では考慮できることとできないことがあ
るため、実効性のある秘密保全のための制度を作った上で、最終的にはそ
れらの問題は解釈、運用に委ねざるを得ない面がある。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第2回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai2/gijiyousi.pdf
(4) 意見交換
議論の要旨は次のとおり。
○ 秘密保護と情報公開は一体的に考える必要があり、守るべき秘密を守り
つつ開示できる情報は積極的に開示するという姿勢が重要である。
○ 防衛秘密の制度を参考に、法律において別表形式等で秘密指定の対象と
なる事項を列挙した上、秘密指定の高度の必要性を要件として、この両者
を満たすものを秘密に指定するという構造をとることが妥当と考えられ
る。
○ 暫定的に特別秘密と呼ぶとして、この特別秘密の範囲は、大きくいえば
国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持といったものになると考えら
れる。なお、制定に当たっては、この呼称をどのようにするのかは改めて
検討する必要がある。
○ 特に「外交」は、様々な事柄を含みうる言葉であるところ、外国や国際
機関との交渉ごとに関する情報がすべて保護の対象に含まれ得るとするの
ではなく、別表形式等で列挙する事項の内容についてはもう少し絞り込む
努力がいるのではないか。
○ 公共の安全及び秩序の維持に関する情報は、どこまでを保護の対象とす
るかについて検討の必要がある。
○ 絶対に外部に漏らせない情報を確実に保護することは、ある意味では開
示すべき情報について情報公開を積極的に進めることにもつながると思
う。特別秘密に指定されたことをもって、一定期間、情報公開法における
開示義務の適用除外とするとの整理はできないか。
○ 特別秘密に指定されたことをもって開示義務の適用除外としてしまう
と、特別秘密に指定したことのチェックは誰がするのかという議論が直ち
に始まる。アメリカの情報公開法のイクスクルージョンのような例や、ヨ
ーロッパの個人情報保護法の間接開示のような例もあるが、わが国では、
今でも一般的には秘密指定をしすぎるとの批判があるのだから、秘密指定
をもって情報公開の適用除外とするのは問題がある。
○ 秘密の作成・取得の主体には、国の行政機関のほか、独立行政法人等を
含めることが妥当と思われるが、独立行政法人等については、例えば事業
内容に着目して対象となる独立行政法人等を限定するという議論もあり得
る。
○ 地方公共団体が作成・取得する情報を保全の対象とするかはよく検討す
る必要がある。初めて制度を作ることもあり、なるべく限定した範囲から
始めるということも重要ではないか。例えば、地方公共団体が通常取り扱
う特別秘密は警察事務に限られると考えられることから、地方公共団体に
ついては警察事務に関する情報のみを適用対象とするとか、あるいは地方
公共団体が作成・取得する情報については本法制の適用対象としないこと
も一つの選択肢ではないか。
○ 民間企業や大学が作成・取得した情報については、経済活動の自由や学
問の自由を尊重する観点から、原則として本法制の適用対象とはしないこ
とが適当ではないか。ただし、例外として、行政機関等からの事業委託を
受ける場合に限り、その作成・取得した情報を本法制の適用対象とするこ
とが妥当である。
○ 大学が作成・取得した情報を本法制の適用対象としないこととするとし
ても、理科系の学部の実態について留意することは必要ではないか。
○ 特別秘密を、その内容に照らして他省庁や民間企業等と共有したり、あ
るいは他の行政機関等の事務における必要性からその行政機関等に伝達す
ることはあり得る。この場合、伝達先において特別秘密の管理が適切にな
されていることを確認した上で伝達することが妥当である。
○ 指定の要件に該当しなくなった特別秘密については、指定権者において
速やかに指定を解除する義務を定めることが妥当である。
○ いったん指定した特別秘密については、例えば更新制のように指定の要
否を検討し直す機会がないと、指定が不要になっても解除されないでいる
という事態が生ずるおそれがある。
○ 複数の指定権者間における指定の調整は重要である。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第3回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai3/gijiyousi.pdf
(3) 意見交換
議論の要旨は次のとおり。
○ 特別秘密を保全するためには、特別秘密を取り扱わせる者を限定することが必
要であり、具体的には、信用性・信頼性が確認された者について、業務遂行のた
めに知る必要のある場合にのみ、特定の特別秘密を取り扱わせることを基本とす
ることが適当ではないか。
そして、秘密保全制度を整備する際には、「信用性・信頼性を有するか」を確認
するための制度(適格性確認制度)を法制度上に明らかに位置付けることが適当
ではないか。
○ 適格性確認は、原則として特別秘密を取り扱う全ての者について実施するが、
やむを得ない場合には、例えば適格性を暫定的に確認したり、代替的な方法で確
認するといった例外的な対応も必要となるのではないか。
○ 適格性確認は、秘密を取り扱うポストに就く者を対象にして実施することにな
