ハックニー・ピクチャーハウスの月曜割引でドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『デューン 砂の惑星PART2』(2024)を観た。ほぼ満席。映画館の最大スクリーンで観たのは正解で2時間47分の映画なのに長く感じず、日常から遠く離れた砂漠の中に没入するような経験をさせて貰った。珍しく背景から配役、物語全てにわたって文句なしで、ブログに何を書いたら良いのか分からなかった。全体的な印象は白人の若い男性がアラブ人っぽい民族の戦いを扇動するという意味において名作『アラビアのロレンス』(1962) の宇宙版と言ったところか。

 

 実は過去にデビッド・リンチ版『デューン 砂の惑星』(1984)も観たことがあるのだが、原作も読んでないし、総集編のような話の飛び方について行けず、さっぱり意味が分からなかった。歌手のスティングが出ていたけれど情けない甥役だったな、程度の認識しかない。比較するとPART1もPART2もヴィルヌーヴ監督版の方が数段上。特にPART1は背景になる建築の意匠が凝っていて、コンクリートを多用するブルータリズムか、あるいはフランク・ロイド・ライトの緻密な装飾を思い起こさせた。PART2は砂漠の話なので、建築はあまり出てこなかったのが残念。でもその代わり物語はしっかり伝わってきた。原作もアラブでの戦いにインスパイアされて描かれたとのこと。さて、あらすじは…

 

 ポール・アトレイデス (ティモシー・シャラメ) は、家族を破滅させた陰謀者たちに対する復讐の旅路を歩みながら、チャニ (ゼンダヤ)やフレーメンの人々と団結する。生涯の愛と既知の宇宙の運命の間の選択に直面した彼は、自分だけが予見できる恐ろしい未来を阻止しようとするが…Warner Bros. Picturesより翻訳

 

 何しろ大画面でもドアップに耐えうるティモシー・シャラメが圧巻。「What a cute guy, he is!」と声に出てた…前に観た『君の名前で僕を呼んで』(2017)や『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)も印象に残っているけれど、本作は主役だし。ただし、(SFだけど) アラブ系民族のトップに立つ白人という設定は植民地主義そのままで今どきどうよ?と言われても仕方がない。でも砂漠の美しさ、ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ/Arrival』(2016)でも使われた、絶対飛ばないだろうという縦長の宇宙船ほか、強烈なイメージでスクリーンに吸い込まれるような映画であることは確か。まだ構想段階と言われるPART3が待ち遠しい。