ると考えられるが、制度が施行され時間が経過すると、特にこうしたポストが多
い行政機関では適格性を確認された者が増加し、その結果、ポストへの異動の度
に適格性を確認するというよりも、一度確認された適格性が付与されたままの形
での異動により、次のポストにおいても有効である、という状況になるのかもし
れない。
○ この法制は個人の適格性を確認することにしているが、特定の外国と関係が深
い民間事業者等が契約に入札できるとすると、セキュリティ上気になるところで
あり、他の制度において法人としての信用性・信頼性を担保しているかどうか確
認しておく必要があろう。
○ 適格性確認の実施権者については、国の存立にとって重要な秘密として国が特
別秘密に指定したものについて厳重に管理することは国の責務であり、適格性確
認はその一環として行うのだから、基本的には国が自ら適格性確認の実施権者と
なることが適当ではないか。
○ 適格性確認の実施権者が多数存在すると、各々の実施権者で評価基準が大きく
異なることも起こり得る。実務的にこれを避けるためには、いくつかの機関にま
とめて委託することも考えられるが、そうしないにしても、政府統一的な基準を
作成してこれを共有する必要があろう。
○ 制度の透明性を高めるために適格性確認の評価の観点やそれに対応する調査事
項を明らかにすることが適当ではないか。一方で、評価基準については、明らか
にすると不正に適格性確認を受けようとする者が出るおそれがあるので、明らか
にしないことが適当ではないか。
○ 適格性確認を実施するに当たって対象職員の同意を得ること、対象職員への面
接を行うこと、必要に応じて本人の同意を得て実施権者が公私の団体に調査事項
について照会することができることとする方法・手続が適当ではないか。
○ 公私の団体への照会について、実施権者に権限を与えることと、本人の同意を
得てから照会することの両方を法令上規定する制度にすることについては、どち
らかを規定すれば足りるのではないかとの解釈もできるが、慎重を期そうとする
趣旨や、実態的に照会先の協力を得やすくする効果が期待されることは理解でき
るので、妥当な仕組みであろう。
○ 調査票への記載に当たっては、対象者本人にとって都合の悪い情報は記載しな
いことも考えられるので、実施権者が確実に調査できるための権限を与えること
が適当ではないか。
個人情報保護法の実務を踏まえると、特に、信用情報を取得するためには、本
人が同意しているだけでは容易には応じられないようであり、法令上に権限を規
定して明らかにする必要があろう。
なお、現行の個人情報保護法の実務をみると、個人情報を照会する権限が法令
上規定されている者からの照会については、必要性と合理性という縛りはあるも
のの、最近はかなり個人情報を提供する方向に移っているようである。
○ 自治体等に対し、この法制に基づく照会についての情報公開が請求された場合
には、制度の透明性を担保する点からは全てを存否応答拒否(当該文書の存否を
明らかにしないで開示請求を拒否すること)とすることは望ましくなく、照会状
況一般については回答することが考えられるが、個人情報に関する部分について
不開示としたり、特定の個人に係る照会の有無を存否応答拒否としたりするなど、
誰が照会対象となっているかは分からないような運用を行うことを自治体等には
望みたい。
○ 適格性確認には処分性はないと考えられる。ただし、認められるかどうかは別
として、適格性確認が厳密な公権力の行使ではなくとも、適格性を確認されなか
った場合に国家賠償を提起すること自体は制度上はあり得るだろう。
○ 適格性確認以外の人的管理として、特別秘密の管理責任体制を構築したり、研
修を実施したりすること、物的管理として、特別秘密が作成・取得・伝達されて
から移管又は廃棄されるまでの各段階等において日常的に保全措置を講ずること
が適当ではないか。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第4回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai4/gijiyousi.pdf
(2) 意見交換
議論の要旨は次のとおり。
○ 秘密保全法制において保護すべき秘密(特別秘密)の漏えいを防止するために
は、厳格な人的管理や物的管理を行うだけでなく、漏えい行為など本来特別秘密
を知る立場にない者が特別秘密を知ることにつながる行為については、刑罰をも
って臨むことが必要と考えられる。
○ 特別秘密の漏えいを防ぐには、その保全状態を保護することが効果的であり、
また、処罰の範囲を必要最小限に抑えることが、本法制に対する国民の理解を得
る上で重要である。したがって、特別秘密を現に保全している、業務により特別
秘密を取り扱う者による漏えいを処罰し、特別秘密の漏えいを根元から抑止する
ことを基本的な考え方とすべきと考えられる。
○ 本来特別秘密を知る立場にない者が特別秘密を知ることにつながる行為を抑止
するとともに、特別秘密の漏えい等の重い罪責に応じた処罰を可能にするような
- 2 -
刑を定めることが適当と考えられる。
○ 業務により特別秘密を取り扱う者による漏えい行為は当然に処罰すべきものと
考えられる。
○ 業務により特別秘密を取り扱う者について、秘密の取扱い自体を業務としてい
る者と、業務によって特別秘密を知得するが、取扱い自体を業務としているとは
いえない者を区別して、両者の処罰に差を付けるべきか否かという問題がある。
秘密の漏えいを根元から抑止するという発想からは罰則に差を設ける合理性はな
いともいえるが、一方で、秘密の取扱い自体を業務としている者と、その外側で
秘密の伝達を受けるに過ぎない者の立場は異なるということも考えられる。両方
の考え方があり得るのではないか。
○ 例えば特別秘密の書かれた文書をたまたま拾った人が親しい人にその内容を話
した場合のような、業務によらず特別秘密を知得した者の漏えい行為については、
処罰対象としても漏えいの根元からの抑止にはつながらず、一般人まで処罰対象
が広がること等に対する懸念も考えられることから、処罰対象としないことが適
当である。
○ 業務により特別秘密を取り扱う者は、特別秘密を厳格に保全し漏えいを防ぐ責
任を有していることから、漏えいを防ぐ注意義務が認められてしかるべきであり、
基本的には、過失による漏えい行為を処罰するべきではないか。
○ 漏えい行為の過失犯を処罰対象とすることにより、特別秘密を取り扱う公務員
は緊張感をもって職務に取り組むこととなり、公務の在り方の質的向上につなが
るのではないか。
○ 自衛隊法の防衛秘密において処罰対象とされている未遂、教唆等の行為類型に
ついては、本法制の特別秘密においても処罰対象とするのが適当ではないか。ま
た、これらの罰則だけでは抑止できない、特別秘密の保全状態からの流出につな
がる行為があるのであれば、これも処罰対象として検討すべきではないか。
○ 本法制の法定刑の上限については、自衛隊法の防衛秘密が参考になるのではな
いか。
○ 不正競争防止法の営業秘密に関連する罰則の法定刑とのバランスも考慮すべき
ではないか。
○ 金銭目的での犯行も考えられることから、必要な場合には自由刑に加えて罰金
刑を併科できるようにすることが適当ではないか。
○ 刑罰による抑止力は必要であるが、罰則を設けただけで漏えいを防止できるわ
けではない。漏えいしようとする者が現れた時にそれを阻止できるような行政的
スキームをどう確保していくのかが、本法制を考える上で大事ではないか。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第5回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai5/gijiyousi.pdf
(2) 意見交換
議論の要旨は次のとおり。
○ 本法制は国の利益や国民の安全を確保すること等を目的とし、主に服務規律の
維持を目的とする公務員法等とは趣旨が異なること、また、本法制の特別秘密の
うち防衛に係る秘密を除いたものについて受け皿となり得る既存の法令が見い出
し難いことから、本法制は新規立法によることが適当と考えられる。
○ 各省間で秘密の指定、セキュリティ・クリアランスの判断の基準をそろえるな
どするためには、制度の統一性や一覧性を確保することが望ましく、本法制は単
一の法制によることが適当ではないか。
○ 自衛隊法における防衛秘密は、本法制に取り込み、統一的に運用することが適
当と考えられる。一方、いわゆるMDA秘密保護法における特別防衛秘密は、M
DA秘密保護法が日米相互防衛援助協定等に伴うものという特別な性格を有して
いることから、引続きMDA秘密保護法によることが適当と考えられる。
○ 最高裁の判例法理において、国民の知る権利は非常に抽象的な理念としてある
とされているが、そこから引き出される報道の自由は憲法上保護されており、ま
た、報道の自由が正確な内容を持つための取材の自由についても十分尊重に値す
るとされている。
取材の自由に関する判例法理では、正当な取材活動は処罰対象とならないこと
が確立されており、本法制が取材の自由を不当に制限することはないと考えられ
る。
○ 国民の知る権利の趣旨に鑑みれば、政府はその諸活動に関する情報を国民に提
供していくことが望ましいが、特別秘密は国の存立にとって重要な秘密情報であ
り、特に秘匿することが必要なものであることから、特別秘密を厳格な保全措置
の下に置き、その秘匿性を維持することをもって、国民の知る権利との関係で問
題になるものではないと考えられる。
○ 特別秘密として保護される情報をいわゆる行政機関情報公開法に当てはめた場
合、同法第5条第3号及び第4号の不開示情報に含まれるものと考えられる。
現行の情報公開法上の不開示事由に該当する情報が非公開とされても、知る権
利が侵害されたということにはならないと考えられるので、特別秘密が公開され
ないことをもって国民の知る権利との関係で問題になることはないだろう。
○ 日本の法体系では、三権分立の中で原則として立法府、行政府及び司法府は互
いにあまり干渉しないようになっているのが現状である。立法府及び司法府にお
ける特別秘密の取扱いに本法制を適用すべきかについての検討は、行政府とは独
立の地位を有するそれぞれの府の在り方に深く関わるものであることを踏まえ、
別途行われることが適当と考えられる。
その際、諸外国において、それぞれの府に伝達された秘密に係る秘密保全制度
がどのようになっているかが参考になるかもしれない。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第6回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai6/gijiyousi.pdf
(2) 意見交換
議論の要旨は次のとおり。
○ 本法制における独立行政法人の位置付けについては、その業務の多様性等
にも配慮しつつ、検討されるべきではないか。
○ 特別秘密を取り扱う者としての適性を判断するための調査事項は、諸外国
の制度を参考にすることが適当ではないか。
○ 特別秘密を取り扱う適性を有しないとの結果を対象者に通知する場合に、
支障のない範囲で理由を付すことが検討されるべきではないか。
○ 特別秘密の物的管理については、「情報保全システムに関する有識者会議」
- 2 -
で検討されている内容との関係に言及してはどうか。
○ 罰則を設けることについては、制裁の手段という面だけではなく、特別秘
密を取り扱う公務員に緊張感を与え、その保全意識を高めるという面があ
ることにも留意すべきである。
○ 過失による漏えい行為の処罰については、自衛隊法が防衛秘密を取り扱う
ことを業務とする者による防衛秘密の過失の漏えい行為を処罰対象として
いること等に留意して検討する必要がある。
○ 国民の知る権利等が国民主権に資する重要なものであることを踏まえ、本
法制と国民の知る権利等との関係については丁寧に説明するべきではない
か。
○ 本法制は、その趣旨に従って運用されれば、国民の知る権利等との関係で
問題を生じることはないが、運用を誤れば、国民の重要な権利利益を侵害
するおそれがないとは言えないことから、政府は適正な運用に努め、国民
はその運用を注視していくことが求められることは強調しておくべきであ
る。
議事録ではなく、議事要旨でいい?ほんとですか?
平成23年4月1日内閣総理大臣決定の「行政文書の管理に関するガイドライン」に違反してませんか?
議事録なし、法に抵触せず=秘密保全法制の有識者会議-藤村官房長官
(2012/03/05-12:24)時事通信
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012030500343
藤村修官房長官は5日午前の記者会見で、秘密保全法制の整備を提言した政府の有識者会議の議事録が作成されていなかったことを明らかにした。ただ、議事要旨は作成していたとし、「有識者会議の経緯は公開されている議事要旨と配布資料で十分把握することが可能だ。必ずしも公文書管理法に抵触する話ではない」と述べた。
秘密保全法案は、外交・防衛などの国家機密を「特別秘密」と指定し、公務員らが漏らした場合の罰則強化が柱で、政府は今国会に提出する方針。有識者会議は昨年1月から計6回会議を開き、同8月、速やかな法制化を求める報告書を取りまとめていた。
→平成23年4月1日内閣総理大臣決定の「行政文書の管理に関するガイドライン」には反してますね。公文書管理法第10条第1項に基づく「規則」に反することにはならないのでしょうか。内閣官房行政文書管理規則も、このガイドラインに基づいて運用されるべきものであり、名前なしの議事要旨でいいとのいうのはこの内閣総理大臣決定に反し、公文書管理法に反しているのでは?
行政文書の管理に関するガイドライン
平成23 年4月1日
内閣総理大臣決定
http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/kanri-gl.pdf
公文書等の管理に関する法律(平成21 年法律第66 号。以下「法」という。)第1条
に規定されているとおり、国の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等は、健全な民
主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し
得るものであり、このような公文書等の管理を適切に行うことにより、行政が適正かつ
効率的に運営されるようにするとともに、国の有するその諸活動を現在及び将来の国民
に説明する責務が全うされるようにする必要がある。
このような法の目的を踏まえ、法第10 条第1項の規定に基づく行政文書の管理に関
する定め(以下「規則」という。)は設けられる必要がある。
本ガイドラインにおいては、第1(総則)から第10(補則)までの各セグメントの
冒頭で規則の規定例を示すとともに、留意事項として当該規定の趣旨・意義や職員が文
書管理を行う際の実務上の留意点について、記している。
(p8)
○ なお、審議会等や懇談会等の議事録については、法第1条の目的の達成に資するた
め、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事
務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、発言者名を記
載した議事録を作成する必要がある。
(p419)
別表第1 行政文書の保存期間基準
1、法律の制定又は改廃及びその経緯
②立案の検討に関する審議会等文書(一の項イ)
・開催経緯
・諮問
・議事概要・議事録
・配付資料
・中間答申、最終答申、中間報告、最終報告、建議、提言
公文書管理委員会
第2回 議事録
公文書管理委員会
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/22/220831/220831gijiroku.pdf
○七條公文書管理検討室企画官 それでは、資料3の施行令案に基づきまして、説明をさせていた
だきたいと思います。基本的に、本文の方につきましては、法令上の用例を踏まえた技術的な修正
となってございます。
・・・
また、9ページ目の中ほどでございますけれども、審議会等や懇談会等の発言者名を除いた議事
録のみが行政文書になるのは問題であるという御意見をいただきました。別表第1に、審議会等や
懇談会等について多くの記述が出てまいりますが、そのような議事録については、発言者名を記載
した議事録を作成する必要があるということで、ここで記述をさせていただきました。
・・・
○三宅委員 1点は確認ですが、資料4※の9ページの赤い○が付いている下の方ですが、審議会や
懇談会等の議事録についてということで、発言者名を記載した議事録を作成する必要がある。これ
は文書の作成に関して、意思決定に至る過程と行政機関の事務事業の実績を合理的に跡付け、検証
することができるようとあります。これは詰まるところ、まず議事録を作るときに、発言者名のな
い議事録を作るかどうかということを議論するのではなく、発言者名は記載した議事録を作ります
ということをはっきりさせるという趣旨ですね。
仮にもしも発言者名を開示することによって、行政運用上極めて重要な支障が出るという場合で
あれば、これは情報公開法の非開示情報に該当して、発言者名のところだけ黒塗りにマスキングを
して、そういうものが開示されるという運用になるけれども、本来最初から発言者名のない議事録
を記載することにはならないという趣旨を確認したものだということでよろしいでしょうか。
・・・
○七條公文書管理検討室企画官 2点御質問、確認などをいただきました。
1点目の発言者名につきましては、先生が御指摘のとおりでございます。
※
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/22/220831/220831haifu4.pdf
→問題の議事録の意見交換の部分の「誰が言ったかわからない発言」は以下の通り。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第1回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai1/gijiyousi.pdf
(5) 意見交換
委員からあった主な発言は、次のとおり。
○ 政府の説明責任を果たすという基軸を守りつつ、秘密保全を図っていく
ことが重要である。
○ 公の仕事を外部に委託する場合等、法制の対象とする範囲に民間がどの
ように関わってくるのか整理する必要がある。
○ 諸外国との比較で言えば、アメリカのような厳格なセキュリティクリア
ランス制度は重要であると考えられる。
○ 政府の説明責任との関係から、未来永劫秘密に指定しておくことはでき
ないため、秘密の指定や解除といった手続的なことについてもよく考えな
いといけない。
○ 法制を考えるに当たっては、地方自治体の情報公開条例との関係にも配
意する必要がある。
○ 防衛秘密以外の保全を要する秘密のカテゴリーとして、国際テロ関係の
情報のような警察に係る秘密がある。また、海上保安庁に係る秘密のよう
な防衛と警察の中間的なカテゴリーもある。
○ 法制の検討に当たっては、「情報」と「秘密」を整理して議論する必要
がある。
○ 法制化に当たっては、国民・マスコミの理解を得ることが重要であり、
きちんとした説明をすることが必要である。
○ 法制では範囲を絞った一定の部分の秘密を対象とすることが適当と考え
られる。なお、情報セキュリティに関するガイドライン等の既存の基準に
基づく情報全般の管理を実効的に行うことも重要である。
○ 秘密保全には、法制による措置以外に、秘密を守ろうとする組織内部の
士気が重要であり、職員の教育やカウンセリングを含めた総合的な問題と
してとらえる必要がある。
○ 報道の自由や取材の自由といった憲法上の問題を考慮することは必要で
あるが、法令上の制度を作る段階では考慮できることとできないことがあ
るため、実効性のある秘密保全のための制度を作った上で、最終的にはそ
れらの問題は解釈、運用に委ねざるを得ない面がある。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第2回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai2/gijiyousi.pdf
(4) 意見交換
議論の要旨は次のとおり。
○ 秘密保護と情報公開は一体的に考える必要があり、守るべき秘密を守り
つつ開示できる情報は積極的に開示するという姿勢が重要である。
○ 防衛秘密の制度を参考に、法律において別表形式等で秘密指定の対象と
なる事項を列挙した上、秘密指定の高度の必要性を要件として、この両者
を満たすものを秘密に指定するという構造をとることが妥当と考えられ
る。
○ 暫定的に特別秘密と呼ぶとして、この特別秘密の範囲は、大きくいえば
国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持といったものになると考えら
れる。なお、制定に当たっては、この呼称をどのようにするのかは改めて
検討する必要がある。
○ 特に「外交」は、様々な事柄を含みうる言葉であるところ、外国や国際
機関との交渉ごとに関する情報がすべて保護の対象に含まれ得るとするの
ではなく、別表形式等で列挙する事項の内容についてはもう少し絞り込む
努力がいるのではないか。
○ 公共の安全及び秩序の維持に関する情報は、どこまでを保護の対象とす
るかについて検討の必要がある。
○ 絶対に外部に漏らせない情報を確実に保護することは、ある意味では開
示すべき情報について情報公開を積極的に進めることにもつながると思
う。特別秘密に指定されたことをもって、一定期間、情報公開法における
開示義務の適用除外とするとの整理はできないか。
○ 特別秘密に指定されたことをもって開示義務の適用除外としてしまう
と、特別秘密に指定したことのチェックは誰がするのかという議論が直ち
に始まる。アメリカの情報公開法のイクスクルージョンのような例や、ヨ
ーロッパの個人情報保護法の間接開示のような例もあるが、わが国では、
今でも一般的には秘密指定をしすぎるとの批判があるのだから、秘密指定
をもって情報公開の適用除外とするのは問題がある。
○ 秘密の作成・取得の主体には、国の行政機関のほか、独立行政法人等を
含めることが妥当と思われるが、独立行政法人等については、例えば事業
内容に着目して対象となる独立行政法人等を限定するという議論もあり得
る。
○ 地方公共団体が作成・取得する情報を保全の対象とするかはよく検討す
る必要がある。初めて制度を作ることもあり、なるべく限定した範囲から
始めるということも重要ではないか。例えば、地方公共団体が通常取り扱
う特別秘密は警察事務に限られると考えられることから、地方公共団体に
ついては警察事務に関する情報のみを適用対象とするとか、あるいは地方
公共団体が作成・取得する情報については本法制の適用対象としないこと
も一つの選択肢ではないか。
○ 民間企業や大学が作成・取得した情報については、経済活動の自由や学
問の自由を尊重する観点から、原則として本法制の適用対象とはしないこ
とが適当ではないか。ただし、例外として、行政機関等からの事業委託を
受ける場合に限り、その作成・取得した情報を本法制の適用対象とするこ
とが妥当である。
○ 大学が作成・取得した情報を本法制の適用対象としないこととするとし
ても、理科系の学部の実態について留意することは必要ではないか。
○ 特別秘密を、その内容に照らして他省庁や民間企業等と共有したり、あ
るいは他の行政機関等の事務における必要性からその行政機関等に伝達す
ることはあり得る。この場合、伝達先において特別秘密の管理が適切にな
されていることを確認した上で伝達することが妥当である。
○ 指定の要件に該当しなくなった特別秘密については、指定権者において
速やかに指定を解除する義務を定めることが妥当である。
○ いったん指定した特別秘密については、例えば更新制のように指定の要
否を検討し直す機会がないと、指定が不要になっても解除されないでいる
という事態が生ずるおそれがある。
○ 複数の指定権者間における指定の調整は重要である。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第3回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai3/gijiyousi.pdf
(3) 意見交換
議論の要旨は次のとおり。
○ 特別秘密を保全するためには、特別秘密を取り扱わせる者を限定することが必
要であり、具体的には、信用性・信頼性が確認された者について、業務遂行のた
めに知る必要のある場合にのみ、特定の特別秘密を取り扱わせることを基本とす
ることが適当ではないか。
そして、秘密保全制度を整備する際には、「信用性・信頼性を有するか」を確認
するための制度(適格性確認制度)を法制度上に明らかに位置付けることが適当
ではないか。
○ 適格性確認は、原則として特別秘密を取り扱う全ての者について実施するが、
やむを得ない場合には、例えば適格性を暫定的に確認したり、代替的な方法で確
認するといった例外的な対応も必要となるのではないか。
○ 適格性確認は、秘密を取り扱うポストに就く者を対象にして実施することにな
ると考えられるが、制度が施行され時間が経過すると、特にこうしたポストが多
い行政機関では適格性を確認された者が増加し、その結果、ポストへの異動の度
に適格性を確認するというよりも、一度確認された適格性が付与されたままの形
での異動により、次のポストにおいても有効である、という状況になるのかもし
れない。
○ この法制は個人の適格性を確認することにしているが、特定の外国と関係が深
い民間事業者等が契約に入札できるとすると、セキュリティ上気になるところで
あり、他の制度において法人としての信用性・信頼性を担保しているかどうか確
認しておく必要があろう。
○ 適格性確認の実施権者については、国の存立にとって重要な秘密として国が特
別秘密に指定したものについて厳重に管理することは国の責務であり、適格性確
認はその一環として行うのだから、基本的には国が自ら適格性確認の実施権者と
なることが適当ではないか。
○ 適格性確認の実施権者が多数存在すると、各々の実施権者で評価基準が大きく
異なることも起こり得る。実務的にこれを避けるためには、いくつかの機関にま
とめて委託することも考えられるが、そうしないにしても、政府統一的な基準を
作成してこれを共有する必要があろう。
○ 制度の透明性を高めるために適格性確認の評価の観点やそれに対応する調査事
項を明らかにすることが適当ではないか。一方で、評価基準については、明らか
にすると不正に適格性確認を受けようとする者が出るおそれがあるので、明らか
にしないことが適当ではないか。
○ 適格性確認を実施するに当たって対象職員の同意を得ること、対象職員への面
接を行うこと、必要に応じて本人の同意を得て実施権者が公私の団体に調査事項
について照会することができることとする方法・手続が適当ではないか。
○ 公私の団体への照会について、実施権者に権限を与えることと、本人の同意を
得てから照会することの両方を法令上規定する制度にすることについては、どち
らかを規定すれば足りるのではないかとの解釈もできるが、慎重を期そうとする
趣旨や、実態的に照会先の協力を得やすくする効果が期待されることは理解でき
るので、妥当な仕組みであろう。
○ 調査票への記載に当たっては、対象者本人にとって都合の悪い情報は記載しな
いことも考えられるので、実施権者が確実に調査できるための権限を与えること
が適当ではないか。
個人情報保護法の実務を踏まえると、特に、信用情報を取得するためには、本
人が同意しているだけでは容易には応じられないようであり、法令上に権限を規
定して明らかにする必要があろう。
なお、現行の個人情報保護法の実務をみると、個人情報を照会する権限が法令
上規定されている者からの照会については、必要性と合理性という縛りはあるも
のの、最近はかなり個人情報を提供する方向に移っているようである。
○ 自治体等に対し、この法制に基づく照会についての情報公開が請求された場合
には、制度の透明性を担保する点からは全てを存否応答拒否(当該文書の存否を
明らかにしないで開示請求を拒否すること)とすることは望ましくなく、照会状
況一般については回答することが考えられるが、個人情報に関する部分について
不開示としたり、特定の個人に係る照会の有無を存否応答拒否としたりするなど、
誰が照会対象となっているかは分からないような運用を行うことを自治体等には
望みたい。
○ 適格性確認には処分性はないと考えられる。ただし、認められるかどうかは別
として、適格性確認が厳密な公権力の行使ではなくとも、適格性を確認されなか
った場合に国家賠償を提起すること自体は制度上はあり得るだろう。
○ 適格性確認以外の人的管理として、特別秘密の管理責任体制を構築したり、研
修を実施したりすること、物的管理として、特別秘密が作成・取得・伝達されて
から移管又は廃棄されるまでの各段階等において日常的に保全措置を講ずること
が適当ではないか。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第4回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai4/gijiyousi.pdf
(2) 意見交換
議論の要旨は次のとおり。
○ 秘密保全法制において保護すべき秘密(特別秘密)の漏えいを防止するために
は、厳格な人的管理や物的管理を行うだけでなく、漏えい行為など本来特別秘密
を知る立場にない者が特別秘密を知ることにつながる行為については、刑罰をも
って臨むことが必要と考えられる。
○ 特別秘密の漏えいを防ぐには、その保全状態を保護することが効果的であり、
また、処罰の範囲を必要最小限に抑えることが、本法制に対する国民の理解を得
る上で重要である。したがって、特別秘密を現に保全している、業務により特別
秘密を取り扱う者による漏えいを処罰し、特別秘密の漏えいを根元から抑止する
ことを基本的な考え方とすべきと考えられる。
○ 本来特別秘密を知る立場にない者が特別秘密を知ることにつながる行為を抑止
するとともに、特別秘密の漏えい等の重い罪責に応じた処罰を可能にするような
- 2 -
刑を定めることが適当と考えられる。
○ 業務により特別秘密を取り扱う者による漏えい行為は当然に処罰すべきものと
考えられる。
○ 業務により特別秘密を取り扱う者について、秘密の取扱い自体を業務としてい
る者と、業務によって特別秘密を知得するが、取扱い自体を業務としているとは
いえない者を区別して、両者の処罰に差を付けるべきか否かという問題がある。
秘密の漏えいを根元から抑止するという発想からは罰則に差を設ける合理性はな
いともいえるが、一方で、秘密の取扱い自体を業務としている者と、その外側で
秘密の伝達を受けるに過ぎない者の立場は異なるということも考えられる。両方
の考え方があり得るのではないか。
○ 例えば特別秘密の書かれた文書をたまたま拾った人が親しい人にその内容を話
した場合のような、業務によらず特別秘密を知得した者の漏えい行為については、
処罰対象としても漏えいの根元からの抑止にはつながらず、一般人まで処罰対象
が広がること等に対する懸念も考えられることから、処罰対象としないことが適
当である。
○ 業務により特別秘密を取り扱う者は、特別秘密を厳格に保全し漏えいを防ぐ責
任を有していることから、漏えいを防ぐ注意義務が認められてしかるべきであり、
基本的には、過失による漏えい行為を処罰するべきではないか。
○ 漏えい行為の過失犯を処罰対象とすることにより、特別秘密を取り扱う公務員
は緊張感をもって職務に取り組むこととなり、公務の在り方の質的向上につなが
るのではないか。
○ 自衛隊法の防衛秘密において処罰対象とされている未遂、教唆等の行為類型に
ついては、本法制の特別秘密においても処罰対象とするのが適当ではないか。ま
た、これらの罰則だけでは抑止できない、特別秘密の保全状態からの流出につな
がる行為があるのであれば、これも処罰対象として検討すべきではないか。
○ 本法制の法定刑の上限については、自衛隊法の防衛秘密が参考になるのではな
いか。
○ 不正競争防止法の営業秘密に関連する罰則の法定刑とのバランスも考慮すべき
ではないか。
○ 金銭目的での犯行も考えられることから、必要な場合には自由刑に加えて罰金
刑を併科できるようにすることが適当ではないか。
○ 刑罰による抑止力は必要であるが、罰則を設けただけで漏えいを防止できるわ
けではない。漏えいしようとする者が現れた時にそれを阻止できるような行政的
スキームをどう確保していくのかが、本法制を考える上で大事ではないか。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第5回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai5/gijiyousi.pdf
(2) 意見交換
議論の要旨は次のとおり。
○ 本法制は国の利益や国民の安全を確保すること等を目的とし、主に服務規律の
維持を目的とする公務員法等とは趣旨が異なること、また、本法制の特別秘密の
うち防衛に係る秘密を除いたものについて受け皿となり得る既存の法令が見い出
し難いことから、本法制は新規立法によることが適当と考えられる。
○ 各省間で秘密の指定、セキュリティ・クリアランスの判断の基準をそろえるな
どするためには、制度の統一性や一覧性を確保することが望ましく、本法制は単
一の法制によることが適当ではないか。
○ 自衛隊法における防衛秘密は、本法制に取り込み、統一的に運用することが適
当と考えられる。一方、いわゆるMDA秘密保護法における特別防衛秘密は、M
DA秘密保護法が日米相互防衛援助協定等に伴うものという特別な性格を有して
いることから、引続きMDA秘密保護法によることが適当と考えられる。
○ 最高裁の判例法理において、国民の知る権利は非常に抽象的な理念としてある
とされているが、そこから引き出される報道の自由は憲法上保護されており、ま
た、報道の自由が正確な内容を持つための取材の自由についても十分尊重に値す
るとされている。
取材の自由に関する判例法理では、正当な取材活動は処罰対象とならないこと
が確立されており、本法制が取材の自由を不当に制限することはないと考えられ
る。
○ 国民の知る権利の趣旨に鑑みれば、政府はその諸活動に関する情報を国民に提
供していくことが望ましいが、特別秘密は国の存立にとって重要な秘密情報であ
り、特に秘匿することが必要なものであることから、特別秘密を厳格な保全措置
の下に置き、その秘匿性を維持することをもって、国民の知る権利との関係で問
題になるものではないと考えられる。
○ 特別秘密として保護される情報をいわゆる行政機関情報公開法に当てはめた場
合、同法第5条第3号及び第4号の不開示情報に含まれるものと考えられる。
現行の情報公開法上の不開示事由に該当する情報が非公開とされても、知る権
利が侵害されたということにはならないと考えられるので、特別秘密が公開され
ないことをもって国民の知る権利との関係で問題になることはないだろう。
○ 日本の法体系では、三権分立の中で原則として立法府、行政府及び司法府は互
いにあまり干渉しないようになっているのが現状である。立法府及び司法府にお
ける特別秘密の取扱いに本法制を適用すべきかについての検討は、行政府とは独
立の地位を有するそれぞれの府の在り方に深く関わるものであることを踏まえ、
別途行われることが適当と考えられる。
その際、諸外国において、それぞれの府に伝達された秘密に係る秘密保全制度
がどのようになっているかが参考になるかもしれない。
秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(第6回)議事要旨
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/housei_kaigi/dai6/gijiyousi.pdf
(2) 意見交換
議論の要旨は次のとおり。
○ 本法制における独立行政法人の位置付けについては、その業務の多様性等
にも配慮しつつ、検討されるべきではないか。
○ 特別秘密を取り扱う者としての適性を判断するための調査事項は、諸外国
の制度を参考にすることが適当ではないか。
○ 特別秘密を取り扱う適性を有しないとの結果を対象者に通知する場合に、
支障のない範囲で理由を付すことが検討されるべきではないか。
○ 特別秘密の物的管理については、「情報保全システムに関する有識者会議」
- 2 -
で検討されている内容との関係に言及してはどうか。
○ 罰則を設けることについては、制裁の手段という面だけではなく、特別秘
密を取り扱う公務員に緊張感を与え、その保全意識を高めるという面があ
ることにも留意すべきである。
○ 過失による漏えい行為の処罰については、自衛隊法が防衛秘密を取り扱う
ことを業務とする者による防衛秘密の過失の漏えい行為を処罰対象として
いること等に留意して検討する必要がある。
○ 国民の知る権利等が国民主権に資する重要なものであることを踏まえ、本
法制と国民の知る権利等との関係については丁寧に説明するべきではない
か。
○ 本法制は、その趣旨に従って運用されれば、国民の知る権利等との関係で
問題を生じることはないが、運用を誤れば、国民の重要な権利利益を侵害
するおそれがないとは言えないことから、政府は適正な運用に努め、国民
はその運用を注視していくことが求められることは強調しておくべきであ
る。